こみっくパーティー
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●スキップ(既読判定あり) ●バックログ ●CG鑑賞 ●音楽鑑賞 ●発行済み同人誌達成度 ●ゲスト作家達成度 |
●BGM:23曲 ●OP歌 君のままで 元田恵美 ●ED歌 笑顔を見せて 元田恵美 ●挿入歌 恋わずらい(桜井あさひバージョン) こおろぎさとみ | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
シミュレーションゲームなので高度な機能は求めませんが、テキストボックスを喋っている最中に消すと音声も消えてしまうので、バックログ中の音声が欲しかったところ。発行済み同人誌やゲスト作家の達成度は、ゲーム中に描いた同人誌や声をかけたゲスト作家の達成度が表わされるものです。 | Leafのゲームに共通して言えることですが、音楽担当が多いので、ピアノ曲からエレキ系までジャンルは様々です。玲子以外は各キャラのテーマがイメージにマッチしており、安定感があります。玲子はもっと電子系でも良かったような。ボーカル曲はゲーム曲としてだけではなく、普通に聞いても良い感じ。OPは一見元気なようで閉塞感のある歌詞ですが、それもまた由。 ●君のままで ●Romantic ●Gradual Happiness ●笑顔を見せて | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
オタクでもこんなことが出来るの? 最近は躍起になって、古いゲームの批評を内容を覚えている内に書いているわけですが、本作もその一つというわけです。 Leafは大阪と東京の2つの開発室がありますが、東京開発室のデビュー作が、このこみっくパーティーです。1999年5月28日に18禁PC版が発売され、2001年に攻略キャラを追加してDCへ移植されました。さらにコンシュマー版が2003年にPCに逆移植され、2005年にはPSPへも移植されています。DC移植前にはアニメ化もされ、さらに2003年にOVA化もされている人気作品です。私がプレイしたのはDC版で、初回限定版として設定資料とテレカと新ヒロイン御影すばるのフィギュアが付属していました。 同人活動と言う極めてオタク要素の強い題材を扱っているため、プレイヤーにしてみれば一種自虐的な臭いを感じる部分もあるのですが、そんな中での青春模様に「オタクでもこんなことが可能なんだ」とシンパシーを覚えるゲームでもあります。……いえ、実際には不可能ってことは分かってます。現実とゲームの区別は辛うじてつきますので。 同人活動もデートも楽しいバランスの良いゲーム ■シナリオ 同人誌界で頂点を目指していく中で出会ったヒロインと結ばれていくサクセスストーリー。 シナリオ展開は極単純で、起承転結がしっかりしているので分かりやすく、安定感があります。どの攻略ルートも、同人誌製作中にヒロインと出会い、仲良くなる内にヒロインの悩みや弱点を見つけ、終盤でそれを共に(場合によっては仲間の力を借りながら)解決し、ヒロインと結ばれる……という流れです。基本的にヒロインの悩みを主人公がフォローしてやる「ヒロイン救済型」となっています。 同人誌作りに関係するヒロインの場合は、共に技術を研鑽し合う場面が設けられることが多く、本作の題材ならではの魅力が表現されています。残念な点は、エピローグがエンディング直後(エンディングで告白シーンがあってOKされたら、エピローグはその帰り道だったりします)の話が多く、内容的に薄いこと。もっと後日談が見たかったところです。 ■キャラクター 10人も攻略対象がいながら、1人も外れがいないのが素晴らしいところ。 原画家は3名で、担当は以下の通りです。みつみ美里氏が、瑞希、由宇、彩、千紗、玲子、美穂、夕香、まゆ。甘露樹氏が、南、詠美、あさひ、郁美、大志、真紀子、鈴香。中村毅氏がすばる。みつみ氏と甘露氏は萌え絵には定評のあるF&C出身で、Piaキャロを担当していました。本作でもそれは健在。どのキャラも万人受けする可愛いタッチです。 設定では、こみパとそれ以外の姿に大きく差を持たせているキャラが目立ちます。こみパでは各ヒロインとも精魂込めて活動しており、本性が表れます。しかし、そんな彼女らも、こみパから離れるとガラリと変わって、社会の一員として大人しく世間に取り込まれてしまいます。この二面性を味わえるのがポイント。普通に暮らしていては分からないヒロインの本当の姿を、自分は知っているというカタルシスを知らず知らずに毎月得られるわけです。 性格的には、様々なタイプが揃っています。「普段は●●だけれど、主人公を意識した途端に性格が逆転」というヒロインが多く、始めは苦手なタイプでも後から好きになれる可能性を秘めていますので、全員クリアーして損はありません。 ■テキスト SLGですが、テキスト量もそこそこあります。主人公とヒロインの関係のターニングポイントが訪れると、無言の間を多用します。