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Steins;Gate

 137 名前:名無しくん、、、好きです。。。[sage] 投稿日:2009/12/01(火) 18:52:35 ID:QwmgfenB
 シュタインズゲート投下します。
 二周目やりながら書いてたら思ったより時間がかかってしまった。
 30KB近いのでそんなもの読めるか! って人のために最後三行でまとめる。
 
 構成は人物紹介、用語説明、共通ルート1〜9章、紅莉栖ルートEND、そこから分岐するtrueEND。
 内容、フラグ条件的にtrueは紅莉栖goodと思ってもらっていい。
 6、7、8、9章末から鈴羽、フェイリス、ルカ子、まゆりの個別ENDに分岐する。これは後日書く予定。
 
 138 名前:Steins;Gate ◆l1l6Ur354A [sage] 投稿日:2009/12/01(火) 18:54:19 ID:QwmgfenB
 人物紹介(1/2)(※がある語句は後述の用語説明参照)
 
 岡部倫太郎(おかべりんたろう)
 ラボメンナンバー001。主人公。未来ガジェット研究所※の創設者。東京電気大学1回生。
 いわゆる厨ニ病であり狂気のマッドサイエンティスト鳳凰院凶真を名乗る。
 過去改変によって世界が再構成されても以前の世界の記憶を失わない特殊能力リーディング・シュタイナー※を持つ。
 
 椎名まゆり(しいなまゆり)
 ラボメンナンバー002。岡部の幼馴染。岡部の事をオカリンと呼ぶ。
 コスプレ衣装を作るのが趣味。メイド喫茶メイクイーン+ニャン2でバイトしている。
 過去の経緯で自分の事をオカリンの人質と呼称する。
 
 橋田至(はしだいたる)
 ラボメンナンバー003。自他共に認めるスーパーハカー。愛称ダル。
 日常会話に@チャンネル※語を多用する。初対面の女性の前でもセクハラ発言を自重しない。
 寝ている女性ラボメンを背後にエロゲをする等々。オタクとして振り切っている。
 
 牧瀬紅莉栖(まきせくりす)
 ラボメンナンバー004。若干17歳でアメリカの大学を卒業し、サイエンス誌に論文が載った天才。
 専攻は脳科学だが、物理学、特にタイムトラベルに関する造詣も深い。
 岡部は彼女の事を「助手」「クリスティーナ」と呼んでいるが本人は認めていない。
 
 桐生萌郁(きりゅうもえか)
 ラボメンナンバー005。IBN5100※を探す謎の女。
 常に携帯を手放さず、会話のほとんどをメールで行う。
 その超人的な入力速度から黄金の指圧師(シャイニングフィンガー)もしくは指圧師と岡部は呼ぶ。
 
 漆原るか(うるしばらるか)
 ラボメンナンバー006。柳林神社の巫女さん。だが男だ。
 マナーの悪いオタクに絡まれていたのを助けられた過去から岡部に心酔している。
 鳳凰院凶魔の弟子として意味不明な剣術を習わされているが本人は意外とノリ気。
 
 139 名前:Steins;Gate ◆l1l6Ur354A [sage] 投稿日:2009/12/01(火) 18:55:45 ID:QwmgfenB
 人物紹介(2/2)(※がある語句は後述の用語説明参照)
 
 フェイリス・ニャンニャン(ふぇいりす・にゃんにゃん)
 ラボメンナンバー007。メイド喫茶メイクイーン+ニャン2の看板娘。
 岡部の厨ニ病についていける唯一の人物。むしろ彼女が語る厨ニ設定に岡部の方が引き気味。
 凄腕の雷ネッター※だが多忙なため公式戦の出場経験は無い。
 本名は秋葉留未穂。
 秋葉原の土地開発計画に意見に言える立場におり、現在の秋葉原が萌えの聖地となったのは彼女による影響が大きい。
 
 阿万音鈴羽(あまねすずは)
 ラボメンナンバー008。未来ガジェット研究所の下の階のブラウン管専門店のバイト。
 いつもライダースーツ。なんか色々苦労しているらしく岡部からはバイト戦士と呼ばれる。
 
 天王寺裕吾(てんのうじゆうご)
 未来ガジェット研究所の下の階でブラウン管専門店を営むオヤジ。上の階は岡部に格安で貸している。
 岡部からはミスターブラウンと呼ばれる。綯(なえ)という一人娘がいる。
 
 ジョン・タイター
 2000年にアメリカの掲示板に現れたタイムトラベラーでIBN5100※というレトロPCを探していた。
 自身の乗ってきたタイムマシンの仕組みについてもいくらか言及している。
 詳細は現実世界のジョン・タイターを参照
 
 140 名前:Steins;Gate ◆l1l6Ur354A [sage] 投稿日:2009/12/01(火) 18:57:34 ID:QwmgfenB
 用語解説(1/2)
 
 未来ガジェット研究所
 秋葉原駅からほど近いビルの二階に居を構えるラボで創設者は岡部。
 設立当初は岡部とまゆりの二人だけで活動らしい活動は何もしていなかったが
 物語冒頭2ヶ月前にダルが加入し、未来ガジェットという画期的だが役には立たない発明品の制作が主な活動となる。
 未来ガジェット8号電話レンジ(仮)が完成したことで物語の幕が開く。
 
 電話レンジ(仮)
 電子レンジに接続した携帯にメールを送る事で、過去へとメールを送る事ができるタイムマシン。
 一度に送れる文章量はメールテキストで12バイト(全角6文字)*3通まで。
 長文は自動的に分割され、字数を越えた分は消滅する。
 この機能によって過去へと送られたメールを岡部たちはDメールと呼ぶ。
 また電話レンジ(仮)内に固形物を入れた場合、ゲル化した状態で過去にあった場所に戻る。
 
 タイムリープマシン
 電話レンジ(仮)に牧瀬紅莉栖が改造を施した物。
 記憶をデータ化し、過去の自分へと送る事で擬似タイムトラベルを可能とする。
 技術的な問題で一度に48時間前までしか戻る事ができない。
 
