氷結は滅びぬ!
(ムスカ大佐風に)
暁!氷結クリフト
第6弾 「温めますか?」
クリフトがやたら仲間(あの人)のヒャドで死ぬので、教会での度重なる復活のお願いに出費を重ねた一行は、宿代をケチって食事なしの部屋を借りることにしました。
それ故夕食は、近くのコンビニで買ったものを電子レンジで温めて食べることになります。
「なかなか温まらないね」
「壊れてるんじゃないの?」
フロントに備え付けてあるレンジから春雨スープを取り出したアリーナ姫は、皿の底に手を当てて温まり具合を確認しますが、先ほどから微妙なまま。
マーニャとミネアがレンジの出力段階を確認しましたが、弱いわけではなさそうです。
「これじゃ食べられないよう」
春雨はアツアツがおいしいのにと、アリーナ姫が困り顔でレンジを見つめたその時、
「姫様! 私が温めて差し上げます!」
「クリフト!?」
ちょ、なんで真ッ裸なんですか。
「昔から春雨は人肌でと申しますゆえハァハァ」
「「「きゃー!!!」」」
クリフトは恐怖に慄く女性陣にじわじわと近寄り、アリーナ姫の手に乗る春雨を凝視しながら言いました。
「そしてお食事が終わりましたら、姫様も温めて差し上げますっ!
「それはもう、じっくりと! ねっとりと! 燃え尽きるまでっ!」(鼻血)
「「「きゃー!!!」」」
「頭を冷やせェ! このウスラヴォケェッ!!」
「夜中に騒ぎおって! 宿泊の皆様に迷惑をかけるでないわぁ!」
そうしてあの魔法使いが去った後は、神官を包んだ巨大な氷のオブジェがキラキラと輝きました。
「カチンコチンになっちゃった」
フロントに吹き荒れた冷気は、クリフトのみならず、アリーナ姫の春雨にも被害が及んだということです。
哀れ、氷結クリフト。
安宿の備付レンジは大抵壊れてる。
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