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スーパーエルオリオブラザー(ズ)

 
【プロローグ】
 
 朝、エイトが目覚めたら。
「兄貴!」
 いつもの帽子ではなく、白地に赤い斑点模様をした帽子を被ったヤンガスが恐ろしい形相で迫ってきました。
「大変でがすよ!」
 起きたばかりのエイトの身体をユサユサと揺さぶり、ヤンガスは懸命に事態の大きさを訴えていますが、エイトには何が何だかサッパリです。
……帽子が?」
 いつものトゲトゲ帽子でない彼に若干の違和感を抱いたエイトは、彼の頭部を心配そうに眺めて言いましたが、当のヤンガスは筋違いとばかりに頭を振りました。
 心地よい朝に彼の大声が響きます。
「違うでげすよ! ミーティア姫がチャゴス王子に攫われたでがす!」
「えーっ!!!」
 エイトは聞いてスッキリ目が覚めました。
 幼馴染のミーティア姫。つい先日、エイトは彼女をチャゴス王子との結婚式から連れ出してきたばかりです。それがまたどうして……
「キノコ城近衛兵もミーティア姫誘拐に警戒を厳しくしていたつもりじゃったが、」
「王様! いつの間に!」
 気付けばトロデ王が部屋の椅子に座って唸っていたので、エイトは思わずヤンガス的つっこみをしてしまいます。
 いや、それよりも。エイトは聞きなれない言葉を耳にして不意に聞き返しました。
……ってかキノコ城って何ですか」
 見ればトロデ王はヤンガスと似たような毒々しいキノコの帽子を被っています。
「そこでじゃ、エイト」
 しかしトロデ王はエイトの質問は軽く無視して本題に入りました。
「配管工のお前に頼むのもアレだが、ミーティアを助け出してはくれんかの」
「はい……って配管工?」
 エイトは慌てて言葉を繰り返しましたが、己の姿を見て更に仰天します。  今自分が身につけているものは、いつもの着なれた旅人の服ではなく、赤いシャツに青いデニムのオーバーオール。トレードマークのバンダナは、少しくたびれた赤いハンチング帽になっていました。
「そうじゃ。今からお主はサザンビーク城に乗り込み、ミーティアを救い出すのじゃ!」
「えー!!!」
 なにやら朝から大変な事になりました。
 よく状況も分かってないのに、いきなり救出命令を出されても。エイトは暫くまごまごしていましたが、トロデ王はそんな彼を急きたてるように起こします。
「武器もないのに……
「たわけ! 身ひとつで行くのがセオリーじゃ!」
 渡されたのは白い軍手のみ。どうやらコレひとつで行けということでしょうか。
 せめて格闘スキルを上げておけば良かったと思いながら、エイトは単身ミーティア姫救出へと向かうのでした。
 
(つづく)

 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

【ワンポイント】 お城の名前がキノコのまんまなのは、
因果関係を分かりやすくする為の善後策です。
どうかお見逃しを……(焦)。  
 
 
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