Dear My Friend
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2004年。私はCLANNADにより、「萌え」というギャルゲーの永遠のテーマをどこか遠くの世界に吹き飛ばされてしまいました。CLANNADから「超えられない何か」を感じてから、もうこの世界に戻れないと思いました。萌えというものにかける情熱が削がれてしまったのです。それから数ヶ月、友人から譲り受けたゲームが悉く外れ、私は本当にギャルゲーから引退しようかと思いつつもCanvasをプレイして何とか萌えというものを忘れない様に頑張っていたのです。 そして時は来た…… 確かに絵は良いと思っていた。だが買う気が起きなかった。そんな時、某所にて本作が激しく良いと聞かされる。特攻した。このゲームが外れたらもうやめようと決めて。そう。DMFは私とギャルゲーとを繋ぐ砦となったのです。 そんなわけで今回は、2004年最萌え作品。lightの新作Dear My Friendを取り上げます。 このゲームのテーマはタイトルから明らかであり、実に分かりやすいと言えますね。友人 から恋人へのステップアップを描いていくストーリーということは誰にも予想可能でしょう。 攻略可能ヒロインは全5名。幼馴染みあり、同級生あり、後輩あり、の学園生活を送 っていた主人公と、突如同居することとなった一人の少女久城麻衣。内気ながらも主人 公にアタックしていく彼女に、周りのヒロインたちは焦りを感じ、これまでの仲良しの 友達同士という関係が変化してゆく……というお約束な展開。 甘い恋愛ストーリーとドロドロの三角関係が展開していく中、プレイヤーは一体どの ヒロインを選択していくのか。そして本作はテーマをいかに表せたのかを、要所で突出していた萌えを追いつつ考察していく こととします。 躍動するテンポ感 本作のヒロインは全員見るからに萌え値が高く、属性的にも広域をカバーすべく努力 しているのが分かります。声優も上手く、性格付けも設定も悪くない。普通以上の萌えがここに あることを感じることが出来るでしょう。まずはキャラクターでがっちりとプレイヤーを 掴みたい学園もののDMFにとって上第一段階では成功を収めたわけです。 キャラクターが気に入ったなら、後はストーリーに入り込むのみ。通常の学園ものに 必要なのはテンポの良さです。特にDMFはタイトルからテーマが分かるため、余計テン ポを早くしなければ飽きられてしまうのであります。本作はその点で、テキストにはクセがあり やや悪乗りしている感があるが、ストーリーそのものは非常にテンポ良く進んでいくた めに退屈はしませんでした。ここぞという時にイベントを発生させるので飽きを感じなくて良いのですよ。 難易度は極めて低く、ゲーム性は無いですが、テンポでカバー出来た良作なのです。そ んなストーカータイプのゲームでありながら、各キャラが程よく関係しており横のつな がりが意識されている点が特徴として挙げられることも付け加えておきましょう。 各キャラを見た場合、麻衣はメインヒロインの位置づけにあるにも関わらずテーマか らややかけ離れている感あり。ですが、必然性のあるHシーンと健気な姿に心打たれるこ と請け合い。それは美しくも儚い恋のストーリー。画面一杯に描かれる萌え萌え、そして萌え! まさに萌えゲーの真髄で私は見事回復出来たのです。 現実性のあるストーリーが多い中で、月夜編のみはどこかロマン溢 れる設定が用意されているのにも注目したいですな。全員EDを綺麗にまとめてきている ので、純愛系としてレベルが高いゲームです。 ハイレベルと言えばまずOPムービーにはメラゾーマ級の中毒性があります。毎回スタート時にムービーを見なくてはゲームに入れない現象を味わえるはず。歌とのマッチングも素晴らしいので是非見るべし。そして演出の凄まじさ! 雪が降る、桜が舞い散る、怒ると頭から煙が出るわ耳は動くわ喜ぶと♪が出るわなんなんだ一体この凝り様は。とにかく見ていて飽きない効果が沢山なのは特筆もの。メーカーの規模を考えると、とても頑張っているのではないでしょうか。大変好感が持てますよ。
本作のテーマは前述の通りですが、テーマが固いだけにシナリオに求められるのは結果 より過程です。最後にヒロインと恋仲になって終わりという結果ではなく、友達から恋人 へのステップアップの過程こそが重要なのです。 本作の主人公の設定がここで生きてきます。意地っ張りで青臭い。硬派な態度をしては いるものの実際は異性を意識するがあまりの照れ隠し。そんないかにも青春真っ只中な 設定がなされています。正しく友達からの一歩が踏み出せずにいる人物像。比較的意思が 感じられない主人公が多いギャルゲーの中で敢えて人格を持たせたわけはここにあります。 そんな主人公だからこそ、友達から恋人への過程を描くことを可能にしているのです。シナ リオ中、ヒロインは必ず何らかの悩みやトラウマを抱えていることに気付きます。そんなト ラウマを主人公と共に乗り越えた先にあるのが恋人としての称号なのです。 キーワードとなるのは人と人との繋がり。いかにして関係を保つか苦悩することとな る友人同士の間柄ならではの展開と、その中で人の持つ優しさを追求していく心温まる シナリオが疲れた心にフィットしていきます。そして成長していく登場人物たち。元々が青 いキャラだからこそ素直に成長を見守ることが出来るのです。DMFはそんなキャラ の精神的な成長の過程を描いた青春物語。ここにテーマは達成されました。 甘くも苦い青春の一ページ。 皆さんも主人公森川恭一の成長劇を見つめてみるのも良いのではないでしょうか。 凄まじい萌えがここにあることも確約しておきましょう。 |