Rewrite
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Key作風を吹き飛ばす大物ライター陣 麻枝氏がシナリオを外れた後の初のフルプライス作品が本作です。一体シナリオはどうなるのかと思ったら、何と外部から田中ロミオ氏と竜騎士07氏を招聘するというとんでもないことに。ギャルゲー界では名の通った独特の世界観を持つライター2氏だけに、これまで培ってきた「Keyらしさ」がなくなるのではないかと懸念しましたが、案の定それは当たってしまいました。ゲーム自体は面白かったので、それが悪かったとは必ずしも言えないのですが。 補足データ。Rewriteの発売日は、震災の影響で当初の4月発売から2ヶ月延期されています。また初回版として、アレンジCD、ガイドブック、ラジオCD、差し替え用ジャケット3種、ストラップ、Weis(エスツェット) Schwarzオリジナルカード、Lyceeオリジナルカードが付属します。物凄い特典ですね。 後、どうでも良いことですが、私がこれをプレイするまでにはグラフィックカードを買わなければなりませんでした。今となっては当たり前かもしれませんが、一昔前のPC性能だと遊べない可能性があるので、購入前に必要スペックを確認されることをお勧めします。 超能力バトルゲーム ■シナリオ 超人的な力を持った主人公が、世界を二分する秘密組織の片方に関わり、世界の秘密を知っていく話。攻略ルートによって組織のどちらに関わるかが決められ、双方の視点から秘密を垣間見ることになります。組織はそれぞれ敵対していますが、ただ対峙するだけではなく、それぞれの組織内部についてもそれぞれ派閥を作ることで少し複雑な展開を用意し、プレイヤーを飽きさせないようにしています。また、攻略には順番があり、少しずつ世界の秘密の確信に迫っていくようになっています。 秘密は世界だけではなく主人公の経歴にも及ぶのですが、これらは意外にも序盤にあっさりと明らかになります。ところが、一通りクリアーして行動の因果関係が分かったとき、さらなる大いなる秘密が隠されていたことが明らかになるのです。この二重にも三重にも覆われた一筋縄ではいかない世界観を楽しめるかが大きなポイントです。実際のところはここまで複雑な構造にしなくてもテーマを語ることは出来るでしょうが、それでは単なるアクション物で終わったでしょう。そこにミステリーを追加することで、より多くのファンを取り込もうというわけです。 ■キャラクター 原画は樋上いたる氏。自分でも意外という他ないのですが、素直に可愛いと思います。これは私の慣れもありますが、これまでのクセがかなり和らいだからでしょう。具体的には目の大きさやどちらかというと縦比率が横に対して低かった顔のバランスが良くなったためです。 各キャラとも社会的地位や所属勢力が明確に決められており、性格はその地位・所属に必要とされるものが付与されています。全キャラに隠された過去や秘密があり、これらは世界の秘密に密接に関わっています。そのため、キャラの感情面での魅力より、ストーリー展開と世界観の解説に必要となる過去や秘密について知る方が重要となります。キャラクターよりもシナリオ展開に重きをおいているのです。また、静流の眼帯など、外見上・表面上の設定が単なる記号としてしか機能していないなど、設定にやや粗も見受けられます。 ■テキスト 通常ルートと隠しルートで、かなりレベルに差があります。通常ルートは、素人がブログで書くように括弧書きを多用したり、会話内容も稚拙なものが多く、読んでいて呆れました。ところが、隠しルートになると独白や地の文が多くなったためか、小説的な文章となり、大変読みやすくなっています。第2隠しルートではビジュアルノベルとなり、さらに読みやすくなります。こんなにも安定感がないのはライターが多かったから? どのルートをどのライターが担当したか知りたいものです。 ■演出 オープニングムービーは通常ルート前と隠しルート前の2つがあります。前者はイベントCGを交えてキャラ紹介し、ひたすらイベントCGを流し続けるいつものもの。