9階まで来ました。
続・氷結クリフト
その九 「勝負の夜」
今日の宿はリネン交換を各自でしなくてはならない安宿です(少年自然の家的な)。クリフトは早速アリーナ姫の分のシーツを準備すると、彼女の部屋に行ってベッドメーキングをしてあげました。
「毛布は足元に予備を1枚、枕はふたつ重ねておきましょう」
すっかり旅慣れたせいか手際よく心地よい寝床を作っていくクリフトは、細部まで注意を忘れません。
「素敵な夜の為にアロマキャンドルも用意して」
なんか本格的ですね。
「裸になっても寒くないように、暖炉の火は強めに」
え、あの。
「避妊具と潤滑クリームはサイドテーブルでなく、
「自然と手が届く枕元に そ れ と な く ! 」
クリフトはそうして自らが手を伸ばして位置を測り、何度も何度もイメトレをして確認すると満足そうにシーツの張りを直します。
「確認(妄想)OK! きょ、今日こそ姫様と夢の一夜を!」
固く握り締めた拳を天に突き上げ、興奮冷めやらぬ心臓を抑えてクリフトは言いました。
「不肖クリフト! 今宵オトコにならせて戴きますッ!」
そうしてクリフトは今夜の想像を逞しくさせ、暴走する妄想に自身が耐えられなくなると、熱くなる鼻を押さえながら身をクネクネとさせました。
「ど、道具はまだ早いかな」(ハァハァ)
「やらせはせん! やらせはせんぞォォォッッッ!!」
「どあほうの妄想スケコマシが! 貴様は永遠に童貞じゃぁぁぁ!」
そうして老魔導師が部屋全体を氷室に変えて去った時、浴槽には何故か半裸になった神官が氷柱となって冷たく輝いているのでした。
「あれ? 私の部屋は?」
「此処は魔物の巣窟。姫様のお部屋はあちらでございます」
哀れ、氷結クリフト。
ドズル的に。
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