アトリの空と真鍮の月

アトリの空と真鍮の月



 TOPCATといえば「果てしなく青い、この空の下で…。」(以下青空)でヒットを飛ばしたブランドですが、それは2000年の話です。
 ついこの前のような気がしますが、もう10年も前の話なんですよ!?
 で、翌年に「ReNN」(公式で無償公開されています)を発売した後、さっぱりゲームが出なかったのでブランドが消滅したかと思っていたんです。
 ところが密かに活動再開していたらしく、2009年TOPCATブランドで出たのがこの「アトリの空と真鍮の月」(以下アトリ)というわけです。
 箱を見た瞬間、青空っぽい感じが……というか裏に八車文乃が描かれているので、本当に続編かもしれませんね。
 続編であってもなくても、私の好きな伝奇・ミステリーのようなので、期待大。
 時期は失した感がありますが、本年一発目のプレイ記はこれでいきます。




第一回


 必要容量は2.3GB。最近のゲームならこんなものでしょう。
 修正ファイルが出ていますので、適用しておきました。

 始めるとタイトル画面からして美しいです。
 この透き通るような空気感のある絵と音楽は一体……。心が洗われていくようです。
 音楽がループなしで、終わると小鳥の囀りが木霊し続けるのも良い演出ですね。

 オープニングムービーはゲーム開始してすぐにあり、実写を交えつつ、立ち絵とイベントCG中心に進められます。
 青空は幻想的な歌を使いながらダークなシーンを交えるOPでしたが、今作は驚くほど明るくノーマルな作りになっています。
 一部見たことのあるような祠が出ていたりしましたが、それを除けば一体どこにホラー要素があるのか疑わしくなってくるほど。

 主人公が昔住んでいた村に舞い戻ってくる……という始まり方なんですが、今は割とノーマルな田舎学園物という印象です。
 村には古いしきたりがあって、湊家という一族が牛耳っている……といった田舎が舞台のゲームとしては王道な設定も用意されているようです。
 こういう設定のゲームは、最近では「ひぐらしがなく頃に」が有名ですね。
 ファーストインプレッションは全ヒロインが登場してからにしますが、こいつがいるってことは……。

 

 流石にもう青空の学校や村の名前は忘れたのですが、舞台が一緒なのかしら。
 それにしても何だか随分可愛くなってますな。もっと怪しげなおっさんだったんですが(笑)




第二回


 それでは恒例のヒロインファーストインプレッション。


 ◆神室立花……幼なじみの巫女さん

 といっても「巫女」というキーワードから想像するような清楚なキャラではありません。
 強気でわがままでちょっぴり寂しがりやなヒロインです。何か喋り方も古風というか変だし……。







 だがそれがいい!
 変なキャラとはいえ、俺のこと愛してくれちゃってるし、何の問題もなし。
 しかもたまにヤキモチ焼きとか超ツボであります。
 幼なじみでもありますし、真っ当に考えれば正ヒロインでしょう。
 一周目から狙っていく方向で。


 ◆湊 三葉……瓦割り大好きスポ根後輩

 出たな天敵スポ根少女……。
 何か知らないけどスポ根少女って苦手なんですよねー。
 マネージャーとかなら良いんですけど、どうも自分がスポーツやってるって娘はどうにも。
 一体どうしてなんだろう? 自分でも原因が分かりません。
 私自身が基本的にグダグダな人間なので、熱血系を受け付けられないのかしら。
 それはさておき、先輩を無条件に慕うとっても良い後輩です。
 主人公より力持ちだし頼りになります……って駄目じゃん!
 男として情けなさすぎるぞ……。


 ◆桐陰 朝……盲目の眼鏡少女

 出たな天敵眼鏡っ子……。
 何か知らないけど眼鏡っ子って苦手なんですよねー。
 ……というかご承知の通り、基本的に眼鏡っ子は以前から興味の対象外ですのでこればかりは止むを得ません。
 盲目なのですが、みさき先輩と違って精神的なものが原因らしいです。
 何やら「呪い」とか「山の神」とか興味深いキーワードが関係するようです。
 攻略対象としては興味ないですが、設定的には面白そうであります。
 ひょっとすると本作で一番のキーマンかもしれません。


