Memories Off 2nd
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さらばほたるよ
色々な意味で圧倒的とも言えるムーブメントを巻き起こしたMemories Off。今やKIDの看板作品となった本シリーズの第二作が今回のお題です。 私はそれ程メモオフシリーズに思い入れがあるわけでは無いのですが、前作がそれなりに楽しめたので購入しました。ささきむつみ氏の描くキャラは比較的万人受けする可愛らしいキャラクターばかりで絵的には外れではありませんし、コンシュマー独自のギャルゲーの存在はやはり貴重ですしね。 ……しかし、結果は残念なものとなりました。はっきり言って私はこのゲームが嫌いです。誤解しないで頂きたいのは、ただ私が本作のシナリオが好きではないということであって、客観的に見るならばMemories Off 2ndというゲームはシナリオの出来自体は良かったしゲーム性もあり、キャラも音楽もシステムも良かった良作であるということです。 というか、そもそも私に合ってないことは明らかだったんですよね……。ストーリーの項を見てもらえば一目瞭然なのですが、本作のシナリオはまず彼女と別れるところから始まるんです。現実では付き合っていた人と別れるということはままあることだとは分かってはいますが、ゲームでこういう話は見たくないというのが本音。じゃあ買うなと言われるかもしれませんが、……実際何で買っちまったんだこのゲーム……。 とりあえず私なりに批評しますが、タイプの合わないゲームを買うとこうなるんだという良い例ですので、今回に限っては客観的にゲームを捉えられていない可能性大であることを御了承の上で御覧下さいませ。要するにファンの方は見ないほうが良いかも(汗) 魅せ方は一流。えげつなさ抜群のヘタレ主人公。 君望の鳴海孝之、Loversの黒崎崇など、数々の評判の悪い主人公を見てきた私ですが、本作の主人公伊波健は彼らを凌ぐえげつない主人公だと私は思います。というか個人的にはあらゆる主人公の中で伊波健はワーストの座に輝いております。今までプレイしてきた中で最低最悪の主人公。それが伊波健なのです。これが私が本作を嫌う理由の最もたるものの一つ。主人公に共感出来ない。この男、導入部分から最低でした。何も考えずにほたるの告白を受け入れて付き合い始めた後は、ちょっと気になる女が現れたからと自分の都合で別れることを決意。別れる際に悪いのはほたるであると責任転嫁し、必死に自己弁護しつつも心の中では自分が悪いとも考え葛藤。挙句にはまだ自分の気持ちも定かでは無い内から気になった女と付き合い始める始末。こいつまた同じことしようとしてるんじゃないのかと。そんなことでかけがえのない想い出を築けるんですか。最初の行動の時点から同意しかねます。最後には「この選択が正しかったかは今はまだ分からなく後々判明することだ」などと結論付けるという非常に刹那的というか、お前相手の気持ちを考えたことあるのか?と死刑宣告したくなる人間ナンバーワンです。とにかく伊波健の考え方と行動はまったく私に合いませんでした。これほど忌々しい主人公も珍しい。ただ、その辺りの心理描写の見せ方が上手かったことは事実。恋愛の難しさを表したと言うことにおいては評価したいと思いますが。
うぅん……。エンディングのありかたも問題なんだよなあ。考え方そのものが納得出来ないし、主人公自身のほたるとの決別によって得たことについての結論も出ていない気がする。最後に答えが出た様に見せておいて、実際はヒロインが主人公と付き合うことを決意しただけであり、伊波健本人は自分の中で答えを出していないんです。ただ流れに身を任せて運良く思惑通りにことが運んだだけの話です。行きたい大学が2つあって頑張って勉強していた。どちらに願書を出そうかずっと悩んでいた。だけど、たまたま適当に受けておいた大して行きたくも無い大学に推薦で受かってしまって、別にそこでも良いよな〜……とその大学に推薦で入った、という様な感じです。悩むだけ悩んだけど、考えていたことと全然違う方向だけど結果的に何とかなったからいいやーと言う様な。そんな印象を受けるんですよ。各個別ルートの話そのものは面白かっただけに、テーマに対する明確な答えが呈示されなかったのが残念なところであると思います。 結局このゲームは恋愛ゲームではないんです。主人公のグダグダな思考が羅列されてそれを追っていくだけ。だから主人公に共感出来ない人にとっては恐ろしくつまらない。逆に主人公に共感出来れば面白い。面白いけど、追っているものが哲学だから微妙なんですよね。しかも結論が出てませんし。まあ最初から最後まで自分に合ってなかったんだと思うしかないです(^^; 好き嫌いは別れるゲームかと。主人公の考え方に共感出来なければ本作は苦痛でしかありません。私としてはお勧めはしない方向で。 |