 141 名前:Steins;Gate ◆l1l6Ur354A [sage] 投稿日:2009/12/01(火) 18:59:04 ID:QwmgfenB
 用語解説(2/2)
 
 SERN
 詳細は現実世界のCERNを参照。
 本作中ではタイムトラベル実現の可能性に気づきながらも世界に対して隠蔽、
 非道な人体実験を繰り返し独自に研究を続けている悪の秘密結社の用な位置づけ。
 
 IBN5100
 1975年にIBN社から発売されたPC。2010年ではほとんど現存していない。秋葉原にあるという都市伝説がある。
 
 @チャンネル
 現実世界の2chを参照
 
 雷ネッター
 本作中に登場する架空のカードゲーム雷ネットアクセスバトラーズのプレイヤーを差す。
 フィールドに並べたカードを動かし、互いのカードを取り合う事で勝敗を決するゲームでTCGではない。
 このゲームを元にしたアニメ「雷ネット翔」にはウーパというマスコットキャラクターが登場する。
 
 リーディング・シュタイナー
 岡部倫太郎が持つ特殊能力。命名者は岡部本人。
 通常、過去の改変により現在が変わると、その世界の人間の記憶も変わった過去に合わせて置き換わる。
 しかしこの能力を持つ者は改変前の世界での記憶を持ったまま、改変後の世界に移動する事ができる。
 ただし改変後の世界での自分の過去の記憶を持つ事ができないという弊害がある。
 
 シュタインズゲート
 漢字で書くと「運命石の扉」。岡部倫太郎の厨ニ思考による造語。
 「これが運命石の扉の選択だ!」のように使う。
 
 142 名前:Steins;Gate ◆l1l6Ur354A [sage] 投稿日:2009/12/01(火) 19:20:39 ID:QwmgfenB
 プロローグ
 
 2010年7月の終わり、夏休み。
 岡部倫太郎(以下岡部)は椎名まゆり(以下まゆり)とともに、秋葉原のラジオ会館を訪れる。
 目的は8階で行われるドクター中鉢のタイムマシン開発成功記者会見だった。
 人もまばらな会見前の会場で、岡部は上階からの轟音を聞く。
 屋上へ上がるとそこには人工衛星のような高さ3メートル程の物体が鎮座していた。
 「ドクター中鉢の仕業か?」疑問は解けないまま、女性警備員に促され会場へと戻る岡部。
 会場に戻るとまゆりがいなくなっていた。
 探し始めてほどなくまゆりは見つかる。まゆりは雷ネット翔のカプセルトイを見ていた。
 100円玉が無いと言うまゆり。岡部が自分の小銭でそれを回すと転がってきたのは銀色のうーぱだった。
 まゆり曰くメタルうーぱというレアものらしい。岡部はそれをまゆりに渡して会場へと戻る。
 会見で中鉢が語ったタイムマシン理論がジョン・タイターのパクりであると気づいた岡部は声を荒げて抗議した。
 会見途中で口論を始めた中鉢と岡部を静止したのは牧瀬紅莉栖(以下紅莉栖)だった。
 紅莉栖に手を引かれるまま会場を後にした岡部。そこで紅莉栖から意外な問いかけを受ける。
 「さっき私に何を言いかけたのですか?」
 岡部は雑誌で紅莉栖を知っているが、実際に会うのはこれが初めてだった。
 突然の詰問に戸惑った岡部は得意の厨ニ病で話を誤魔化し、その場から逃げ出した。
 岡部がまゆりを迎えに8階まで戻ってくると会見は既に終わっていた。
 岡部から貰ったうーぱをなくしてしまった涙ぐむまゆり。そこに何者かの悲鳴が響く。
 まゆりにここに残るように言い、岡部は悲鳴の元へと向かう。
 そして通路の角を曲がった所で紅莉栖が死んでいるのを発見する。
 血溜まりにうつ伏せで倒れ、ピクリとも動かない紅莉栖に恐怖を覚えた岡部は逃げるようにその場を離れた。
 まゆりと共にラジオ会館から出た岡部は友人である橋田至(以降ダル)にこの事を伝えようとメールを打ち始める。
 「牧瀬紅莉栖が刺された」
 送信ボタンを押した直後、岡部は妙な感覚を覚えた。
 
 岡部の目の前で、数千人の通行人が一斉に消失していた。
 そしてラジオ会館の8階、ドクター中鉢の記者会見が行われたその場所に人工衛星が突き刺さっていた。
 
 143 名前:Steins;Gate ◆l1l6Ur354A [sage] 投稿日:2009/12/01(火) 19:22:08 ID:QwmgfenB
 1章 時間跳躍のパラノイア
 
 報道はラジオ会館への人工衛星落下を大きく伝えていた。
 岡部は通行人の消失や紅莉栖の死亡についての記事を探したがそれらは見つかる事はなかった。
 さらには人工衛星の落下によってドクター中鉢の記者会見は中止になっていた。
 自分の記憶と現実の齟齬に戸惑う岡部。しかし疑問は解消されない。
 とどめは死んだはずの紅莉栖との再会だった。岡部は記者会見のあった日の記憶を自分の妄想だと決め付ける。
 
 一方その頃@チャンネルではジョン・タイターと名乗るタイムトラベラーの出現が話題になっていた。
 岡部の記憶では2000年に一度現れているはずだが、何故か@チャンネル内では誰もその事について言及しない。
 過去に話題にした事があるはずのダルすら覚えていないという。
 
 ラボの下のブラウン管専門店にバイトをしたいという阿万音鈴羽(以後鈴羽)がやってくる。
 
 岡部はラジオ会館前で携帯のカメラで風景を撮っていた桐生萌郁(以後萌郁)と出会う。
 「俺は機関から狙われている身だ」と自分の写った写真の削除を要求する岡部だが、
 その成り行きでレトロPC「IBN5100」の捜索に協力する事になってしまう。
 
