AIR
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Kanonで一時代を築いたKeyの第二作目がAIRです。Kanon並のクオリティーを保てるのか。いや、むしろ進化出来るのか。多くの鍵っ子達が見守る中、夏発売予定が秋に雪崩れ込みつつAIRは遂に世に登場したのであります。 例によってボイス付きの方を挙げておきます。違和感はほぼ無し。メジャーな声優陣を登用(Kanonから引き続いてる人もいますね)しています。 また、スタッフについても諸説出回っていることは有名でありまして、これまでシナリオに参加してきた久弥氏の名前がスタッフロールに無くなっております。これによって前作にあった「萌え」のステータスが軽減してしまい、いたる絵のキャラクターがどこまで活躍出来たのかもポイントとなっております。 OPムービーは秀逸な出来で、綺麗でプレイヤーを惹き付けて止まない音楽は健在。 Key第二作AIRは、秋空に真夏の太陽を輝かせることが出来たのか……? 驚愕の構造とゲーム性のジレンマ 結論から申しますとAIRの評価はKanonに勝るとも劣らない出来でありまして、皆さんの評価もかなり高い位置にあるのではないでしょうか。しかし、私はそんな中でこのゲームをKanonの様に手放しで高評価は出来ないのが現状であります。理由は幾つかあるのですが、まずこのゲームの構造を説明せねばなりません。ここからは申し訳ないのですが微妙にネタバレになっている可能性が高いので、まだ未プレイで一切のネタバレはやめてほしいという方は引き返されることを推奨いたします。 よろしいでしょうか。 AIRというゲームは3部構造になっており、最初の「Dream編」、次の「Summer編」、そして最後の「AIR編」から成り立っています。Dream編が終わった後にSummer編が始まった時までは私もあっと驚いたのです。まさか3人のヒロインを攻略した後に残った物足りなさがこの様な形で解消されていくとは思いもよりませんでした。しかし、Summer編が始まってみると、それは退屈でローテンポな文章が続く単なる読み物でしかなかったということが明らかになりました。選択肢が一つもないのです。本作が全体的に日常描写が長いADGであるということはDream編で分かったのですが、まさかSummer編で選択肢が一つもないとは思いませんでした。まだDream編は選択肢があったので退屈まではしなかったものの、Summer編はその点でもう少しテンポ良くストーリーを進行させても良かったのではないかな、と思ったわけです。その最もたるはSummer編は萌えが少ないことに起因します。萌えがあるから多少だらついた日常描写も許せるわけですが、萌えが少ないのにも関わらず単調なストーリーを繰り返されると少々つらいものがあるということ。これは小説ではなくゲームなんですしね。 以上からゲーム性という観点から見るとあまりにもAIRはシナリオに頼りすぎたという他ありません。最後はきっちりと締めてAIR編にバトンタッチは出来たので、シナリオ面から見ると優秀ではあるんですが、総合力としては微妙な線。意外性はあったのですが……なんともはや。
シナリオは優秀だ、などと言った手前いきなり手のひらを裏返すようで申し訳無いのですが、正直なところ私はAIRが何を言いたかったのかきっちりと伝わってきませんでした。Summer編までは良かったのですが、AIR編の終わり方があまりにも抽象的且つ不明瞭すぎたからです。どうも麻枝氏の中で自己完結している感が否めません。この批評自体は総合力重視でありますが、私自身は結構シナリオに重きを置くプレイヤーでありますので、シナリオで攻めることに異論はありません。しかし何故か納得のいかない結末。ハッピーエンドしか認めないなんてことは無いのですが……。 家族愛、自己犠牲の先に見えたもの。それはプレイヤーの姿なんでしょうか。答えは用意されませんでした。そこでプレイヤーが答えを見つけ出すことが出来るか出来ないかは置いておくとしても、今一つ納得のいかない終焉。萌えを拭い去った結末は難解なエンディング。確かにプレイヤーを感動の渦に巻き込んだことは間違いないのですが、どうも釈然としないまま夏は終わりを迎えたのです。 いや……本当は違うんだろうな。どこかで分かってはいるんだろうけれど、ストーリーに、いや観鈴に幸せになってもらいたいがばかりにこの様な書き方になったのかもしれません。 やっぱり凄いわ……Keyは…… |