Ever17 -the out of infinity-
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希望と絶望の狭間で Ever17。 このゲームほど驚かされたゲームは無かったと思う。いや、いつもの様にあまりにもいかれた設定に、とか電波すぎるキャラクターに、とかではなくて。純粋にシナリオに驚いたんですよ。真相を知った時、私は正直言って「ギャルゲー」という一つの文化に対する価値観が変わりました。 そんな驚愕のゲームが今回の批評で取り上げるEver17です。 思うに「予兆」はパッケージを手にした瞬間から感じていたように思う。手にしたのは大き目の箱に入った初回限定版。泣いている一人の少女と、悲壮感漂う表情で向き合う二人の少女。裏面を見るとストーリーの解説が載っていることが分かる。内容は海底テーマパークに偶然居合わせた数人の男女が謎の事件に巻き込まれて閉じ込められてしまい、そこからの5日間という期限内での脱出を目指す、というもの。いわゆるパニックアドベンチャーというやつですな。比較的一般向けな絵のキャラがパッケージには描かれているわけですが、現物を見ていただければ、とにかく何かオーラが出ていることがわかってもらえるかと思います。いや、むしろ感じてくれ。 プレイヤーはその場に居合わせる二人の男性の視点のどちらかを途中で選択してストーリーを進めていくことになるんですよ。ひとりはたまたま遊びに来ていた倉成武という青年。もう一人は記憶喪失で何故そこに居るのかも分からない少年。主人公を選択しなくてはならない、ってことです。視点によって攻略出来るヒロインが異なる形式です。 パニックモノである以上、舞台はストーリーの項を見てもらうとわかってもらえるかと思うのですが、絶望的な状況下にあります。そんな中でも明るさが失われずに一見不自然とも思えるところをプレイヤーが自然に受け入れることが出来るストーリー構成が為されているのは、キャラクターの素材を実に上手く調理しているからなんです。LeMUという舞台を生き抜くためには登場人物の誰もが必要不可欠である、ということが言えるわけです。何故なら一人でも欠けるとそこには不自然さが生まれるから。それがキャラクターを余すところ無く的確に使い切った証ですね。 また、ギャルゲーでコンシュマーということで萌えが重要なわけですが、それも心配ありません。何故なら彼女たちとLeMUで過ごすうちに「萌えを超越した何か」がプレイヤーに直撃すること間違いないからです。 これです。これを身をもって体験してもらいたい。 最後までプレイして初めてわかる劇的展開 本作のポイントは、何故わざわざ同じ場に居合わせる二人の視点をプレイするのか、というところ。同じ場にいるということは、一度仁英の視点でクリアーしてしまえばヒロインとのコミニュケーションとの兼ね合いで若干違いは出るものの、ストーリーの大枠がわかってしまうために展開が読めて面白みがなくなってしまうことが懸念されます。本作はそんなプレイヤー心理を見事に逆手に獲った、会った驚くトリックが用意されています。同じ場にいるにもかかわらず、視点により微妙に異なる展開を見せる脱出劇。何故こんなことが起こり得るのか? プレイヤーが疑問に思うはず。と言うよりも、視点を変えた時に疑問に思う箇所が無かったら再度プレイしなおすべし。必ず何か見落としているはず。というか気付いてくれないとまったく面白くなくなるんだー! そしてその疑問は最後までプレイすることによって解けることとなります。つまり、ヒロインを全員攻略する必要が有ります。ストーリーはやや長め。全員クリアーするには途中で若干中だるみするかもしれません。しかし、絶対に諦めてはいけません。頼むから堪えてくれ。Ever17は最後までクリアーすることによってその壮大な謎が解き明かされることとなるのですが、逆に言うなれば、最後までクリアーしなければ謎は一向に解き明かされること無く、このゲームの面白みの半分も分かることが出来ないからです。 Ever17をこれからプレイしようと思っている方、あるいは途中で止めてしまっている方。是非とも最後までやり遂げてほしいです。謎が解けた時、今まで味わったことの無い驚きと感動が貴方を襲うに違いない、と私は確信します。
ADGはあまり好きでは無いという方、若しくはADGは好きだけどギャルゲーはすきでは無いという方。この機会にEver17を手に取ってみて下さい。そして手に取ったからには最後までプレイして下さい。行き着く間もない展開と耳から脳が飛び出るほどの驚愕の事実に、きっと何かが変わるはずです。本作はゲーム誌上稀に見る超優秀作に違いないのです。臨場感溢れる音楽が、プレイヤーを画面から逃さないテキストが(私はクリアーまで眠れませんでした)、個性溢れるキャラクターが(私は沙羅萌えです/聞いてません)、そして何よりも創り込まれたシナリオが。すべての要素ががっちりと噛み合い、あらゆるゲーマーに鮮烈な記憶を植え付けるであろうEver17。そんな本作は永遠に語り継がれる一作に他ならないはず。もし、本作を買おうかどうか迷っている方。是非買って下さい(土下座)。そしてこのゲームの見に感じることが可能な、何度でもかみ締めることの出来る喜びと一度きりしか味わうことのかなわない驚きを体感してもらいたい、と私は強く思います。 |