いのちをたいせつに。
(某CMより)
暁!氷結クリフト
第9弾 「そんな場所はない」
突然ですが、一行はジャングルを冒険しています。
「あつい〜、かゆい〜」
アリーナ姫は腕を蚊に刺されたらしく、赤く腫れてしまった患部を掻きながら歩いていました。
「強く掻いてはダメよ。痕になっちゃうわ」
「だって痒い〜」
それを見たミネアが、ふくろからアンパンマンのムヒパッチを出して貼ってあげましたが、アリーナ姫は痒みに負けてその上からゴシゴシと掻いています。
「あぁ! 蚊が憎い!」
その様子を側で見ていたクリフトは、その手からドス黒い霧のアレを出しながら、鬼の形相で言いました。
「ジャングル中の蚊という蚊をザキッてやりたいくらいです!」
「頼むからやめてくれ」
ただでさえこの暑さでゲンナリしている勇者ソロがグッタリ顔で言いましたが、ザキ魔の神官は本気(正気)です。
「許せません! 激しく不快です!」
何よりもアリーナ姫が傷つくことを嫌う神官。特に痒みは回復魔法でも治せませんから、彼女を守れなかった事に憤りを感じているのかもしれません。
「姫様のお肌に触れるどころか、すっ吸うだなんてっ!」
クリフトは怒りを露にして言いました。
「わ、私だってこの熱さの中、吸い付きたいのを我慢しているんですよ!」
そ こ か よ 。
「ちょ、クリフト」
熱さで頭がおかしくなったのではありません。もともとこんなんです。
「汗ばむ姫様のしっとりとした白い肌をっ! 舐めたい! 吸いたい!
「エッチな赤い痕が出来るまで、すっ、吸い尽くしたいっ! あぁん!」(クネクネ)
「貴様をザキってやりたいわぁ! できることならなぁァァッッッ!!」
「あら、ちょっと涼しくなったわね」
「ミネア姉さま……」
氷の魔法使いが巨大な氷柱を残して馬車へと戻れば、魂も凍るほどの冷気を出す神官(氷結)によって一行は涼んだということです。めでたし、めでたし。
哀れ、氷結クリフト。
ホントにめでたい野郎です。
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