 ◆此花 砌……本能のままに行動する未知の生命体

 無口系でもなく、暗いわけでもなく。かといって、存在感が強いわけでもなく。
 何か「事実しか喋らない」し、宇宙人みたいな娘です。
 とは言え、話していることは至極真っ当なので、どう形容したものか……。
 顔も声も可愛いし、これからが楽しみな一人です。


 ◆六車月乃……世間知らずのお嬢様

 孤独を好むお嬢様であります。
 青空の文乃をお嬢様にしたらこんな感じですね。名前も似てますし。
 極めて辛辣な態度をとりますが、時折見せるその世間知らず故のボケた行動が可愛らしいです。
 着替えを見られるのは恥ずかしくないけど、顔が近付くと真っ赤になったりと、意外と人間くさいところもあります。
 堂島(さっきの画像のおっさんです)と関わりがあるらしいですし、どう考えても重要な人物です。
 攻略は最後の方にとっておこうと思います。


 以上。一周目は立花狙いで。




第三回


 ふんぐるい むぐるうなふ くとぅるう るるいえ うがふなぐる ふたぐん

 やっぱりクトゥルフ入ってますよねーこのゲーム。
 夏まで進めてるんですが……あ、このゲームは春夏秋冬の章に分かれています。
 海守市の神社イベントなんて、カルティストがグレート・オールド・ワンを召還しているようにしか見えないんですが。
 ゲーム中、明らかに正気度チェックを要求されるところが多々ありますし(TRPGクトゥルフネタ)。
 青空もクトゥルフっぽいと思いましたが、今回もってことは間違いないみたいですね。
 まあ、こういうミステリーには打ってつけの題材ですし、続きを楽しみに進めていきましょう。

 それにしても、Hシーンが興奮させてくれます
 何ていうのかなー、主人公の至らなさが素晴らしい。
 漂ってくるイタズラされちゃってます感が、実に中学生っぽいというか……って登場人物は高校生でしたっけか。
 こういうのを見てると、知識しかなかった頃を思い出してしまうからか、妙に実感を覚えるんですよねー。

 それでは、引き続き立花攻略を進めたいと思います。




第四回


 立花編クリアー。

 これ、やっぱり完璧にクトゥルフ神話の世界ですね。
 登場するクリーチャー及び神格をクトゥルフ神話に結びつけるとこうなるでしょう。

 山神=グレート・オールド・ワン
 海神=アウター・ゴッド
 ●神=グレート・オールド・ワン
 アトリ=エルダー・ゴッド

 で、こいつらが支配権(生存権)をかけて戦う……と。
 その他の人物について書くと完全なネタバレになるので伏せますが、実にオカルト的であります。
 勿論、それが本作の売りであり、期待通りでもあります。

 しかし、立花編をクリアーしたことで、物語・舞台設定の肝がほとんど語られてしまい、謎がほとんどなくなってしまったような気も。
 というのは、立花編であるにもかかわらず、立花と主人公以外のキャラの場面が頻繁に登場し、解説されるからです。
 これは分かりやすいんですが、シナリオの組み立て方としてはまずいんじゃないかなぁ……。
 やっぱり他のキャラの場面はそのキャラのルートに任せた方が謎が残ると思うんですよね。
 まあ、まだ途中で出てきた文乃の謎は残ってるんですが……。

 それはそれとして。
 せっかくだから、俺は立花編で一番心に残った言葉を紹介するぜ。

「さすがに昔ほどかたくはならんが、なに、まだ出るものは出るじゃろうて……」

 爺様頑張りすぎ(爆笑)




第五回


 俺は人間をやめるぞ! ジョジョーッ!!

