ALMA ―ずっとそばに…−
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魁氏の必殺技とは ALMAはインストールしてからクリアーまで2年以上かかったゲームです(^^; この間に、ALMAでは描かれなかった妹キャラ由衣とのHシーンが追加された「ALMA Complete Edithion」が出ております。値段も3800円と安くなっており、今ならこちらを買った方が断然お徳でしょう。ちなみに今回の批評はComplete Edithionではなく、普通のALMAのものです。 本作は元々、的良みらん氏の絵に惹かれて買っただけだったので、少し進めては止め、少し進んでは止め……を繰り返している内に気付いたら2年半近く経っていました。この2年の間にCLANNADをクリアーしているのですが、本作のシナリオライターである魁氏が担当したCLANNADのシナリオ(杏・椋編)はKeyらしくない普通の話であまり好きではなかったんですよね。それがまたプレイのモチベーションを低下させる原因となりました。そんなわけでグダグダな感じで少しづつ進めていたALMAでしたが、最後の最後に思いも寄らなかった大逆転劇が用意されていたとは! 逆転に次ぐ逆転劇 ゲームを開始すると、ムービー〜OPの流れになります。立ち絵とセリフとイベントCGを見せてキャラ紹介するだけと言う、実に単純な内容なのですが、このムービーが大変良い出来。ほとんどイベントCGを使っていないにもかかわらず、センスがある割り当てをしていて、歌がムービーに合っている。若干アニメーションがあり、それは大した出来では無いんですが、それでも普通の学園物では終わりそうにないな、と言うインパクトを与えてくれます。 キャラクター。的良氏の絵はほとんど弱点が見つからない可愛い絵。ある意味で完璧な仕上がりです。それ故に、万人向けであり個性が無いと言えるかもしれません。 性格ですが、円を除けばスタンダードなヒロインばかりで印象に残る程強烈な個性を持った娘はいませんでした。キャラクターよりもシナリオを前に押し出すタイプのゲームなので、この原画家と性格付けは正しいように思います。 ボイス。ヒロインは全員合っており演技も上手い。問題は男性陣。裕貴の声が明らかにやる気がなく、聞いていて腹が立ちました。楓も鼻にかけたような声が腹立たしい。キャラ毎に音声をON/OFF出来るシステムに救われた感じです。これなら男性ボイスは無い方が良かった。 グラフィック。鳥の氏が手がけているだけあって流石に素晴らしい。今、業界で最も素晴らしい背景絵師だと思います。イベントCGの塗りも非常に丁寧で言うことなし。 Hシーン。純愛もので、実用には堪えません。注目すべきは妹の由衣とのHシーンが無い点。当時のソフ倫規定に従ったものですが、安易に義妹にしてHシーンを付けるよりは、私はこの形をとった方が納得出来るので評価したいと思います。その意味で、今回のHシーン2項目の得点は、由衣のHシーンが無かったことに対して高得点をつけました。 ゲーム性。移動先の選択肢にお目当てのヒロインの表示がされるので、攻略はかなり楽でしょう。しかし、全ヒロインを攻略しなければこのゲームの真のエンディングを見ることは出来ません。これが味噌。 ストーリー。前半はまったりとした学園もの。後半はこれまでとは違った話が一気に展開していく構成となっています。只者では無いと言うことです。後半、ヒロイン達の想いが複雑に絡み合っていく様子は痛々しく美しく、ONEが現代に蘇ったような感じがします。本作の楽しみ方の一つは、一人クリアーした後、その娘のことを考えながら他の娘をクリアーすること。そうすることで、話の痛々しさが感じられて良い感じです。ただし、後半の展開がどのルートでも同じなので、一周目は驚くのですが、二周目以降流れが分かってしまい退屈になる感は否めません――と思っていたのですが、このゲームはメインヒロイン5人を攻略した時、さらに驚きの展開が待っています。この最後のシナリオこそALMAの真髄。これまで溜まりに溜まった痛々しさは感動へと昇華していくことでしょう。 ……ただ、梗編と香苗編のツジツマが合わなくなっていたり、ご都合主義的な面が見受けられるのが気になるところではありましたが。
本作のテーマは「信じ続けること」。確証の無いことを諦めずに信じ続けることは非常に困難なことです。勿論ただ信じるだけでは単なる怠け者に過ぎません。本作のように、「人事を尽くし天命を待つ」時が一番苦しい時です。これは自分との戦いに他ありません。自分の出来るだけのことをすべて行い、最後に残された出来ることが信じること。信じきれないと言うことは、まだ自分に出来ることがあると言うことですから。人と人の繋がりにこれを持ってきたのがALMAです。最後まで信じ続けることが出来たものが手にすることの出来るものが「愛」なのです。 しかし、本作は一方で非常に残酷なゲームでもあります。信じ続けても叶わないものがあるのです。どんなに努力しても我々日本人が米国大統領になれないことと同じで、決して叶わない愛のかたちも存在します。奇跡を全面に出しておいて、夢も希望も無い現実も同時に突きつけた意味とは……。 本来、叶うことが許されないことを信じ続けた場合、願いが叶うには代償が必要なのかもしれません。一見、あらゆる困難を振り払い、愛と言う幸せを手に入れたかに見える人々の裏で、大きな代償を払っている人がいることを忘れてはならないでしょう。それを覚えていることが出来たなら、取り戻した幸せを二度と失うことはないはずなのだから……。 |