Never7 -the end of infinity-
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完全版―進化と退化―
多くの謎を残した形で、主人公とヒロインとのハッピーエンドを描いたinfinity。K IDはそれから、DC移植に際してNever7という「完全版」とも言うべき infinityを送り込んできました。 7日間の合宿。合宿中に起こる数々のトラブル。何故かそれがループしてしまうとい う現象。主人公石原誠はループを利用して、「過去」に起きたトラブルを修正しようと します。シナリオもさることながら恋愛を前面に打ち出してきたinfinityでしたが、スト ーリーの真相が明かされた移植後は、恋愛を見せるよりはシナリオの緊張感を楽しむ度 合いが高まったゲームになったと言えます。流れる音楽は緊迫感のあるものばかり。場所 は閉塞感のある小島。謎を含んだヒロインたち。補完されたシナリオ。明かされる謎。 舞台は整いました。プレイヤーは石原誠に感情を思う存分移入し、ゲームにのめりこむこ とが出来るのでしょうか? 完全版は、果たしてそこまでのシナリオを用意出来たのでしょうか? 主体性と情報の限定 本シリーズの魅力は、思いも寄らない謎が、実際の学術などを登場させてリアル感を 持たせつつ次々と解き明かされていく過程にあるのですが、それを手伝っているのが主人 公とプレイヤーのシンクロ率です。主人公は、ゲーム中において様々な不可解な状況下に おかれるわけなのですが、この時の主人公の感情は極めてプレイヤーに近いといえます。主人公 石原誠は、主体性が無いキャラクターです。主体性を持たせなかったのは、プレイヤーが 石原誠というキャラクターに共感するよりも、シナリオに共感させるためでありましょう。主体 性の無い主人公を操るため、プレイヤーはゲーム世界を受け入れやすいのです。まあ、それだけならどんなギャルゲーでもやってることですね。本作の特徴としては、「どうし てこのようなことが起こるのか?」と、プレイヤーに興味を持たせることが上手いテキ スト構成も上手いことにあります。プレイヤーが「何故?」と思うようなことに対して主人公も同様に 疑問を持ちます。隙が無いのです。その辺りが単なるテンプレ主人公とはやや違うところですな。疑問を解決していく過程も見ものであり、極めて引っ張り 方が上手い。早く続きが見たいという衝動に駆られること必至です。テキスト構造の勝利と言えましょう。こういう技術に関しては打越氏の得意とする分野なんだなあ、と改めて納得。 こうして主人公とのシンクロ率が高まったプレイヤーは、Never7というゲーム の舞台にのめりこんでいきます。ここに本作の目的は達成されたのです。
ここまではシナリオとテキストの秀逸さを見てきたわけだが、恋愛面ではどうでしょう か。無限ループの謎を探索していく過程でヒロインの過去なども語られていくのですが、 それは無限ループの謎に違和感を感じない構成で自然に明かされていきます。ですが、本作は シナリオを楽しむことに力を注いでいる構成をしているために、どうしても恋愛面が薄 めに感じる点は否めません。そしてキャラクターの設定上、主人公と各ヒロインが恋にお ちていく過程がやや強引に感じてしまいます。以上の点から、Never7を純粋な恋愛A DGとして楽しむことが出来るかというと、疑問符が打たれるところでしょう。 極めて秀逸な構成でつくられたNever7。完全版にして、完璧に謎が解き明かさ れたかというとそんなことは無く、ラストを綺麗につくり、うやむやにして終わってし まった感も多少します。ですが、それでもなお十分に魅力溢れるシナリオ。鳥肌が立つ展開に、 プレイヤーは夢中になることは間違いないでしょう。PS2にも移植されているので、家 庭用ゲーム機を持っている方は是非とも手にとってもらいたい一品です。私的にかなりお勧め。 本作をプレイしていると億彦の言動が素直に笑えます。KID独自のゲームでは一番おいしいキャラかも(笑) 後、合言葉はくるくるくるみマジックですよ(謎) |