 岡部がダルに送った「牧瀬紅莉栖が刺された」というメール、
 これが発信日の5日前に届いていた事に興味を持った紅莉栖がラボを訪ねてくる。
 岡部は紅莉栖がラボメンになる事を条件に事の原因である電話レンジ(仮)の解析を彼女に依頼する。
 タイムマシンなんて有り得ないと主張する紅莉栖の目の前で、メールは再び過去へと送られる。
 
 144 名前:Steins;Gate ◆l1l6Ur354A [sage] 投稿日:2009/12/01(火) 19:26:37 ID:QwmgfenB
 2章 空理彷徨のランデヴー
 
 紅莉栖はこんな結果はありえないと憤り、ラボを飛び出していった。
 岡部とダルは夜通し「過去へと送られるメール」を再現しようと躍起になったが、
 紅莉栖が出て行って以降、何故か一度として成功しなくなってしまう。
 岡部はジョン・タイターの「2034年にSERNがタイムマシンを開発する」という発言を思い出し、
 タイムマシンに関するヒントを得るため、ダルにSERNへのハッキングを依頼する。
 その結果、SERNはタイムトラベル実験を9年前から行っており、それを世界に隠蔽していた事実が明らかになる。
 またジョン・タイターの協力でSERN内部にIBN5100でのみ閲覧可能なサーバーがある事も判明する。
 岡部はまゆり、フェイリス・ニャンニャン(以後フェイリス)、漆原るか(以後ルカ子)の協力を得て
 柳林神社にてIBN5100を発見。これを譲り受ける。
 
 145 名前:Steins;Gate ◆l1l6Ur354A [sage] 投稿日:2009/12/01(火) 19:28:42 ID:QwmgfenB
 3章 蝶翼のダイバージェンス
 
 ダルによるハッキングが進み、SERNの人体実験の記録が見つかる。
 それによればタイムトラベルを行った人間は超重力に押しつぶされ、ゼリー状になってしまうらしい。
 これは電話レンジ(仮)にバナナや唐揚げを入れた時に起こる状況に酷似していた。
 
 電話レンジ(仮)が過去へとメールを送れるのは午後12時から19時前後までと判明する。
 岡部たちはこの「過去へと送られたメール」をDメールと呼ぶ事にすた。
 ラボメンとして新たに萌郁を加え、実験として宝くじの当たり番号を過去へと送る事になる。
 送信ボタンを押した瞬間、岡部は眩暈を覚えた。
 当たり番号は確かに過去に届いていた。
 過去の岡部はそれをルカ子に教え、ルカ子は数字を一つ間違えて買っていた。
 だがDメールを送ったという事実は岡部以外に覚えている者はいなかった。
 
 岡部は過去が改変された事により皆の経験してきた世界も変わったのだと理解する。
 しかしそれなら何故自分だけが改変前の世界の事を覚えているのか。
 不安を覚えた岡部はジョン・タイターにこの事を相談する。
 ジョン・タイターは岡部を特別な存在であるとし「救世主になって欲しい」と告げる。
 ジョン・タイターが未来からやってきた本当の目的は「SERNによって支配される未来」を変える事だった。
 
 146 名前:Steins;Gate ◆l1l6Ur354A [sage] 投稿日:2009/12/01(火) 19:31:09 ID:QwmgfenB
 4章 夢幻のホメオスタシス(1/2)
 岡部たちはDメールによる実験を繰り返す。
 ダルはメイクイーン+ニャン2で開かれたフェイリスとの雷ネット勝負の結果を変えようとする。
 しかしDメールを送信しても過去が変わった様子はない。
 18文字程度のアドバイスではフェイリスとの実力差は覆らなかったのだ。
 岡部はDメールの内容が未来を変化させない些細なものであれば、皆の記憶も失われない事を確認する。
 
 萌郁もDメールを送りたいとラボを訪ねてきた。
 最初はプライベートな事だからと、送るメールの内容の公開を渋った萌郁だが
 結局は岡部らの説得に折れ、皆に内容を教える事に。
 萌郁の願いは携帯の機種変更をしなかった事にしたいというものであった。
 
 ルカ子の願いは女の子として生まれてきたいというものだった。
 だがルカ子の母親がルカ子を妊娠していた頃にはまだ携帯は普及していない。
 ならポケベルに送ればいいと、岡部はルカ子の母親が当時ポケベルを持っていた事を確認する。
 紅莉栖の言う「野菜をたくさん食べると女の子が生まれる」という俗説を信じてDメールは送信された。
 
 Dメールによる実験を繰り返した翌日、岡部はラボにあったIBN5100が消えている事に気づく。
 過去の改変によってIBN5100を手に入れたという事実がなかった事になったのだ。
 岡部は自分がIBN5100を手に入れた経緯をさかのぼり、フェイリスの自宅を尋ねる。
 フェイリスはIBN5100の捜索を手伝う代わりに自分にもDメールを遅らせて欲しいと求めてきた。
 こうしてフェイリスもラボメンとなるが、フェイリスの「これは交換条件だ」という主張により、
 岡部はフェイリスの送ったDメールの内容を知る事はできなかった。
 
 岡部がフェイリスの自宅を後にすると、秋葉原の様子は一変していた。
 アニメやエロゲーといった、いわゆる萌え系オタクを対象としたショップが全て消えていたのだ。
 岡部自身は知識としてしか知らない、かつての電気街としての秋葉原がそこにあった。
 
 147 名前:Steins;Gate ◆l1l6Ur354A [sage] 投稿日:2009/12/01(火) 19:35:12 ID:QwmgfenB
 4章 夢幻のホメオスタシス(2/2)
 