恥ずかしがったり、悲しがったり、怒ったりといった感情を、文章化せずに立ち絵の表情と「…………」といった間だけで表わすことが多いのです。要するに「察しろよ」ということなんでしょう。一部ヒロイン視点で語られる場面もあるので、若干フォローはされていますが、具体的に何を考えているのかもう少し書かれていても良かったと思います。それ以外については、笑いあり涙ありの卒のないテキストでした。感情表現はストレートなので、難しく考えることなく進められます。初心者向けとも言えますが、SLGならこのレベルで問題ないでしょう。 ■演出 オープニングは2001年4月から放送されたアニメ(DC版は8月発売)と同じ主題歌を使っていますが、To Heartと違い、使い回しはなく完全新規製作されており、アニメ版より構成が上手いです。歌に、キャラの動作を合わせたり口の動きをを合わせて歌ったりします。PC版とPSP版は漫画のコマ割を使った静止画的な演出が多いですが、DC版はイベントCGを並べて誤魔化したりせず、フルアニメーションになっておりますので、見応え十分です。私などはプレイ前欠かさず見るほどで、結構中毒性が高いものでした。 本編中は、スケジュールをこなしている最中に、ポリゴンアニメが挿入されます。例えば、原稿を描いているときは主人公が机に向かって原稿を描き、バイトをしているときは店でレジ番をします。知っている人は、ときメモ的演出と思えばいいでしょう。アドベンチャーシーンでは口パクをします。 効果音は劇的なシーンで響く雷鳴、電話の呼び出し音、車の走行音など、必要なものは揃っています。 ■ゲーム性 SLGです。毎月同人誌を製作しながら、休日のヒロインとのデートで好感度を上げ、エンディングを目指します。製作パートでは、指示通りの方向にスティックを回したりボタンを押すことで製作を進めます。上手く回したり押すことが出来ればパラメーターが上昇し、回したり押す回数が減り、製作難易度が下がります。製作した同人誌はプレイヤーが価格と印刷部数を設定し、即売会で販売します。販売実績は、製作前に設定するジャンルやページ数、価格を総合して評価され、決定されます。また、ゲスト作家の本を即売会で手に入れることで、そのゲスト作家にゲストページを任せることも出来、この作家との出会いが記録され、コレクション的におまけページでどのサークル(作家)と会ったか閲覧することが出来ます。これが主要搭載システムにある「ゲスト作家達成度」です。 休日のデートはマップ方式。マップ上から目的地を選択してヒロインに会いますが、事前に電話などで約束を取り付けない限り、ヒロインがいるかは分からないランダム式となっています。出会う時期や同人誌の販売状況によって攻略状況が変わり、さらに隠しヒロインも存在するなど、コンプリートは一筋縄ではいきません。 同人誌作りに没頭して壁サークルを目指すもよし、製作はそこそこでヒロイン攻略を楽しむもよしの遊び甲斐のあるゲームです。 ■シチュエーション ほとんどの場合において、ビッグになっていく主人公が、ヒロインを助けていく……というパターンです。主人公はヒロインにとってスーパーマンなのです。男にとって女性に頼られるというのは当然悪い気はしないわけで「俺について来い」的なシチュエーションが盛り沢山。ご都合主義なところはありますが、どのヒロインを選んでも、多くの男性プレイヤーにとって満足のいく男性上位の展開が待っています。 ■グラフィック 背景は40枚程。例外はありますが、活動フィールドが住んでいる町とこみパ会場ぐらいなので、町や室内の絵ばかりです。際立つような出来ではありませんが、モボはしっかり描かれており、部屋には画材やパソコンなど絵を描くのに必要な道具も揃っているなど、手抜きはありません。 イベントCGはパターン抜きで168枚。各キャラ18〜20枚あるのですが、玲子だけ14枚と冷遇されています。う〜む。塗りは非常に繊細で、背景のモブキャラ、同人誌の山なども細かく塗られています。モブキャラには過去のLeafのキャラが出ています。エンディングや感傷的なシーンではフィルターのかけ方や塗りの調子を変えて特別感を出しているところが良いです。構図はペンを動かしていたりコスプレのポーズを決めていたりと動きが感じられるものが目立ちます。いずれも満足のいく仕上がりです。
主人公は、「こみパ」の先に何があるのかを求めて同人活動を行います。それは自分の可能性を見出すための挑戦。結末は様々ですが、同人一筋という納得ずくのライフスタイルを貫いている点で、主人公は「完成」していると評価出来ます。そんな主人公の「こみパ」での最大の収穫は、地位でも名誉でもなく、パートナーだった……というのが真相です。自分の夢の理解者を得られるのは嬉しいものです。そんな偽りのない自分をすべて受け入れてくれる「ただひとり」のパートナーを見つけるのが本作のテーマなのです。 オーソドックスなサクセスストーリーですが、絵の質、ゲーム性共に高く、高いレベルでバランスのとれた良作です。何度も移植されるのも分かりますし、今後も多くのファンを獲得し続けることでしょう。 |