3days - 満ちてゆく刻の彼方で -
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本作が発売された6月はゲームに対する熱意を失っていたために、出会いは夏も終わりに近づこうかと言う頃でした。このゲームの存在は発売当時より知っており、個人的には気になる作品でした。気になったポイントとしては、本作が時間ループものであるということ。infinity以降ループものも結構プレイしてきましたが、不思議と良作に当たることが多く、ジャンル的に私に合っているのかもしれません。 本編に触れる前にシステムについて少々。本作にはブラッドリミッターシステムなるグロテスクな絵を制御出来る目玉システムが存在しますが、実際は絵をやや制御するだけであり、ほとんどの出血描写やテキスト表示はそのまま変わらないためあまり意味を成さない恐れがあります。ですから、心の底から残酷的な描写が嫌いだと言う方に本作はお勧め出来ません。また、この様なシステムを搭載した割にはグロテスク極まりないと言うほどの描写は殆ど無かったと私は感じました。贓物がぶちまけられているなどのCGは3箇所あったか無かったか程度で、バイオハザードをプレイ出来る方なら「あっそう」程度に感じることでしょう。ということで残酷描写に関しましては今一つです。 また、誤字が驚くほど多いです。修正ファイルを出していながらも改善されないと言うのが情けない(^^; ゲームは面白いのにその点がやや残念。 それでは本編の批評に入ります。 古き良き時代へ……「ゲーム」万歳! 3daysの魅力の一つは何度も時間を繰り返すことにより、知らなかったことを知り、対策を練り、あるいは別ルートを辿っていくシステムにあります。同じ世界を周ったために学習してここならこうするだろう、という選択を何度も何度も繰り返し、それによってルートが細かく分岐していく本作のゲーム性はかなり高いと言えます。途中、デスティニークリックを入れることによって、ただ読むだけで飽きてしまわない様に配慮がなされていたりもします。……まあ、選択肢を増やすだけでは駄目なのだろうか、という気も無きにしもあらずですが(^^; そして、実は何度も周回を重ねていくことが3daysの世界観の真相へと迫るための行動の一環でしか無いなど、時間と忍耐力をかなり要するシステムでもある、とも言えるでしょう。それだけに隠されていた真相はあっと驚くスケールで、中々歯ごたえのあるシナリオが待っています。スケールを広げすぎて、終盤やや急展開且つご都合主義な面もありましたが、相対的に見て良く出来たゲームであったと思います。 演出面としてはOPムービーの出来が中々です。ムービーへ突入していくシーンがまた凄まじいものがあるのですが、歌と相まってやる気を引き出してくれる出来。私はへこたれそうになったらムービーを見て充電してました(笑) 原画家が二人いる様で、絵もがらりと変わります。萩原氏、ramis氏、どちらの絵も可愛いのですが、両者ともどうも立ち絵のバランスが変わりすぎ。前を向いた顔と横を向いた顔で感じ方がかなり変わります。そして正面を向いた時の顔の鼻が無く見えてクリリンの様だ(苦笑) 「あれ?」と思うのはCGの塗りです。通常の立ち絵の塗りは普通なのに、イベントCGになると突如バランスがおかしくなったり、塗りが甘く見えます。「フリーゲームじゃないのこれ?」と一瞬目を疑いそうになりましたよ(^^; 打って変わって背景の出来は素晴らしい出来。町並みや自然など、恐ろしいまでの描き込み様。これだけグラフィック項目の得点差が激しいゲームも珍しいなあ……。 Hシーンは純愛もの程度で薄め。陵辱ものもあり。一度は必ず見ないとならないので、陵辱ものが激しく苦手な方はスキップすると良いかも。
続いて、「もう一つの3daysの魅力」について。 個人的に本作最大の魅力は、「主人公(プレイヤー)のヒロインへの愛」の魅せ方にあると感じました。 たまきに対しては最初から顔も属性も声も私的にクリティカルヒットして悶えまくってましたが、回を重ねていく内にたまきへの愛はさらにパワーアップして萌えの域を超え、いかにもアクの強いキャラの梨花を守ってやろうと思え、終盤では思いもしなかったほど美柚への愛が暴走しました(暴走?) 愛が深まるのは、ゲームにおいてはキャラが可愛ければ当たり前と言えば当たり前ではあるのですが、重要なのはヒロインへの愛をたった3日でプレイヤーに深めさせることにあるのです(美柚の場合は違いますが)。普通の恋愛ゲームではこれは中々成しえないことだと思います。学園ものなんかだとヒロインの紹介だけで終わってしまうかもしれませんね(^^; それを可能にしたポイントとは何か。 一つは間違い無くキャラクターの設定です。3日と言う期間はかなり短いです。もしターゲットが転校生だとするならば、ヒロインの紹介と主人公と少し話すくらいのことしか出来ないでしょう。でなければあまりにも急展開で違和感が拭えません。その様な短期間において問題を解決出来るのはたまきが幼馴染みであるからです。幼馴染みという属性を利用することによって、プレイヤーは実際には3日しか会っていないのにもかかわらず長い長い期間をたまきと過ごしていたと錯覚出来るんです。ここが私が幼馴染み属性である根幹を成しているのかもしれません(^^; だから3日で恋が叶っても違和感が無い。しかも3日間に重要イベントが挿入されているから尚更です。梨花に関しても同様です。激しくネタバレのため反転。梨花は妹であり、ずっと兄を慕って会わない間も待っていました。こんな健気な娘、妹属性でなくても守ってあげたくなりますよね!?(私は妹属性でもあります(^^;) 家族と言うのもまた、実際は3日しか会っていなくとも長い期間を過ごしてきたと錯覚させるに充分な設定です。以上が一点目。 二点目は、時間ループという本作のシステムそのものにあります。何度も何度も周回し、しかも毎回ヒロインを守れずに殺されていく主人公。悔しさは「今度こそは絶対に守る!」と強くヒロインを思うことに繋がります。生死をかけているのですから、その想いは格別のものがあります。死んでしまう、ということはやはり特別な意味を持ちますしね……。そこを上手く利用してヒロインへの愛へと繋げていった3days。熱いゲームです。 最後に。 ヒロインたち全員への愛が深まるからこそ、エンディングは胸打つものがあります。どのヒロインを選ぶのか。決してハッピーなだけでは終わらない結末。それこそが、「生きる」ということなのではないでしょうか。 *それでもハーレムエンディングがあって何となくほっとしますけど(^^; |