 Dメールによる大きな変化に、岡部は戸惑っていた。
 自分はひょっとして取り返しの付かない事をしているのではないか?
 しかし以前の世界を覚えているのが自分だけである以上、誰にも責められる事はない。
 友人たちとの出会いの過程は変わっているようだが、友人であるという関係自体は変わらない。何も問題はない。
 たった今送られてきた差出人不明の脅迫染みたメールも、岡部はいたずらだと忘れる事にした。
 
 いつものラボの集まりで、岡部はルカ子が本当に女の子になってしまった事を知る。
 信じたくない岡部だったが、ルカ子の股間を手で触れて泣かせた挙句、
 紅莉栖に正座で30分罵倒され続ければ、これはもう認めるしかなかった。
 
 岡部は鈴羽から自分がこの街に来た理由は父親を探すためなのだと聞かされる。
 会えるチャンスは明日しかなく、もし駄目なら秋葉原を離れるという彼女に岡部は自分なりの励ましの言葉をかける。
 翌日、鈴羽の後を付けようとする岡部を「親子水入らずにさせてやれ」と紅莉栖が静止する。
 夕方になり鈴羽の帰りを待つ岡部の元に鈴羽からの別れのメールが届く。
 無言の別れに納得がいかない岡部は駅へと走るが、鈴羽を捕まえる事はできなかった。
 
 岡部は過去の自分に「鈴羽の尾行を必ず行え」という内容のDメールを送信。
 過去の岡部は無事鈴羽の確保に成功し、鈴羽はもうしばらく秋葉原に留まる事になっていた。
 そして岡部は鈴羽の父がバレル・タイターと名乗っている事を聞かされる。
 
 148 名前:Steins;Gate ◆l1l6Ur354A [sage] 投稿日:2009/12/01(火) 19:37:23 ID:QwmgfenB
 5章 時空境界のドグマ
 
 ダルの調べにより、ラボが入っているビルに何故かSERNとの直通光回線が引かれている事判明する。
 紅莉栖はその回線を利用する事でSERNのタイムマシン研究施設を間借りし、
 データ化した人間の記憶を過去に送る事ができると提案。
 岡部は12時〜19時という時間帯の制限が、階下のブラウン管テレビの点灯によるものだと突き止める。
 かくして人類史上初の、人間が生きたまま過去へ移動可能なタイムマシンが完成した。
 岡部たちはこれを人間が物理的に移動するタイムトラベルと区別するためタイムリープと呼ぶことにした。
 だが岡部も、紅莉栖も、ダルも、実際にタイムリープをしてみようとは思わなかった。
 脳へデータ化した記憶を照射する事の危険性以前に、自分達がしている事の重大さに気が退けてしまったのだ。
 岡部たちは話し合い、このタイムリープマシンを世間に公表し、しかるべき研究機関に預ける事を決める。
 
 その日の夜。
 岡部、まゆり、ダル、紅莉栖、鈴羽の5人はラボでタイムリープマシン完成の打ち上げパーティを開いていた。
 その最中、テレビに秋葉原周辺の全駅に爆破テロ予告があったとテロップが流れる。
 鈴羽は岡部に用事を思い出したと言い、一人ラボを出て行った。
 
 静まるラボ。岡部は自分に送られてきた脅迫染みたメールを思い出す。
 突然ドアが蹴破られ、銃を持った複数の男達がラボへと押し入ってきた。
 事態が飲み込めず、言われるがままに手を挙げる岡部たち。
 男達の後ろから現れたのは迷彩服を身に纏った萌郁だった。
 萌郁は言う。タイムマシンを回収し、岡部、ダル、紅莉栖の3人には一緒に来て貰うと。
 萌郁はSERNのスパイだったのだ。萌郁を問い詰める岡部。
 岡部に反抗の意思有りと見た萌郁は警告としてまゆりを射殺する。
 怒りに任せ萌郁に掴みかかろうとする岡部、それではあなたまで殺されると岡部を制止する紅莉栖。
 突如、ラボに鈴羽が乱入してくる。
 鈴羽は投石で萌郁の銃を落とすと、武装した男たちを瞬く間に打ち倒した。
 銃を拾いなおした萌郁と膠着状態になった鈴羽は岡部に告げる。
 ――タイムリープマシンを使え、と。
 岡部はタイムリープマシンがある奥の部屋へと飛び込む。
 まゆりを死なせない、その一心で岡部はタイムリープを敢行する。
 
 149 名前:Steins;Gate ◆l1l6Ur354A [sage] 投稿日:2009/12/01(火) 19:52:32 ID:QwmgfenB
 6章 形而上のネクローシス(1/2)
 
 まゆりは11歳の春に最愛のおばあちゃんを亡くした。
 それから約半年、岡部が学校帰りに墓地に寄るとそこにはいつもまゆりがいた。
 岡部はまゆりがおばあちゃんに連れて行かれてしまうのではないかと不安になり、こんな事を口にしていた。
 「まゆりは俺の人質だ。人体実験の生贄なんだ」
 岡部がまゆりと二人で見ていた特撮モノの悪役の台詞。
 「そっか、人質なんだ。じゃあ仕方ないね」
 それからずっと、岡部はまゆりが連れて行かれないように、鳳凰院凶真を演じ続けた。
 
 無事タイムリープに成功した岡部の前に立ちふさがったのは世界の仕組みそのものだった。
 まゆりは死んだ。銃で撃たれ、ナイフで刺され、自動車に轢かれ、駅のホームで突き落とされて。
 岡部がどんな行動を取っても、その場に萌郁やSERNの人間がいなくとも、世界はまゆりの死に向かって収束する。
 タイムリープし続ける限り何度でもやり直しは効く。しかしまゆりの死を見るたびに岡部の精神は擦り減っていった。
 そんな岡部に手を差し伸べたのは紅莉栖だった
 紅莉栖は岡部がタイムリープしてきた事に気付き、一人で全てを背負い込もうとしていた彼を優しく諭す。
 まゆりの死という未来から逃げるのではなく、その原因を取り除かなければならない、と。
 
