魔女っ娘ア・ラ・モード2 ― 光と闇のエトランゼ ―
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前作に当たる2003年に発売された「魔女っ娘ア・ラ・モード」から、時代を遡った設定でつくられたのが今回発売された魔女アラ2です。今回も原画家は3人登用されておりますが、前作とは全員入れ替えられており各員絵の個性が出てるので、良いか悪いかは別にして統一感が無い感じを受けます。 私は魔女アラはCanvasのファンタジー版であると認識しておりまして、ヒロインとの会話を楽しむことがセールスポイトであると思っています。Canvasは私が最も好きなゲームの一つで、それと種を同じくする魔女っ娘ア・ラ・モードもまた楽しいゲームでした。しかし、「2」と聞いて嫌な予感がするのは私だけでしょうか(汗) 去年発売されたCanvas2は私の中ではコケてしまいました。それはCanvasと言う壁があまりにも高かったからではありますが、魔女っ娘ア・ラ・モードの壁も決して低いわけではありません。如何にして前作の壁を越えることが出来るのかが今回のポイントの一つとなると思って購入したわけでありますが、その実態や如何に……? 戦闘パートの落とし穴 ゲーム開始早々にして、私は認識を誤っていたことに気付かされました。如何にして前作を超えるのか比較しようとも思っていたのですが、意表を突かれました。本作と前作では重きを置いている場所がまったく違ったからです。まず、ゲーム性そのものからして根本的に違っています。前作が会話をすることによって日付が進行してゆくオーソドックスなアドベンチャーであったのに対し、2は章構成であり、会話を行うアドベンチャーパートと戦闘を行うシミュレーションパートに分かれてゲームを進めていくサクラ大戦式のゲームだったのです。「敵を倒す」などと言う概念は存在せず普通の恋愛を描いた前作には2の様な世界を救うと言ったような要素はあるはずもありません。言うなれば痕の後のTo Heart。ここまで前作と毛色を変えられてしまったのでは、Canvasの様に単純な比較は出来ません。 戦闘パートから分析します。戦闘はマップ上のマスを移動して決まった任務の下で魔法を使って敵を倒していくうたわれるものと似た一般的なシミュレーションですが、地形によって魔法効果が変わるなど工夫が見られました。天空のシンフォニアをプレイしたことがない私は、まさかF&Cがこういったゲームをつくるとは想像もつかなかったのですが、出来は中々良い。 次に魔法合成について。キャラクターは魔法を幾つか掛け合わせて新たな魔法を生み出すことによって成長します。自分が見つけた順番で覚えることが出来るので、自由度が高くて面白い。魔法数は200近くもあるのでやり込み甲斐があります。私は結構これにハマりました。また、一度クリアーしたデータは引継ぎ可能。RPGの世界では当たり前になりつつありますが、ユーザーの心理を良く分かっていますね。 こう見ると遊び甲斐があって良いゲームであると思うのですが、落とし穴が存在しました。攻略可能なヒロインが3人いるのですが、一人一人の攻略毎に同じ戦闘を何度もさせられます。何周もしているとデータを引き継げば各キャラそれなりに強くなっているので、初期の弱い敵との戦闘は最早作業でしかなくなります。しかもスキップ出来ません。せめて戦闘をスキップさせてくれないと何度も続く作業にストレスが溜まります。これがこのゲーム最大の弱点です。美味しいステーキも何度も続けて食べれば飽きてしまいます。これが無ければシステムとしては大満足だっただけに一つ課題が残ってしまいました。 もう一つの弱点はイベントCGが少なすぎるところ。3枚しか無いヒロインもいたりと3人も原画家を起用しておいて一体どうなっているのかと。 Hシーンは純愛ものにしては濃い。 後、これは弱点かどうか微妙ですが、マリーとレイスが攻略キャラでは無いのはどうなんでしょう。手抜きじゃないですよね……。
本作はシミュレーションゲームとしては面白かったのですが、いつものF&Cらしからず、萌えません。原因は恋愛描写が非常に薄いこと。楽しい会話の中から恋愛が徐々に芽生えていくと言うこれまでのスタンスを打ち破り、唐突に告白してHにもっていきやがります。ですからキャラクターに感情移入出来ません。結果として萌えません。絵がいくら綺麗で可愛くても、これでは勿体無さすぎ。会話テンポは良いのですが、戦闘や世界を救うことに比重を置きすぎて、女の子との楽しい一時と言うより、戦友との作戦会議と言う感じがします。戦闘のさなかで恋物語を繰り広げるのは不自然かもしれませんが、もう少し頑張ってくれないと告白シーンがさらに不自然になってしまう。ここが残念でしたね。恋愛描写を丁寧に綴った前作をイメージされる方はがっかりすることでしょう。 ただ、2と言うからには前作との繋がりもあり、最後の最後で前作では語られなかった世界の謎が解かれます。前作が未プレイでも楽しめるし、前作をプレイした人は「おお、なるほどな」と思える展開の上手さはあります。 本作は色々な意味で前作のファンを驚かせたのではないでしょうか。ゲーム性とシナリオから考えると魔女っ娘ア・ラ・モードの続編どころかまったく対極に位置するゲームとすら思えます。果たしてこれを2と称していいものかどうか。確かに意外性はあります。しかし、前作のファンは納得がいかないかもしれません。世界観だけ継げば2になれるわけではありませんので……。 Canvas2の二の舞にならなかったことは評価したいのですが、何も魔女っ娘ア・ラ・モードのタイトルで出す必要は無かった気が大いにします。このゲームを遊ぶ際のポイントは、魔女っ娘ア・ラ・モードと思って遊ばないことにあることが言えるのではないでしょうか。魔女アラにあって魔女アラにあらず。それが魔女っ娘ア・ラ・モード2の正体なのです。 |