朝日奈さんが例の3人を敵視する中、学級裁判は始まった。
 事件前に大神さんに呼び出されていた、十神くん、腐川さん、葉隠くんは、3人とも彼女に会っていないと主張をしたけれど……葉隠くんは嘘を付いていた。
 早々に嘘がバレた葉隠くんは、大神さんに会ったことは逆ギレ気味に認めたものの、雑誌のシャイニング……じゃなくてダイイングメッセージを指摘して腐川さんが犯人だと主張した。
 でも、その雑誌は棚の中に仕舞われていた。現場を調べられなかった葉隠くんは知り得ないはずだった。しかも、大神さんの指には血が付いていなかった……つまり、彼女が書いたものではなかったのだ。

「ひょっとして……葉隠君がねつ造したものだったりして……」
 霧切さんに指摘されると、葉隠くんは青い顔でしばらく唸ってから諦めたようにそれを認めた。ねつ造した理由を、半ば自棄になって言い放った。
「そ、それは……その……俺が、オーガを殺しちまったからだッ!!」
「ええっ……!」
 突然の自白に、私は驚きを隠せなかった。

「聞いてくれるか……俺の最後の話を……」
 葉隠くんは、観念したように経緯を話し始めた。
 大神さんに呼び出された葉隠くんは、他の呼ばれた人が来るのを粛々と待機していた。でも、ふいに大神さんが「今日ですべてを終わらせる……」と呟いたのが聞こえた時に、彼女に殺されるという恐怖が湧き上がり、モノクマボトルで不意打ち。グッタリとした彼女を見て、偽のダイイングメッセージを雑誌に残して立ち去ったのだと語った。

「これが、今回の事件の全貌だべ。後は、煮るなり焼くなり好きにしてくれ……」
「葉隠くんが……大神さんを殺したの……?」
「そういうわけだ、灯滝っち。さっき食ったオメーの飯が、俺の最後の晩餐だべ……」
 生気のなくなった葉隠くんには、まだ夜じゃないよと指摘できるような雰囲気ではなかった。
 全力で足掻く、生きてやる――その決意は、クロとしてみんなを欺くということだったのか……。
 理由がわかると……先ほどの葉隠くんの異常な落ち込みっぷりも、“約束”を持ちだしたことも、ご飯にこだわったり生き死にについて触れたことも、明確に繋がってくる。


 葉隠くんの自白によって、事件はスピード解決……には至らなかった。投票を急かす朝日奈さんに、霧切さんが待ったをかけた。
 ダイイングメッセージ入りの雑誌をテーブルに置いたままにしたと言う葉隠くんの発言と、雑誌棚に入っていた事実が矛盾するのだ。
 自白までした葉隠くんがここでも嘘を言う利点はなく、他の誰かが片付けたのは間違いなかった。そんな行動を取るのは名前を書かれた腐川さんではないか、と苗木くんが聞くも、真偽は不明ながら腐川さんは真っ向否定だった。

「犯人は……もう決まったんでしょ……!? さ、さっき……葉隠だって……そう認めてたじゃない……!」
「そうです。俺がやりました。」
「……いや、違うよ。」
 苗木くんは、葉隠くん犯人説を強く否定した。
 そして、大神さんの頭部の傷は2カ所で、モノクマボトルは1本でなく2本割れていたことを挙げた。
 葉隠くんは自白の中で1本の一撃と言っている上、2本目のボトルのフィギュアや破片は片付けられていたとなると、事件前後に他の人間が娯楽室を訪れた可能性は高まる。


 議論の風向きが変わってきたことで、葉隠くんは腐川さん真犯人説を推し始めた。
「あ、あんた……! さっきまで自分が犯人だって、言ってたクセに…ッ!!」
「俺は自分の過ちを認める事を恐れないんだ! そういうタイプなんだべ!」
 その切り替えの早さに、これこそ葉隠くんだなあと思う。……ただ腐川さんからすれば、堪ったものではない。
 ただ今回の葉隠くんは、しっかり根拠を述べた。自分が娯楽室に入る前に、先に腐川さん、次に大神さんが入ったのを見て自分も続いたのに、中に入ったら腐川さんが居なかったのだと言う。

 今更の新情報ながら、消えた腐川さんは開いて手形だらけだったロッカーに彼女が潜伏していたのでは、という推測ができた。
「腐川、俺に手間を掛けさせるな。正直に言うんだ……」
「……はい。あたしの手形です。」
 十神くんが促すと、腐川さんは素直に認めた。ロッカーに隠れて一部始終を見た彼女は、葉隠くんが退室した後に雑誌を棚に戻していたのだった。
 腐川さんは、大神さんを殺したかについては明言しなかった。起き上がった血まみれの大神さんを見て気絶して……人格交代してしまったのだと話した。


 後はあいつに聞いて、と小さなクシャミをした腐川さんは、瞬時にジェノサイダーに交代していた。
「聞かれた事だけ答えろ……お前が大神さくらを殺したのか?」
 聞かれることもないうちから聞かなくてもいいようなことを喋り出すジェノサイダーを、十神くんは端的な質問一つでこちらの流れに持って来た。
 腐川さんと記憶を共有していないジェノサイダーは、目が覚めた途端の血まみれな大神さんを見て、驚いて衝動的にモノクマボトルで殴ってしまい、その後自分が割った分のボトルの破片を回収したのだと言った。

 葉隠くんに殴られていない、いつもの大神さんだったら攻撃を躱せたはずだと、ジェノサイダーは不幸な事故だったかのように語った。……そうなると彼女が真犯人ということになる。
「いや……なんつーか……でも、よかったべ! オーガは俺が殺した訳じゃなかったんだな!」
「そうみたいだけど、全然良くはないから……」
 心底ホッとしている葉隠くんに、どうにか刺さらないかと釘を刺す。大神さんが亡くなった原因の一端であるのは間違いないというのに……。

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