 岡部に解決法を示したのは鈴羽だった。
 鈴羽は2036年から来たタイムトラベラーであり、@チャンネルに現れたジョン・タイターその人だった。
 ラジオ会館に墜落した人工衛星は彼女の乗ってきたタイムマシンだったのだ。
 鈴羽はSERNに岡部たちのタイムマシン研究が見つかったのは、ダルへと送った最初のDメールが原因だという。
 SERNは自分たち以外のタイムマシン開発を監視する巨大ネットワークを持っており、
 Dメールがそれに引っかかったというのだ。
 IBN5100でSERNのサーバーに保存されているメールデータを消去すればSERNが襲撃してくる未来は消滅するという。
 鈴羽の言葉に一度は喜んだ岡部だが、すぐにこの世界ではIBN5100がラボに無い事を思い出す。
 鈴羽は自分の本来の目的がSERNに殺された父の意思を継ぎ、
 1975年でIBN5100を手に入れて岡部たちに託す事であり、
 2010年に寄ったのは父に会いたいという自分のわがままなのだと話す。
 
 150 名前:Steins;Gate ◆l1l6Ur354A [sage] 投稿日:2009/12/01(火) 19:54:37 ID:QwmgfenB
 6章 形而上のネクローシス(2/2)
 
 鈴羽の乗ってきたタイムマシンは3日前の雷雨を浴びて故障してしまっていた。
 タイムリープで戻る事もできず、岡部はダルに修理を任せ、鈴羽のために父親を探す事に。
 手がかりは父親の形見だというピンバッチ。
 岡部はネットと足で懸命に捜索するが、結局何の情報も得られないままタイムマシンの修理は完了してしまう。
 このタイムマシンは未完成であり、過去に戻る事しかできない。1975年に行けばそこで鈴羽は一人だ。
 そうダルから聞かされていた岡部は力無い自分に歯噛みする。
 鈴羽がタイムマシンに乗り込む直前、ダルは記念にこのピンバッチと同じものをラボメンの人数分作ろうと言い出す。
 それを聞いたまゆりは鈴羽の父親を見つけたと声を上げた。
 ピンバッチに書かれたアルファベットと数字はラボメンのイニシャルと年号であり、
 バレル・タイターのバレルとは樽(たる)の事。タイターはハシ『ダイタ』ルを潰したもの。
 つまりダルこそが鈴羽の父親だというのである。
 こうして父との感動の対面を果たした鈴羽は1975年へと旅立っていった。
 
 鈴羽を見送り、ラボへと戻った岡部たち。だがそこにIBN5100はなかった。
 岡部は下の階の店主天王寺裕吾(以後ミスターブラウン)から、橋田鈴と名乗る人物からの手紙を受け取る。
 そこに綴られていたのは鈴羽からの謝罪の言葉だった。
 鈴羽は1975年に着いてから24年間記憶を失っていた。タイムマシンの修理が不完全だった事が原因だった。
 鈴羽は手紙で岡部に懇願する。あたしが父に会えなかったあの日、どうかあたしを引き止めないで欲しいと。
 そうすればタイムマシンは雷雨に打たれて壊れる事はない、あたしは使命を果たしたい。
 手紙は最後まで謝罪の言葉が続き、「こんな人生は無意味だった」という一文で終わっていた。
 岡部はミスターブラウンから橋田鈴が10年前に首を吊って死んだ事を聞かされた。
 
 テレビに緊急速報のテロップが流れる。まゆりの死の時間が迫っていた。
 あの日の鈴羽を引き止めない。
 それはラボメンとして皆で過ごした日々を無かった事にするという事だ。
 鈴羽が切望した父との対面を無かった事にするという事だ。
 
 岡部は鈴羽の望んだ未来のためにDメールの送信ボタンを
 
 151 名前:Steins;Gate ◆l1l6Ur354A [sage] 投稿日:2009/12/01(火) 20:00:59 ID:QwmgfenB
 7章 虚像歪曲のコンプレックス
 
 岡部は尾行をやめるよう過去の自分にメールを送った。
 その瞬間、岡部のリーディング・シュタイナーは確かに世界線の変化を観測する。
 ラボにIBN5100は戻っていなかった。しかし状況に変化はあった。橋田鈴の死因が病死に変わっていたのである。
 
 岡部は紅莉栖に相談し、IBN5100がラボにあった世界線に移動するため、
 実験で送ったDメールを順番に取り消していく事を決める。
 順番から言えば次に取り消すべきはフェイリスの送ったDメールだった。
 岡部はその内容を聞き出すためにフェイリスを捜し歩く。
 
 岡部は雷ネットの大会の決勝でフェイリスが負けたという話を聞く。
 しかしまゆりの事で気を使う余裕の無い岡部は自宅に乗り込み、フェイリスからDメールの内容を聞き出そうとする。
 フェイリスはタイムマシンを使って大会で勝たせてくれたら、Dメールの内容を思い出してみせると言った。
 岡部は半信半疑ながらもその取引に応じ、この日の朝へとタイムリープした。
 
 フェイリスが決勝で負けたのは相手のギャラリーによる妨害で集中を乱された事が原因だった。
 妨害行為への対策と岡部の活躍でフェイリスは無事優勝を果たした。
 だが決勝の相手とその仲間に因縁を付けられ、秋葉原中を逃げ回る事になってしまう。
 岡部とフェイリスは間一髪の所でフェイリスの父に助けられる。
 
 その夜、フェイリスはDメールの内容を思い出し、岡部へと語った。
 前の世界ではフェイリスの父は飛行機事故で亡くなっており、
 フェイリスはその日に自分が誘拐されたというメールを送る事で、父が飛行機に乗らないよう誘導したのだった。
 しかしフェイリスの父は狂言誘拐の身代金を用意するために、
 橋田鈴から柳林神社に奉納して欲しいと預かったIBN5100を売り払ってしまっていた。
 