 ということで、朝編を進行中であります。
 残念ながら、朝に関してはアウトオブ眼中(もう死語?)ですので、やる気しねーと思っていたら……
 意外や意外、しっかり眼鏡なしバージョンも用意されているじゃないですか!
 しかもこっちの方は良家のお嬢様風で男の夢を具現化したような折り目正しい娘ですし、これで何の問題もありません。

 朝様にはしっかり養分になってもらわねば…… by上蔵
 ……今気付いたんですが、by上蔵って読むと「バイアグラ」になって嫌な感じですな(ぉ




第六回


 朝編クリアー。

 朝に養分になってもらったら、思いっきりバッドエンドになってしまいました。
 ですから、仕方なくもう片方を犠牲にしてしまったのですが……。
 痛い……これは痛いエンディングだ……
 このエンディングを迎えることで、●の魅力を再確認しました。
 何と健気で可憐なのでしょう。そして何と哀しい存在なのでしょう。
 こんな出来レースが許されるのでしょうか!
 消えることが前提だなんて、あまりに救いがないではありませんか。
 しかし、だからこそストーリーとしては美しい……。
 こんな絶妙なバランスをつくってしまったシナリオライターを褒めたらいいのか恨めばいいのか。
 ともあれ、予想外に朝(といって良いのか?)というキャラクターが好きになってしまいました。
 うーむ……やるじゃないか……。

 次回、砌攻略予定。




第七回


 砌編クリアー。

 共通ルートが多いので、途中の感想は割愛します。
 途中で難易度の高い選択肢がありました。
 5連荘で質問を浴びせられて1つでも間違えるとバッドエンドです。
 ノーヒントだったので何回かロードしました……。

 砌は妹属性の諸兄なら気に入ると思います。
 実際は妹じゃないんですが、まあ、そういうことです。

 で、立花編で「謎がなくなった」とか書きましたが、思った以上に新事実が残っていたようです。
 というか、何も分かってなかったっぽいです(汗)
 砌と海神の意外な関係とか、儀式と生死の因果関係とか……。
 しかも、大戦中のドイツ軍とかSCAPとかHQとか、現実味のある単語まで飛び出てきましたし。
 第二次世界大戦は私の研究対象なので、架空でも話に絡むのは嬉しいところであります。
 これ、国内で完結すると思ってましたが、実際は世界を巻き込んだ壮大な歴史絵巻なんでしょうかね?
 全員クリアーした辺りで判明するとは思いますが……って早速タイトル画面が!?

 しかし、ここは引っ張って次回は三葉を攻略予定。




第八回


 三葉編クリアー。

 この娘ねー、笑えるけどヒロインとしては終わってますよ。
 ドリフとかクレイジーキャッツは面白いけど、萌えるってことはないでしょう?
 非常に重要な役割を持っていますし、ムードメーカーではありますが、そこまで。友達止まりのキャラですね。

 三葉編で明らかになったのは、このゲームが転生物だったということ。
 クトゥルフっぽさを残しつつ、久遠とか痕に近いものも感じます。
 結果、何故スタッフロールで「桐陰 朝」がトップに来るのか見えてきました。
 どう考えても朝はメインヒロインではないので、「声優が北都みなみだから?」と見当違いなことを考えてましたが、理由があったようです。
 正確に言えば朝ではなく●なんですが、そういうことだったのね……。それなら納得。

 次回、月乃攻略予定……なんですが、フラグが立ちそうな選択肢がないので、これは夜モードに切り替えが必要かも?(謎)




第九回


 
 文乃ちゃんも良いが……

 
 月乃ちゃんも捨てがたい……。

 凄く辛らつな態度をとられたかと思えば、突然名前で呼んでみたり、クッキーを焼いてくれたり……
 何? 表向きは冷たいけど、本当は俺のこと愛してくれちゃってたりするんですか?
 でも、ツンデレにしてはデレがなさすぎるんじゃ?
 かと言って、あまりに突発的なので計算づくとも思えないし……。
 あーもう! 二人とも全然読めないっ!?

 かなり忘れているとは言え、文乃ちゃんは青空からこういうキャラだった気もするんです。
 でも、月乃ちゃんはまったく分かりません。これは天然といえばいいのか、クールデレなのか?
 いやー、こういう謎キャラ大好き!




