Close to 〜祈りの丘〜
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二段構えで革命を ごとP氏の描くキャラは幼めな感じがするんですけど私は好きです。PS2にも移植されたClose toですが(翔子はショートに限ると思う)、とにかくパッケージからロリロリ光線が漂ってきてかなわないわけですよ。それにやられて買ったわけですが……。 本作の特徴ですが、通常のアドベンチャー形式の中にルームパートというものが混ざっています。簡単に紹介しますと(その前に一応ストーリーの項も見て下さいね)、ヒロイン遊那の部屋に幽体離脱してしまった主人公は記憶喪失になっている遊那に向かって思い出してもらえる様に働きかけるのですが、如何せん幽霊状態の主人公。遊那は気付いてくれません。そこで幽霊になってから手に入れた念力パワーを使って遊那の部屋にあるものを動かしたり探ったりして遊那に存在を訴えかけるのです。一日に動かせる物には限りがあり、期間内に遊那に気付いてもらえなければバッドエンドへ。いかに気付いてもらえるように念力を送るかがルームパートの決め手なのです。これにアドベンチャー形式を織り交ぜ、Close toは進んでいきます。 明確化されたテーマと消え去る新システム このルームパートなんですが、馬鹿っぽいシステムに見えて意外と難しい。しかも実際は遊那編以外はあまり活用しないのがまずい点。一度クリアーするとタイミングも同じであることが分かるので殆ど遊べないのも残念。何と言うか非常に鬱陶しいシステムなわけです。ノーマルなスタイルで挑んでくれれば良かったのに。 ですが、このゲームの魅力はそんなルームパートシステムに非ず! 正直なところ、私はこのClose toに何の期待もしてなかったのですよ。こんなルームパートとか言う訳の分からないシステムに幽体離脱とかいうまるで馬鹿馬鹿しい設定を用意して何が「愛は決して滅びない」(本作のキャッチコピー)だ、と。私はごとP氏のキャラに萌えるためだけに買うんだからなー、とこう思っていたんです。いや、ストーリーに「元樹は大ショック!」とか書かれてると思いっきり地雷っぽい気がしませんかね? しかも遊那って現在進行形で開始当初から彼女だし、遊那以外のヒロインとED迎えたら愛、滅びまくりじゃん、と。でもやられたよ……私が悪かったよ……。まさかClose toで泣いてしまうなんて。 このゲームの何が良かったのかな、と考えた時、思い当たるのはストーリーの短さです。かなり短時間でクリアー出来ると思います。短いというのは悪い点と捉えがちですが、本作の場合は逆でした。というのは、短い中でしっかりとテーマを表せていたからです。短い期間で何かを表しきることってとても難しいんですよね。それを成し遂げたからこそ、Close toは強いんです。
今思えば期間内に気付いてもらえなければおしまい、という設定は非常に有効だったと言えます。期限を設けることによって各キャラの逼迫した空気を表すことを可能としたのです。期間内にすべてを終わらせないといけないので、良い意味で無駄が省かれています。 そして本作に登場するキャラクターは皆一生懸命なんですよ。だから一見不条理な設定でも共感出来る。 「愛は決して滅びない。」 生死が係っているからこその一言。始める前は陳腐に聞こえたこの言葉が、各キャラを攻略し終えた時に確かにそうなんだな……と温かな気持ちにさせられる。いつの間にか遊那エンド以外にも納得している自分がいる。そんなゲームです。そして最後の最後に明かされる思いも寄らなかった意外な真実。最後に貴方の隣にいるのは遊那なのか……それとも……? 甘い恋愛話のみに終わらず、幽体離脱が存在してしまうという世界観を上手く扱い、意外性も忘れないKID渾身のラブロマンス。 時間の無い方にこそお勧めの一本。凝縮されたストーリーがプレイヤーを感動させてくれます。 |