 狂言誘拐を無かった事にすればフェイリスの父は飛行機事故で亡くなってしまう。
 だがフェイリスは、今日の一件で父が自分を愛してくれている事がわかった。
 親友のまゆりのためにも、過去を元に戻してくれて構わないという。
 
 岡部はフェイリスの言葉に感謝し、Dメールの送信ボタンを
 
 152 名前:Steins;Gate ◆l1l6Ur354A [sage] 投稿日:2009/12/01(火) 20:04:58 ID:QwmgfenB
 8章 自己相似のアンドロギュノス
 
 Dメールを送信したことで、秋葉原は萌ショップが立ち並ぶ以前の姿に戻っていた。
 フェイリスの父が亡くなった事で、フェイリスは父の代理として会社の仕事に携わる事になり、
 現在の秋葉原の様相が生まれた。
 フェイリスの父が存命であれば、秋葉原にメイクーン+ニャン2は存在せず、
 フェイリスは看板メイドではなく凄腕雷ネッターとして名を馳せる事になる。
 それがフェイリスのDメールがもたらした世界の変化の全容だった。
 
 岡部は柳林神社を尋ねるがそこにIBM5100は無かった。奉納された後に消えてしまったらしい。
 岡部は自分のやるべき事をわかっていた。ルカ子を男に戻すのだ。
 
 ルカ子は男に戻る条件として岡部が自分の恋人になる事を挙げた。
 初めて会った時から好きだったというルカ子の告白に、岡部は一度はタイムリープで過去へと逃げるが
 二度目にはこれを承諾、まゆりの死のリミットまでの二日間を二人で過ごす事にする。
 
 一日目のデートの途中、岡部とルカ子が初めて出会った時の話題になる。
 ルカ子との出会いは性別が変わる前と後で変わっていなかった。その事に岡部は違和感を覚える。
 
 二日目のデートプランを思いっきり外した岡部は、ルカ子とほとんど話せないままタイムリミットを迎えてしまう。
 ルカ子は彼女として扱ってやれなかった。ルカ子を傷つけてしまったと悔いる岡部。
 ルカ子は泣きながら岡部に礼を言うと、自分の母のポケベル番号を預けてその場を去っていった。
 
 岡部はタイムリープで二日目のデートをやり直す。
 男と女ではなく、鳳凰院凶真とその弟子として二人は充実した一日を過ごした。
 ルカ子は自分が男であった時の記憶を持っており、
 女である自分がIBN5100を倉庫の掃除の際に壊してしまった事を告白する。
 男に戻ったら、岡部さんが好きだという気持ちは封印しなければならない。
 でも、岡部さんが女の子だった僕の事を覚えていてくれるならそれでいい。
 岡部さんが恋人だった僕の事を覚えていてくれるならそれでいい。
 
 岡部はルカ子の気持ちを受け取り、Dメールの送信ボタンを
 
 153 名前:Steins;Gate ◆l1l6Ur354A [sage] 投稿日:2009/12/01(火) 20:06:09 ID:QwmgfenB
 9章 無限連鎖のアポトーシス
 
 ルカ子が男に戻った事でIBN5100が壊れた過去はなくなった。
 しかし柳林神社を尋ねると倉庫の鍵が壊されており、またしてもそこにIBN5100はない。
 
 次に取り消すべきは萌郁の送った機種変更をするなというDメールだった。
 しかし岡部から機種変更をしろとメールを送っても過去の萌郁がそれに従うとは思えない。
 萌郁自身の携帯から送る必要があると考えた岡部は彼女の行方を捜した。
 
 萌郁の住むアパートに辿り着いた岡部は、その場にいた警官から萌郁が自殺したと聞かされる。
 岡部はタイムリープで萌郁の死ぬ前の時間へと戻る。
 アパートの一室で茫然自失とした萌郁の言葉の端々から、
 彼女がFBという上司から見捨てられたショックで自殺したのだと岡部は察した。
 まゆりを殺した相手に遠慮は無用と、岡部は萌郁から力ずくで携帯を奪い、Dメールを取り消そうとする。
 しかしどんな文面で送っても岡部のリーディングシュタイナーは働かない。
 岡部は萌郁が送る直前に文面を差し替えたのだと気づき、
 FBを引き合いに出して萌郁から本当のメールの内容を聞き出した。
 それは柳林神社にIBN5100を取りに行けという直接的なものだった。
 これを取り消すためには萌郁の上司であるFBの携帯からDメールを送るしかないと判断した岡部。
 岡部は柳林神社から運び出されたIBN5100の後をつけ、FBの正体を突き止める。
 FBはミスターブラウンだった。ラボにSERNとの直通回線が引かれていたのは彼がいたからだったのだ。
 SERNのIBN5100捜索員は、IBN5100を発見したら機密保持のため処分される。
 ミスターブラウンは萌郁のためを思って彼女を突き放したのだった。
 
 ミスターブラウンはその場で自害する。
 岡部は彼の携帯から「IBN5100の捜索を中止せよ」とDメールを送った。
 
 154 名前:Steins;Gate ◆l1l6Ur354A [sage] 投稿日:2009/12/01(火) 20:14:21 ID:QwmgfenB
 そしてIBN5100はラボへと戻ってきた。
 これでまゆりを救える。かつてない歓喜に岡部はダルと紅莉栖の前で高々と勝利宣言を始める。
 IBN5100で岡部がダルに送った最初のDメールの痕跡を削除すれば、全ては元に戻る。
 そこはSERNがラボを襲撃してこない世界。Dメールによって過去が改変される前の一番初めの世界。
 そして岡部は気づく。その世界は紅莉栖が死んだ世界であるという事に。
 
 155 名前:Steins;Gate ◆l1l6Ur354A [sage] 投稿日:2009/12/01(火) 20:16:12 ID:QwmgfenB
 以下、紅莉栖ルート
 