最終回


 月乃・文乃エンドクリアー。EDは別々ですけど、Hシーンとラストが違う程度。これにてコンプリートです。
 しかし……





 なんじゃこりゃ???

 月乃と文乃は、他のヒロインルートでの登場時間が他のヒロインに比べて極端に少ないです。
 二人は本編の鍵を握るキャラですから、種明かしを最後に持ってこさせるゲームデザインは間違っていません。
 二人のルートは、他のルートと異なり共通ルートがほとんどありません。
 これまで出てこなかった「舞台裏」を選択肢ほぼなしで、ノンストップで垂れ流します。
 それは良いですし、月乃編のラストは大団円のハッピーエンドになっていて微笑ましい気分になりました。
 しかし文乃編エンドは……

 なんじゃこりゃ???

 と言わずにはいられない意味不明な結末でしたよ。
 二人が過去に行ったのは想像出来ますし、予想通りです。
 でも、第3の姉とか、文乃が接敵したマリオみたいになってるのはどういうこと?
 そんなこと本編で一言も語られてなかったし、前作にもそういう記述はなかった気が……。
 それとも何か予想させるシーンがあったんでしょうか。
 え、何、ひょっとして私、頭悪いですか?
 流石に前作のことを思い出せと言われると勘弁ですが、今回でそれを示唆するセリフがあったらご教示下さい。

 それと転生物と思っていましたが、二人のルートでは過去の記憶がほとんど現れませんでした。
 朝をメインヒロインたらしめる理由は、それぐらいしかないだろうにどういうつもりなんでしょうか。
 せっかくあれだけの設定を用意しておきながら、生かさないとは勿体ないですね。
 これを作りこめば、AIRのsummer編級の話が作れるでしょうに……。

 それと他のルートのラストで母親に意味深なことを言わせてみたり、本ルート冒頭で意味深な記述があった割には以後言及がありませんでしたね。
 神奈が「ひとめぼれ」したのは神奈の血筋と九重姓との相性を考えれば当然のこと。
 しかし、父親と不通だったくせに堂島の餌食になるなど、ほとんどヤラレ損に終わってます。救済措置なしとは何とも……。


 ■総括
 謎めいた結末と、サブエピソード少なさが、本作の完成度を下げてしまっています。
 余計なことをしなければただの良い作品で終わっていたでしょうね。飽くまで「ただの」ですが。
 逆に言えば、それだけ畳みきれなかった風呂敷の中身が魅力的で妄想力を誘うものだったのです。
 「これだけ書いているのだから、最後はきっとこうなるんだろう……!」と。
 それだけ期待させておいて、結局何もないんだから、肩透かしもいいところです。
 何もラストシーンをすべて描けと言っているわけではありません。
 ラストの謎が解ける精度の高いヒントをシナリオに組み込んでおいてくれれば良いのです。
 想像出来る条件すら整えてくれれば問題がないわけですが、それが(あるいは意図的に)行われていなかったのが残念です。

 ただ、それを除けばホラーミステリーとしてよくまとまっていると思います。
 血筋や当て字を使い、登場人物全員を絡めていっている点は特に評価出来ます。
 そのため共通ルートが多くなってしまう事態も招いていますが、そこはギリギリセーフでしょう。
 また、青空からの引継ぎ要素がかなりありますが、前作については知らなくてもプレイ出来ます。
 私もほとんど内容を忘れていましたが、問題ありませんでした。
 前作といえば、今回もクトゥルフ的な要素が色濃くなっており、そこは好き嫌いが出るところかもしれません。
 後半は怪獣大決戦になっており、ラヴクラフトというよりダーレス(両人ともクトゥルフ神話の作者)っぽくて分かりやすくなっていますが。

 そんなわけで、ラストを除けば合格点。全体的に見れば後一歩といったところでしょうか。
 全力でお勧めしようとは思いませんが、ミステリー好き・田舎好きの方はプレイしても良いでしょう。
 萌えやエロが薄いシナリオ重視のゲームですので、その点はご勘案下さい。
 まああれです。こんな意味深な終わり方をしたわけですから、9年後に期待しましょうか。




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