果てしなく青いこの空の下で…。
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このゲームは少し古いのですが、今だ尚、愛されて止まないロングセラー作品です。2002年2月21日にはKIDからPS移植版「どこまでも青く…」が発売され、2003年5月10日には主題化を含む4曲入りおまけCDを同梱したメモリアル版が発売されました(内容は同じ)。 ゲーム開始前までは、閉鎖される学園を舞台に最後の一年を過ごす少年と少女の青春の一ページ……と言うどこかノスタルジックな内容の物語が繰り広げられるものと思っていたんですよね。ところが、そんな大方の予想を大きく外れ、本作のシナリオはまったく考えもしなかった結末へとプレイヤーを導きます。 本作はただの恋愛ゲームではありません。伝奇物と言った方が良いでしょう。少女達と安曇村に隠された謎を解いて解かせる傑作ADG。アドベンチャーを愛するゲーマーは是非とも触れておきたい一品であると私は思います。 エロゲー界の宮崎作品? ゲームを開始すると、ムービー〜OPの流れになります。このムービーの時点で「一体このゲームは何なんだろう?」と私は思いました。よく分からない単語が出てきて、登場人物の紹介が唐突に始まる構成。寂しげな音楽とシリアスな雰囲気。どこか謎めいた雰囲気を感じることが出来れば、きっとこのゲームが好きになれるはずです。 キャラクター。絵ですが宮崎駿作品そのもの。故にクセが強い。好きな人は好きでしょうし苦手な人は苦手でしょう。私は好きでも嫌いでもないので素直に受け入れることが出来ました。ヒロイン性格付けは文乃がとても良いものを持っていますが、他キャラは割とスタンダート。だから駄目と言うことではありませんが。対して男性陣は際立っており、堂島の極悪非道ぶりに全米が泣きました。彼がいなければこのゲームはここまで面白くはならなかったことでしょう。当時は堂島への強い嫌悪感を表す人が多かったのですが、実は私はそれ程酷くは感じませんでした(^^; 陵辱ゲームは苦手なはずなんだけどなぁ。 グラフィック。背景は結構綺麗で細かく描かれています。枚数もそこそこ。対してイベントCGは描き込み・塗り共にやや粗雑な感が否めません。立ち絵のパターンは少な目です。 Hシーン。純愛系シーン、陵辱系シーン共に存在します。全体的に短めで実用性は無いのですが、何かいけないことをしているような妙な――言ってみれば中学生的な――興奮を感じることが出来るでしょう。これは宮崎ワールド的な絵が影響していることは間違いないのですが、それだけではありません。知識の少ない女の子が興味本位で接してきたり、清楚な雰囲気を持った女性が普段の生活では考えられないくらい乱れるところが良いのだと思います。 ゲーム性。このゲームはシナリオも面白いのですがADGとして見ても面白い。昨今の声付き紙芝居とは違って、グッドエンド、バッドエンドが個別に用意されており、各ルート選択肢毎に様々な展開が用意されています。同じルートでも選択肢が違えばシナリオ展開も微妙に異なってくるわけです。また、バッドエンドにも意味があり、グッド、バッド共にクリアーしないとシナリオが理解出来ない仕組みとなっています。 ストーリー。最初に書いてある通り、私は購入時にこのゲームは閉鎖される学園を舞台にした切ない別れの中で愛を確かめる物語だとばかり思っていたんです。ところが、予想は大きく外れます。本作は春夏秋冬の4章から成り立っています。夏の前半までは予想通りにノスタルジックな学園物として話が進んでいくんですよ。ところが、秋からガラッと様子が変わってきて、舞台である安曇村とヒロイン達に隠された不気味な謎を解き明かしていく推理物となっていきます。推理と言うよりは内容からすると伝奇物といった方が相応しいかもしれません。詳しくはネタバレになるので書きませんが、痕やWindの話が好きな方が触れてみると「当たり」と感じられるかと思います。後、どことなくクトゥルフっぽいのでラヴクラフトが好きな方にも良いかも。こう書くと純愛学園ストーリーが好きな方には合わないと感じられるかもしれません。確かに絵も話もクセはあるんです。しかし、萌え要素も十分にありますので極端に伝奇や陵辱が苦手でなければプレイして損することは無いかと。一周4時間〜5時間程度とプレイ時間も長くないのでお勧めです。
謎めいた不思議な物語が魅力的な本作ですが、そのテーマは「信頼し信頼されること」。 登場する女の子たちは皆、主人公を信頼してどう動くのかを見ています。主人公の行動によって自分がこの先どうするのか決めるのです。疑うことを知らずに一心に主人公を信頼し続ける彼女たちの心はまるで青い空。しかし、一方で様々な不安を胸に秘めています。この先自分はどうなるのか、このままで良いのか……。そして時に少女はこれまでの少女では無いかのような様な行動をとってしまいます。そんなヒロイン達を信頼し信頼にこたえることが出来るのか。どんな時も、どんなことでも。 彼はどこまでも広がる現実を超えた世界の下で迷う彼女の道標。この世界に彼女に道を示せるのは彼一人しかいないのです。道が正しければ彼女は微笑みかけてくれるでしょう。その笑顔こそ彼にとっての道標。 現実も幻想もすべてが一つの「果てしなく青い、この空の下で…。」 |