星空☆ぷらねっと
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D.O.の10周年記念作として発売されたファンタスティック・ラブストーリー「星空☆ぷらねっと」(以下星ぷら)。当初発売予定は1999年冬だったのですが1年遅らせて10周年にしたな(笑) このゲームはパッケージが洒落ています。まず、白いダンボール紙箱の上に絵や説明が書かれた箱がかかっています。ここまでは普通ですが、星ぷらはこの上からプラカバーが掛かっていて、プラカバーに絵が描かれているんですよ。箱の絵とプラカバーの絵を重ねて一つのものが完成する構成になっているわけです。それにしても、説明書と広告が入っているのは良いのですが、これらが箱と同じ大きさのために箱に無理矢理詰めこんだようで、パッケージが異常に膨れ上がっていたのが面白かったなあ。 初回限定版には、OP・EDフルコーラスバージョンとヒロインテーマソングショートバージョンが入ったサウンドトラックが同梱されています。サウンドトラックは2,000円でゲームと同時発売されましたが、既に生産終了しているので入手は難しいかもしれません。ただ、CD-DAですのでゲーム中に使用されている曲のみが目的ならば無理にこちらを購入することもないでしょう。 Mac版とDVD版(Win98/95/ME/2000対応)が2001年2月23日に発売されています。Mac版は生産終了しDVD版は完売されているようですが、それ程入手は困難では無いかと思います。また、2003年10月31日に内容は同じで原画を変更してボイスを付加した「星空☆ぷらねっと〜夢箱〜」(WIN98/ME/2000/XP対応)が発売されています。原作の絵はかなりクセが強いので、絵が合わなかった方はこちらを手に入れると良いかもしれませんが、完全受注生産で既に生産終了しているので入手はやや困難です。 本作を購入したのは、シナリオライターが加奈の山田一氏だったからです。加奈プレイ時のあの感動をもう一度体験したくて手を出した記憶があります。洒落たパッケージの裏面を見て大体テーマは読めたのですが、これをどの様に料理して泣かせてくれるのかと期待していたんです。ところが、予想に反してノリは学園コメディー調。果たして「星ぷら」は感動を与えることが出来たのか? 山田一の学園コメディー CDをセットしてD.O.のロゴと10th Anniversaryの文字が出た後に、プロローグが始まり、プロローグが終わるとムービーが流れます。。センスの良いキャラクター紹介型ムービーなのですが、ジャギーがかなり目立ちます。もう少し何とかしてほしかったなあ。ムービー終了後に本編へ移行。二回目の起動以降は、プロローグ、ムービー、タイトルのいずれから始めるかが選択可能になります。 キャラクター。かなりクセの強い絵なので苦手な方が多そう。この手のクセの強い絵は、本編を進めるにつれてたまらなく可愛く思えるか、最後まで違和感に囚われ続けるかの二択なんですよね。幸いにして私は前者でしたが、どうしても絵が合わないと言う方はプレイしない方が良いかもしれません。特徴ですが、転校生のサーシャ以外すべて幼馴染みと言う潔さ。主人公が一度転校していて転校している間に距離感がかなり出来ているので正統派幼馴染みとは言えませんが、主人公の過去を描くための要素としては必要性が認められますので、単なる記号的なファクターではありません。 グラフィック。背景は丁寧で枚数も大目です。立ち絵パターンも表情も多く、キャラクターの表情がコロコロろ変わるので見ていて飽きません。イベントCG枚数は各ヒロイン25〜30枚程。メリハリのある鮮やかな塗りで、私はかなり好きです。問題は、立ち絵とイベントCGのギャップが大きいところ。恭子やサーシャはまだ良いのですが佳多奈はまるで別人で、イベントCGが出た時にはこのキャラ誰だと思いました。また、立ち絵はジャギーが目立つので改善して欲しかったなぁ。それにしても制服の構造が胸を押し上げて腹を突き出させる感じで奇妙です。 ゲーム性。マップ移動型ADG。マップ上にキャラクターが示されているので攻略に戸惑うことは無いでしょう。 演出。マップ移動の際のキャラクターがアニメーションになっていてカーソルを当てるとアクションします。何となく可愛い(笑) また、ここぞと言う時にイベントCGを入れてくるところは流石です。他は最低限の効果音が入っているくらいでしょうか。 Hシーン。必要性は感じないのですが、恋人同士の自然な流れを意識して作られているのが分かります。しかし、実用性はありません。肉感的な塗りは魅力なんですが……。純愛ものなので陵辱シーンはありません。すべて安心して見ることが出来るでしょう。 テキスト。終始ノリの軽いコメディー調の文章が流れます。しかし……これが加奈を作った人が書く文とはとても思えない。ビジュアルノベルでは無いから書き方を変えるのは当然なのですが、文中に顔文字やネット用語が出るのは感心出来ません。会話やギャグもわざとらしくて笑えなかったし、山田氏がシリアスな文の方が合っているのか私が山田氏の文に合わないのか。とにかく、あまり上手いとは思えませんでした。 ストーリー。ここまでで述べた通りに学園コメディーです。昔住んでいた街に戻って来た主人公が知り合いだった人々と出会い、その頃に持っていた夢を思い出していく内容となっています。ゲーム中に主人公は様々な過去を思い出していくのですが、語る情報が非常に断片的なためにプレイヤーとキャラクター間の情報格差が大きくなっています。さらに一周しただけでは過去のすべてが明かされないので謎が幾つか残されるのです。このために最初の一周目は感情移入が難しいのですが、一人ずつクリアーして主人公の過去を知った上でプレイに臨んでいくことで、徐々に感情移入していける構成になっています。どのルートでもヒロインは基本的に主人公の夢を呼び起こす触媒でしかないので、コメディー路線ながらもストーリー重視のゲームであるが言えます。そのためかヒロインの扱いがややぞんざいになっている感があり、唐突且つ同じ様なエンディングしかないのが気になります。
本作のテーマは「夢」です。 見失いかけた夢をヒロインとの関わりを通して再発見し、これを実現するべく努力する――。「Dreams come true」なるほど、人間とは何でも出来る生物なのかもしれません。人間は誰もが何らかの夢を持っていたはず。実現出来るか出来ないかは、実現するために努力したかしないかの差でしかないのかもしれません。夢は人間の希望でありルーツである……。希望に溢れた話は結構好きです。 ……しかし、私は本作に釈然としないものを感じました。それは、前述した通り、どのエンディングも同じ様なものであり、ヒロインの存在が主人公の夢を思い出させるための触媒でしかないことが原因です。さらに、このゲームで主人公が夢を叶えることは、ヒロインに対しての贖罪となっています。ヒロインのために夢を叶えるのではなく、自己満足のために夢を叶えている様に見えるのです。勿論、夢を叶えることは自己実現のためであり大切なことです。ただ、このゲームでどのヒロインをクリアーしても、一番大切なのは愛する人ではなく自分の夢と言うところが納得出来ない。つまり、主人公の中でのヒロインのポジションが重要な位置を占めているとは思えないのです。この「誰でも良い」と言う都合の良さが、私が本作をいまいち好きになれない理由なのかもしれません。 以上から、本作は、愛情とは所詮夢のためのジャンピングボードでしか無いことを逆説的に呈示していると言えるでしょう。 ……ひねくれすぎか(^^; |