 10章 ――因果律のメルト
 
 SERNが岡部たちのDメールを見つけなければ、SERNはタイムマシンを開発できない。
 世界がSERNに支配される事はなくなり、鈴羽が未来を変えるために2010年にやってくる事もない。
 ラジオ会館に鈴羽のタイムマシンは墜落せず、ドクター中鉢の記者会見は予定通り行われ、
 
 紅莉栖は死ぬ。
 
 まゆりと紅莉栖はどちらかしか救えない。その事実から岡部は逃げ続けた。
 紅莉栖を死なせないために、この世界のまゆりが生き残る方法を探した。
 そして数え切れない程のタイムリープの果てに、岡部は紅莉栖を救えないと認める。
 
 紅莉栖に済まないと詫び、お前が好きだと告白した岡部。
 紅莉栖は返事の代わりに岡部の襟首を掴むと、岡部の唇を自分の唇へと引き寄せた。。
 「別にしたくてしたんじゃない。ただ、岡部が向こうの世界でも私の事忘れないようにって」
 「残念だが、俺はこれがファーストキスじゃない。長期記憶にするには印象が足りないな」
 誰もいないラボで二人は何度も互いを求め合った。
 
 そして岡部はIBN5100でSERNに残されたDメールの痕跡を削除した。
 まゆりとダルの3人だけのラボで、岡部は鳳凰院凶真として勝利宣言を始める。
 「何があったかはわからないけれど、オカリンもう無理しなくてもいいんだよ」
 まゆりの言葉に岡部は涙した。
 
 岡部は電話レンジ(仮)とIBN5100を処分した。
 過去の自分を否定しない。それは紅莉栖の言葉だった。
 岡部は紅莉栖を犠牲にしてまゆりを救った。その選択を決して否定するまいと誓う。
 思い出となってしまった紅莉栖の言葉の一つ一つを、胸に刻みながら岡部は生きていく。
 
 紅莉栖ルートEND スタッフロールへ
 
 156 名前:Steins;Gate ◆l1l6Ur354A [sage] 投稿日:2009/12/01(火) 20:32:54 ID:QwmgfenB
 trueENDフラグが立っているとスタッフロール中に鈴羽から電話がかかってくる。
 スタッフロールが逆流し、これまでのシーンCGが逆順に次々と切り替わる演出。最後に章題が表示される。
 
 11章 境界線上のシュタインズゲート(1/2)
 
 ラジオ会館の屋上に呼び出された岡部たち。
 そこに待っていたのは迷彩服を身につけた鈴羽と、以前見たものより真新しい印象のタイムマシンだった。
 鈴羽はこの世界の未来で起きる第三次世界大戦を防ぐため、この時代に来たという。
 未来を変えるために力を貸して欲しいという鈴羽を、岡部は一蹴した。
 紅莉栖を犠牲にしてようやく救われたまゆりをこれ以上死なせてなるものかと憤慨する岡部。
 だが鈴羽の目指す先は紅莉栖もまゆりも死なない世界だという。
 そこは世界と世界の境界、ありとあらゆる世界からの収束を受けない世界。
 通称シュタインズゲート。未来の岡部が発見した全ての未来が決まっていない世界だった。
 
 そんな世界が本当に存在するのか、仮に存在したとして今より悪くなる可能性があるのではないか。
 だが岡部はかつてラジオ会館屋上でこのタイムマシンを見ている。
 ならば自分がこの改変に挑戦する事もまた世界によって決められた事だ。
 例え僅かでも紅莉栖を救える可能性があるのなら、岡部は半ば諦めの気持ちで鈴羽の手を取った。
 
 そして岡部は失敗する。
 紅莉栖は父であるドクター中鉢に自身が書いたタイムマシン開発の論文を奪われ、殺されそうになっていた。
 岡部はそこに割り込み、中鉢の手にあったナイフを取り上げるが、
 なおも近くに落ちていたドライバーへと手を伸ばす中鉢に逆上。
 彼を刺し殺そうと突進し、中鉢を庇って割って入った紅莉栖を刺してしまう。
 
 岡部は鈴羽に引きずられるように元の時間へと戻ってきた。
 紅莉栖を殺したのが自分であった事に絶望した岡部を、まゆりは発破する。
 だがタイムマシンの燃料は後1往復分。次に失敗すれば、終わり。
 踏ん切りが付かない岡部の元に、差出人不明のメールが届く。
 それは2025年から送られてきたDメールだった。
 
 157 名前:Steins;Gate ◆l1l6Ur354A [sage] 投稿日:2009/12/01(火) 20:41:01 ID:QwmgfenB
 11章 境界線上のシュタインズゲート(2/2)
 
 Dメールに従いニュースを見る岡部。そこにはロシアの空港火災から無事救出された中鉢が映っていた。
 中鉢は自分の強運によって論文が燃えずに済んだ事をインタビュアーに自慢していた。
 論文の封筒に金属製の人形が入っていた事で金属探知機に引っかかり、
 貨物室でなく、機内へと持ち込む事になったというのだ。
 その人形は岡部がまゆりにあげたメタルうーぱだった。
 まゆりが落としたそれを紅莉栖が拾った事で論文はロシアに渡り、後の第三次世界大戦の引き金となったのだった。
 
 岡部の携帯に届いていたもう一通のDメール。それは2025年の岡部からのムービーメールだった。
 それによればシュタインズゲートに到達するためには二つの条件があり、
 一つは紅莉栖を救う事。もう一つは中鉢が紅莉栖の論文をロシアに持ち込むのを阻止する事だという。
 確定している過去は紅莉栖が血塗れで倒れている事だけであり、生死の操作は可能だという2025年の岡部。
 現在の岡部は赤色のサイリウム(赤く発光する液体が入った棒)とスタンガンを用意し、再び過去へと飛んだ。
 
 タイムマシンから飛び出した岡部はまずカプセルトイを回し、メタルうーぱを引き当てた。
 これにより紅莉栖の論文の封筒に入るうーぱはメタルでないただのうーぱになり、
 金属探知機に引っかかった事で論文が助かる未来は消滅した。
 