後者は美麗アニメーションによるもの。Keyでアニメーションムービーは初めてですが、その完成度の高さには驚かされます。ノーマルバージョンも、魔方陣のようなものがグルグル回ったり、文字のフェード具合に工夫が施されており、安易な作りではありません。ただ、両方とも内容がほぼ同じなので、展開を作りわけて欲しかったのが正直なところです。 本編中の画面効果は豊富で、特にバトル系は剣や銃の飛び交う閃光が様々なパターンで表現されます。効果音も銃音を始めとする戦闘系、歌声など、必要なものは流れます。個人的には挿入ムービーの「吉野ソング」がぶっ飛んでいて気に入っています。 ■ゲーム性 通常のアドベンチャーゲームで、最初に攻略出来るヒロインが決まっており、クリアーするごとにロックが解除され、攻略対象が増えていきます。全員クリアーすると、隠しルートが出現し、トゥルーエンドへの道が開ける構造です。ロックがあることを知っておけば、攻略は簡単です。 また、本編中、攻略には直接関係しない「マップ探索」があります。これは表示されるマップに潜むイベントを該当ポイントにカーソルを接触させることで発見していくもの。これにより、攻略には関係ない選択肢や登場人物が増えたりします。これを埋めるのは至難の業かと思います。私はまだ達成していません(^^; ■シチュエーション ルチア編を除き「ラブラブ」というシーンはほぼありません。悲劇に襲われているヒロインが近くにいた主人公に救われるというパターンが多く、とても幸せな感じはしません。付き合うと明言せずに一緒にい続けることも多く、重苦しい雰囲気をまとい続けたままでエンディングへ向かうこともあります。まあ、KanonもAIRもそうでしたから、Keyのゲームにとっては珍しいことではありませんが。そんな危うい関係は、特殊な境遇にあるヒロインと相まって、プレイヤーにいつ終わってもおかしくないという焦燥感を生み出します。この儚さこそKey作品のヒロインと主人公の関係性の魅力ではないでしょうか。 ■グラフィック 背景は差分なしで60枚。相変わらず素晴らしい出来です。特に自然の描き方。差分の「滅び」の世界がまた素晴らしい。廃墟とか蔦が這い回っている様子だとか、臨場感溢れています。枚数的にも十分です。 立ち絵は一人当たり7パターン以上はあったと思います。服装パターンがそれに加えて各人2〜3、表情パターンも多数あります。篝の斜めを向いた顔のバランス以外は良好です。 イベントCGは差分抜きで107枚。まずまずの枚数でクオリティーも高いのですが「ここぞ!」という場面では出ないでどうでも良いシーンの絵が多いのが非常に残念です。後半に集中しすぎているので、もう少し散らして欲しかった気も。構図は引き気味のアングルが多く、度アップはバトルシーンに多いです。個人的なお気に入りは会長の「ようこそjジプシー」と篝とのダンスシーン。
審判者である「鍵」が最後まで求め続けた人類の「良い記憶」が本作のテーマであることは疑いようもありません。一体それが何なのか、登場人物達は探し続けます。その答えとは「星が唯一知性を与えた生命である人類の、自身による発展の追求」です。地球という惑星の中で限られた資源を消費し続け、自らの可能性を閉ざし、発展を放棄しかけている人類。今人類にあるのは「諦め」で、自ら滅亡への道を歩み始めていました。それは緩やかな自殺と言えるかもしれません。しかし、人類を生み出した地球はそんなことは望んでいなかったのです。例え環境を悪化させたとしても、前向きに文明レベルを向上させること……すなわち発展への可能性を追求し続けることを、星は求めていたのです。 何かを達成するには、何かを犠牲にしなければならないことは往々にしてあります。人類の発展も、自然と資源を犠牲にした上で達成してきました。作中での超人や魔物使いの能力はその表現と言えますし、エンディング後の人類の生き方もそうでしょう。このように、生きることは綺麗事ばかりではなく、本編中の言葉を借りれば「汚い」ことばかりなのかもしれません。言い換えれば犠牲を払ってでも目的を達成していく「覚悟」を導き出したテーマだったと思います。 |