「ゾロっ、落ち着けって・・・ゾロ!!」
「てめぇの所為だ」
「だからッ!!どーしてそうなる!ちげーだろ!」
「俺が決めたから、テメェの所為なんだッ!」
 サンジを連れ込み、互いの下半身をむき出しにしたまでは早かった。だがしかし、相手はサンジだ。この船の主力戦闘要員で、凶暴なコックだ。ゾロは苦戦を強いられていた。
 なにせ、このコック。半端じゃなく強い。ちょっとでも油断をすれば、速攻で蹴ってくる。どうにか暴れる両足首は捕らえたが。これじゃあ入れられない。その間にも、ゾロの股間は、そりゃもう大変すぎることになっている。
 ガチガチの装甲モードに張り詰めていて、突っ込める場所があると分かったとたん、盛んに早くしろと脳みそに信号を送ってくる。こうなると、どっちが頭なのか分かったもんじゃない。
 沸騰しすぎて蒸発した頭の底は、灼熱の鉄板状態で真っ赤になっている。
 こりゃ、手で支えないでも入れられるんじゃねえのか?
 自分の剛チンを大また開きにしたサンジの白い尻に擦り付け。上を向いた先をどうにか下方向へ修正する。巧い具合に先端が後ろに当たり、キツイがぐりぐり窪みに押し付けるだけで気持ちよくなれた。
 ヘンなところで器用さを発揮するゾロに、夜中だというのにコックが大騒ぎした。

「ぎえぇぇぇっ!!やめろ、ゾロ!!やめろって、いてぇ。イテェッっ!てめえ俺を殺す気か!」
「大丈夫だ。死ぬわけねえ。ちっとケツ借りるだけじゃねえか」
「アホーーーッ!!それが嫌だって言ってんだろうが!!誰が突っ込ませるか!オラ抜け!」
 きゅっとケツに力を入れたら、ゾロのデカ物は難なく後退させられる。無論、入るはずもない。
 だがせっかく待ち望んだ肉体の感触に安堵していたゾロとしては、とてつもない緊急事態だ。
「な、なんで入らねえんだっ!」
 自分のブツの硬度はダイヤモンド並なのに、小さな窄まりには先が入るか入らないかだ。
 思わずの切なさに、ゾロは情けなくも涙まで浮かべてしまった。ワケもなくサンジに訴えてしまうあたり、重症だった。
「どうすりゃ、いいんだ・・・・・」
 犬が耳を倒して悲しんでいるような顔つきで見下ろされ、尋ねられ。
 面食らったのはサンジだ。
 どこの世界に、強姦しようとして訴える眼差しを向けるアホがいるのか。あまりの哀れに眩暈と一緒に保護者意識まで頭をもたげてくる。

 抵抗してくるもの、刃向かうものには遠慮も手加減もしない料理人は、残虐な一方で非常に情け深い。懐かれたり、信頼されたり、助けを求められたりすれば、女性専用と本人が思い込んでいるフェミニストの気質が違うベクトルへ突き進む。
 甘やかすことが存外に好きなコックとしては、ゾロのこの状態は見事にツボに嵌った。
 『童貞ちゃんが、手慣れた娼婦のお姉さまにセックスの仕方を手取り足取り教わっている』
 それとあまり変わらない構図。コレもまた、サンジには気に入った。
 とかく甘やかすのが好きな裏返しには、自分が常に上位に立たないと気がすまない、ガキっぽい一面があると自覚している。
 しかも、相手はゾロだ。

 本当に19歳の若者かと問い質したいセンスと生活スタイル。
 俺はどんなときも男前だぜのマッスルゾロが、なんとサンジに向かって泣きを入れている。

 これはもう、楽しまないほうがどうかしている。
 性的倫理観がゼロに等しい環境で育っているのも、サンジを優越感に浸らせる要因となった。
「ゾロ」
 必死になって挿入しようとしている男の太い首筋を引き寄せ、サンジはあやすようなキスをピアスの側にした。いきなりのサンジの行動に驚いたゾロが、全部の動きを停止する。
 そろりと上がった薄い瞳は、真ん丸く見開かれて、ちょっとばかり幼い。
 やっと人の話が聞こえるようになったらしい獣に、胸が苦しくなるほどの愛しさまで感じる。
 なので、ことさら優しく甘く、ソフトに尋ねた。
 
「なあ、てめぇさあ。誕生日っていつだよ」
「た、誕生日?」
 唐突な質問に、サンジの足首を捕らえたまんまゾロは小首を傾げた。
 首にはサンジの腕が回り、両手は塞がった前かがみの体勢は、かなり腰にキツイのだが。支える筋力が並大抵ではない剣士には、負担にもならない様子だ。
 ヘンな体勢のまま、ゾロは暫く質問の意図を推し量るようにしていた。

 誕生日ってモノ自体が、ゾロのいた島にはない。なにせ地域全体が大家族で子供が各家庭にわさわさ溢れている環境だった。ゾロ自身も、9人兄弟の下から二番目で。上に兄姉が居るうえに、同居の親族にも子供がいて、生まれた日がいつかなんて聞いたこともなかったなら、意識もしなかった。
 誰が生まれた日。なんて本人を含めて親も近所も覚えていられない。
 うじゃうじゃ子供が溢れてた。多産系の血筋しかいない島だった。 
「さあ・・・・知らねえ・・・」
 あまりにゾロらしい頓着ない言葉の裏事情も知らないサンジは、しかし違う方向に取った。

 サンジはまたゾロとは正反対に、生まれた日は小さな頃から祝ってもらっていた。
 家族は多かったが、ちょうど兄弟の真ん中で育ったサンジは、両親・祖父母に毎年のように祝ってもらった。
 兄弟たちもそれぞれにプレゼントを用意してくれていて、彼の誕生日の記憶は嬉しくも愛情溢れるものとして強く刻まれている。よって、サンジは脳内変換も著しく。
“ゾロは誕生日も知らない境遇で、ひとり寂しく生きてきた”
 なる、勘違いが生じていた。
 きっと早くに親兄弟とも死に別れ、ちんまり一人で生きてきたんだ。
 なんて可哀想なヤツなんだ。

 間違っているとは、誰にも教えてやれない。めでたいサンジである。

「じゃあよ」
 すっかり博愛の人・シュバイツアーか、動物に愛を注ぐムツゴロウの気分になっているサンジは、優しくゾロの耳元に囁いた。
「今日にしておけ。ベタだが、俺がてめぇのバースデー・プレゼントになってやるよ」
「・・・・・・・・・なんで????」
「なんでじゃねえ!こーゆー時は有難く、はいそうですかって受け取るモンだ!!!」
 俄かの仮面はすぐさま落ち、脅迫まがいの台詞でもってサンジは強引に押し切る。
「あ、ありがとよ・・・・」
「よし、んじゃあ始めていいぞ」
「えっと・・・なにを」
 まったくサンジの遣りたいことが分からず、ゾロは律儀に尋ねる。途端、掴んでいた手が振り払われ、ガコっと背中に蹴りが入る。
「おふっ・・!!!」
 いい具合に肝臓の辺りを背中側からやられ、息が詰まる。弾みで、もう一方の手も離してつんのめったゾロは、そのままサンジに強く抱きとめられた。
「だから!この状況じゃやることはひとつっきゃねえだろ!!セックスだよ、セックス!教えてやるから俺が言うとおりにしろ!」

 なんだか、分からないが。
 目的は思うとおりに果たせそうなゾロである。








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