ロケットの夏
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私、このゲームをプレイしたのは発売から時間が経ってからなのですが、正直驚きました。このゲームは非常に素晴らしい。 本作を発売したテラルナというメーカーのゲームはこれまでプレイしたことが無かったのであまり注目していなかったのですが、普通のエロゲーとはやや違った雰囲気を感じ取れるパッケージとタイトルに目をつけて購入。ところがインストールしてプレイしようとするもキーボードに殆ど対応していないなどシステム的にやる気が無くなってしまい、暫らく放置していたのです。 ですが、積みゲーに割ける時間が出来たために本作の存在を思い起こしプレイ再開。一人クリアーして思いました。「何て面白いんだ」と。本作の持つパワーはプレイして是非知ってもらいたいのですが、一言で表すならば「隠れた名作」である、と。これに尽きると思います。これからどの辺りが素晴らしいゲーム化を批評していきますが、もしこのゲームを見つける機会がありましたら購入して損は無いかと思います。 壮大な舞台での驚愕の展開 ロケットの夏はロケットを製作して宇宙へと飛び立つことを夢見る主人公とその仲間たちの交流を描いたストーリーです。男なら誰でも一度は大きな夢を見るはず。というか子供の頃思いませんでしたか? 何もロケットじゃなくていいんです。例えばF1ドライバーになりたいとか、電車の車掌になりたいとか、パイロットになりたいとか。別に乗り物系でなくても良いです。とにかく何かを目指して夢中になった時期って無いでしょうか。私はありましたし、皆さんにもそんな経験がある方が少なくないと思います。本作はそんな少年時代の一ページを思い出させてくれるゲームでして、こういったストーリーが大好きな私は嬉しく思いつつも、まあそんな構図の中で繰り広げられるストーリーは「ロケットつくってる途中でヒロインと恋におちて最後にロケット完成してハッピーエンド」的などこか単調なものであるのだろう……と思っていた。 しかし、ロケットの夏は驚くべき展開を用意してプレイヤーを待っていたのである。 確かにそういった話もありますし、それが主題の一つであることも間違い無いでしょう。しかし、予想に反して各ヒロイン毎にストーリーがまったく異なった展開を見せるのです。これはもうプレイしてもらうしかない! まったく異なる展開を見せるためにプレイヤーは二周目以降飽きることはありませんし、伏線の張り方が巧妙なので楽しめます。単なるラブロマンスだと思ったら本当に大間違いなのです。 また、流れる音楽が雄大であり、心に染み入る曲ばかりで一役も二役も買っております。音楽だけを見ても優秀ですよ。
単調に終わりそうに見えたストーリーは、本作のため用意された特別な世界観の中で途轍もない規模で広がっていきました。それは圧倒的な広さを誇る「宇宙」という舞台を目一杯に活用しているからです。異星人との会話、恒星間ロケットの登場などが違和感無く行われるのも魅力的な世界観があってこそ。宇宙を舞台とした一大スペクタクルが予想もし得なかった方向へとプレイヤーを導くその様は壮大であり、まさしく男の夢・ロマンの体現であると言えましょう。シナリオ途中で主人公が自分の無力さを思い知り絶望しつつも最後まで進んでゆくパワーに惚れ込みます。しかし我々は気づきます。壮大な舞台と大きな夢を全面に押し出しつつも、そのテーマは小さな一つの幸せを守ることであることに。 近未来を舞台に、運命に翻弄されつつも必死に自己実現に向かって頑張り続ける主人公やヒロインたちの姿を描ききったロケットの夏。 プレイ時間は一周3時間程度という短さですが、その中にぎっしりとつまった濃密なストーリーに感動を覚えること間違い無しです。 追記:これから始める方は歩編は最後にクリアーすることを激しく推奨します。歩編は他のヒロインとはまったく違いますので……。 |