ONE 〜輝く季節へ〜 フルボイス版
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伝説的名作ONE。まさに名作と呼ぶに相応しい出来であり、未だに色褪せない本編の感動は脈々とCLANNADに受け継がれているのかもしれません。 そんなわけでONEの批評です。 ただ、激しく今更な気がするので表記上はフルボイス版にしました。いつも通り簡単な解説から入りますね。ONE自体は98年に発売され、KIDからPSの移植版も出ております。こちらはヒロインがボイス付きの仕様。ただこの移植版、大変評判が悪い(^^; 余計なシナリオをつけたためだとか何だかんだと問題になったわけです。 それと因果関係は無いかとは思いますが、03年にフルボイス版として本作が発売されました。ストーリーには一切手を加えずにおまけにスタッフロールから原作者名を一掃(ご存知かとは思いますが、ONEを制作した主なスタッフはTacticsを退社しその後Keyを設立しました。この辺りの話は他のサイト様を参照になさって下さい)。そしてフルボイスに。キャスト的にはそれほど人選ミスは無いかと思います。微妙にロリっぽく感じなくも無いですが許容範囲でしょうか。 それともう一つフルボイス版に関して言うと、アレンジアルバムが付属していたのですが、これが中々どうして良い感じでした。 それでは原作共々ONEの世界を見ていくこととします。 名作の驚くべき構造 ONEは少々世界観が独特である上に樋上いたる氏の絵が非常にクセの強いものであるためにすんなり入り込んでいくのは困難と思うのですが、これを打破しているのがテキストとキャラクターの性格付けです。このスタッフ陣のキャラクターの性格付けといたる絵の関係(笑)に関してはKanonの批評を参照にしていただきたいと思うのですが、とかくクセの強い絵のキャラに強烈に印象的な性格を付与して読みやすいテキストで叩き込む戦法はある意味芸術と言えますので、絵がちょっと……と言う方にもONEを是非とも手にとって貰いたいと思う次第です。 というのも、ONEのテーマとその舞台構築が非常に味わい深いものであるからなのです。本作の構築はかなり気付きにくいところにあるといって言いかと思います。というのはゲーム本編で語られる内容があまりにも抽象的であり、且つ肝心な部分の謎について語られずに終了してしまうからなのです。ですが、注意深くゲームをしているととあることに気付くのです。そう、ストーリー本編の殆どが回想から成り立っていることに。確かに泣きゲーでもあった本作ですが、構造的に驚くべき点があったことは記しておかねばなりません。 ただし、この構造は手放しで評価は出来ないと考えねばならないですな。あまりにもストーリーの全貌が見えないような書き方がなされているために、完成度と言う観点から見ると満足はいかない面があることも同時に言えるのです。
「絆」と「永遠」。独特な世界観を構築している本作のキーワードはこの二つであると私は思います。人間間の付き合いが希薄になりつつあると言われて久しい現代社会に疑問符を投げかけている様に捉えることも可能なのですが、これはもっと根本的な問題なのかもしれません。 自分とその存在を必要としてくれる別の存在。誰かが認識してくれなければそれはいないものと同じ。自分が自分の存在を認識していなくてもそれは同じことになるのかもしれません。この大きな何十億もの人間が存在する中で自分が一人の存在になってしまったとき、つまり人との絆が失われた時に人は一体どうなってしまうのか。永遠と言うものが存在するのか。永遠を求めつつ絆を保つことが出来るのか。 人は一人では生きていけないものです。だからこそ人は永遠の絆を求めてやまないのかもしれませんね。ここに、人類永遠のテーマを抱えてONEは完結したのです。 |