それはゴキブリが滅びないのと同じ。
暁!氷結クリフト
第5弾 「はじめての船上戦」
サントハイム三人衆を加えて、はじめての戦闘になりました。
「魔物の群れだわ!」
「む。たこまじんですな」
船上での戦いは経験したことのなかったアリーナ姫ですが、天性の戦いの勘が冴え渡り、モンスターの襲撃を一番に察知したのも彼女でした。
危険を叫んだアリーナ姫の一声に反応したパーティーがデッキに集まり、戦闘開始です。
さて新たに加わったメンバーがどう戦ってくれるのかと、勇者が剣を構えたところ、
「、よしっ!!」
「ク、クリフト!?」
クリフトがいきなり倒れました。
「えぇ!?」
なんで? 死んだの? とソロが驚いていると、いやいや、よく見れば彼は甲板に這うように張り付いているようです。
「な、なにしてんの」
ソロの足元に大の字になったクリフトは、なにやら前衛のアリーナ姫を凝視している様子。
「このアングルなら! あの絶対領域の到達点が、見、見える!」
「え」
視線の先には、たこまじんの攻撃をヒラリとかわしながら回転を加えたカカト落としをキメているアリーナ姫。ひらめくスカートの裾からは、瑞々しい太股と、その奥に隠れている禁断の純白が。
「それは神の領域! 聖なる輝き! あぁ、一度でいいから拝みたいっ」
「ちょ、おま」
神官だよね?
なんていう格好で這ってるんすかとソロが男として、てか人として彼に問いかけようとしたその時、
「どぅおぉりゃぁぁぁァァァァァァァァ――――ッッッッ!!!」
「一匹、始末しましたぞ!」
「いやそれ仲間」
氷の魔法使いが渾身のマヒャドをクリフトに放てば、船のマストを突き破らんばかりに聳え立つ氷柱が出来上がり、危うく一行の船はその氷の重みで沈没してしまうところでした。
本当に「悲劇のタイタニック号」になりかけた船の舵をギュッと握り締めながら、大商人トルネコは己の運もここまでかと乗員を見て覚悟を決めたということです。
哀れ、氷結クリフト。
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