 岡部は階段で出会った紅莉栖に「俺はお前を助ける」とだけ言ってすれ違った。
 紅莉栖に何かを伝えようとした岡部という過去は再現された。
 
 中鉢が紅莉栖に襲い掛かる直前、岡部はサイリウムが古過ぎて固まっている事に気づく。
 サイリウム無しでは血塗れの紅莉栖という状況を作れない。
 岡部は中鉢を挑発し、自らの体でその凶刃を受け止める。
 腹部から血を滴らせ、吐血しながら高笑いを上げる岡部に中鉢は恐怖し、その場から逃げ出した。
 岡部は傷口に自分の手を差し込んだ。岡部の絶叫と共に床に血溜まりが広がっていく。
 岡部は自分の血溜まりの上にスタンガンで気絶させた紅莉栖をうつ伏せに寝かせた。
 こうして血塗れで倒れている紅莉栖という過去は再現された。
 
 158 名前:Steins;Gate ◆l1l6Ur354A [sage] 投稿日:2009/12/01(火) 20:46:35 ID:QwmgfenB
 エピローグ
 
 岡部は元の時間へと帰って来るとすぐにダルとまゆりによって病院へと運ばれた。
 鈴羽はタイムマシンと共に虹色の光に包まれて消えた。
 1ヶ月後、傷が癒え無事退院した岡部のポケットには8つのピンバッチがあった。
 岡部はそれを配りにかつてのラボメンの元を尋ねる。
 ルカ子は泣いて喜んだ。フェイリスには心の試練を乗り越えたという新たな設定を追加されてしまった。
 萌郁はミスターブラウンの店でバイトをする事になったようだ。
 岡部に二人を責める気持ちはなかった。タイムマシンに関わらない限り、彼らとは良き隣人でいられるだろう。
 ダルは相変わらずHENTAIで、まゆりとの関係はこれからもきっと変わらない。
 鈴羽にはいつか渡せる時がくる。その時まで彼女の分は大切にしまっておく事にした。
 
 岡部のポケットには2つのピンバッチが残っていた。
 一つは自分自身の物、もう一つはきっと持ち主に届く事はない。彼女はもうアメリカに帰っているはずだから。
 だがそれでもいいと岡部は思っていた。
 自分は一度彼女を見捨てたのだから。自分は一度彼女を刺し殺したのだから。
 それでも今、彼女はどこかで生きていて、自分は彼女と過ごした日々の事を覚えている。
 だからそれでいい。
 
 秋葉原の雑踏の中、岡部は視界の端を横切るその姿に、足を止めて振り返っていた。
 一拍遅れて彼女も振り返る。
 彼女はずっと探していたのだ。自分を助けてくれた名も知らぬ男の事を。
 
 「また会えたな、クリスティーナ――」
 「いや、だから私はクリスティーナでも助手でもないって言っとろう……」
 
 リーディング・シュタイナーは、誰もが持っている。
 岡部はポケットからピンバッチを取り出すと、彼女の手に握らせた。
 
 「これがシュタインズゲートの選択だよ」
 
 Steins;Gate trueEND
 
 159 名前:Steins;Gate ◆l1l6Ur354A [sage] 投稿日:2009/12/01(火) 21:37:01 ID:QwmgfenB
 以下三行でわかるシュタインズゲート
 
 たまたまできてしまったタイムマシンで過去を変えてみたら幼馴染が死んだ。
 変えた過去を元に戻したら今度は恋人が死んだ。
 そしたら未来の自分がなんとかしてくれてて恋人も助かった。終わり。
 
 タイムトラベルに関する科学考証、専門用語は注釈だらけになるので可能な限り省いた。
 あと余裕無くて飛ばしたけど、岡部は世界が変わったのを数字で確認できる機械を持ってる。(鈴羽が未来から持ってきた)
 個別については週末に投稿できると思う。そんなに長くない。ではエル・プサイ・コングルゥ。

163 名前:Steins;Gate ◆l1l6Ur354A [sage] 投稿日:2009/12/06(日) 02:46:51 ID:Osm9crl9
 鈴羽END
 鈴羽との思い出を消せなかった岡部は問題の根本的解決を諦め、ラボメン達と過ごす楽しい日々を繰り返す事にした。
 何をしてもリセットされる世界で、岡部はダルを殺っちまおう、鈴羽を犯っちまおうと考える自分に気づく。
 その黒い衝動を抑えるため、岡部は自分の心を殺し、機械の様に淡々とタイムリープを繰り返した。
 何度目かの世界で、様子がおかしいと問い詰めてきた鈴羽に、岡部は1975年に行ってもIBN5100は手に入らない事を話す。
 それなら二人で1975年に行こうと岡部を誘う鈴羽。二人なら何かが変わるかもしれない。
 僅かな希望を胸に抱き、二人は明日の見えない過去へと跳躍した。
 
 フェイリスEND
 岡部はフェイリスの父親を死なせまいとIBN5100を手放すなという2通目の脅迫メールを送る事にする。
 それによって変化した世界はフェイリス以外との人間関係が全て失われた世界だった。
 しかし未来ガジェット研究所が無ければ電話レンジ(仮)も生まれない。
 まゆりの死なない世界である事に安堵した岡部はフェイリスの恋人として二人で雷ネッターとして生きていく。
 
 ルカ子END
 岡部はまゆりを救う事を諦めた。
 スタッフロール後に子供を抱いたルカ子と寄りそう岡部のCG。
 
 まゆりEND
 10章タイトルが「――透明のスターダスト」に変化。大筋は「――因果律のメルト」と同じ。
 紅莉栖とのキスシーンがカット。代わりに岡部から事情を聞いたまゆりが紅莉栖と衝突するシーンが入る。
 辿り着いた世界でまゆりは岡部の恋人になった。
 まゆりは自分を見守ってくれている「誰か」を想い、今日も空へと手をかざす。
 
 以上。お疲れ様でした。

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