Routes

ブランドLeaf 発売日2003.2.28
希望小売価格9,240円  
ハードPC ディスク数2枚
OSWin98/2000/Me/XP ジャンルADG
原画カワタヒサシ シナリオ永田和久
まるいたけし
音楽松岡純也
石川真也
下川直哉
中上和英
 
音声なし ボーカル曲あり

ストーリー
普段はごくごくフツーの学生である宗一。
今日も今日とて、思い切り学校で惰眠を貪っている。

そんな彼を「起きろバカ!」と明るい罵声で叩き起こすは いつものアイツ、皐月。
巻き起こる大騒動、仲良く喧嘩する二人。

「だめだめー」
そこへのんびり割り込むのは、 本人的には大慌てのゆかり……
……それはいつもの、ただの日常。

……しかし、そんな普通の日々を揺るがせる小さなヒビ、 それは大型船が次々と消失する謎の事件。

夕暮れの街突如現れる謎の女……リサ=ヴィクセン。
リサの出現をきっかけに、 宗一はその事件に首を突っ込むことになる……

キャラクター名私的お気に入り度声優属性
湯浅皐月■■■■■■ 6/10 強気
伏見ゆかり■■■■■■■■ 8/10 正統派・巨乳
リサ・ヴィクセン■■■■■■■■ 8/10 金髪外人・美人
梶原夕菜■■■■■■■■■■10/10 正統派・義姉・ダダ甘
立田七海■■■■■■■■ 8/10 ロリ・元気っ子
那須宗一■■■■■■■■ 8/10 主人公・エージェント

主要搭載システム
BGM及びボーカル曲
●スキップ(既読判定あり)
●バックログ
●CG鑑賞(クリアー後)
●音楽鑑賞(クリアー後)
●シーン回想(クリアー後)
●BGM:全36曲
●OP歌
 Routes
 中山愛梨沙
●挿入歌
 君をのせて
 中山愛梨沙
●ED歌
 あなたを想いたい
 池田春菜
雑感
個人的名曲
 リーフビジュアルノベルです。オートメッセージがないので、読み進めるにはひたすらエンターキーを押すかクリックし続けなければなりません。雫や痕の頃はそれでも良かったのですが、この頃になるとオートメッセージぐらいないとストレスを感じてしまうようになりました。それ以外も、必要最低限しかない状態。機能的とは呼べません。  流石に安定したLeafサウンド。音楽担当が4人もいるので、バラード系からポップ系、エレキ系からジャズ系までバリエーション豊富です。今回も長瀬一族用の曲があります。それにしても毎回、下川氏のつくるバトル曲は良いなあ。

●家路
●ぬくもり
●E Junk
●流れゆく時の中で
●夢の楽土
●今生の別れ
●君をのせて
●君をのせて Gt.
伝わらないコンセプト


 リーフビジュアルノベル第4弾。初回版には歌2曲とそのカラオケ版、そして曲が1曲入ったマキシシングルが付属します。DVD版も発売されており、2007年にはPS2とPSPに移植されています。

 このゲームはリーフだから買ったのであって、それ以外のメーカーだったらまずレジへ行かなかったでしょう。というのも、パッケージに魅力が感じられなかったからです。まず表には制服を着た少女が2人とタイトルの「Routes」が下に配置されています。裏には「僕たちは限りない可能性を捨て去って、唯一の今を選び取っていく。その先に、かけがえのない未来があることを信じて……」と書かれていて、背景に山河の絵(これが1/3近くを占めています)、その下に申し訳程度にイベント絵が5枚並んでいます。学園物でもなさそうでまるでどんなゲームか予想が付きません。表を見る限り学園物なのですが、裏のイベント絵に出ているキャラの服装が表と違っててんでバラバラな上、山河の絵など見せられるのでコンセプトが伝わってこないのです。そして第一印象の通り、本作はちぐはぐなゲームでした。いえ、非常に面白いのですが、最終章がちょっと……。


「Routes」だけなら上手くまとまれたはずだが……


■シナリオ
 情報化社会の現代で、世界一の「エージェント」(情報屋)として活躍する主人公が、大型船の消失事件を捜査するサスペンスアドベンチャー。事件の真相に迫るルートと、主人公のバックグラウンドを明らかにしていくルートがあり、どちらも日常的なシーンを最小限として本題に入っていきます(これらのルートを便宜上、現代編とします)。個々のルートを攻略しただけでは謎が残るようになっており、現代編をすべてをクリアーすると現れる「Roots」シナリオで謎がすべて解けます。この「Roots」シナリオは現代と過去を舞台にしており、伝奇色が濃く、他のルートと赴きが異なります。ただし、大きな問題もあります。それは伝奇という形をとりながら、Roots編から現在編へ継承されているものがほとんどなかったことです。ネタバレのため一部反転。読まなくても問題ありません(草薙の剣は現在編にも出ましたが、いまいち有効活用されていません)。 さらに酷いのは、現代編の出来事が、Roots編で語られる真相を隠すための、カモフラージュに過ぎないとされていることです。つまり、現代編を謎かけパート、Roots編を種明かしパートとして完全に分断しているのですが、世界観が変わってしまうような設定を唐突に持ち出されたのでは、どんな答えであっても唖然とせざるを得ません。テレビ番組でマジシャンが手品を行い、種明かしパートで「実は私は異世界からやってきた魔法使いなので、さっき見せた手品は本当の魔法なんです」とか言われても困るわけです。 それに、真相を語る目的のためとはいえ、単なる障害物を読ませるのは、良いシナリオ構成とはいえません。どうせなら、カモフラージュではなくRoots編から繋がりのあるしっかりした伏線にしてほしかったものです。拾えそうなネタは沢山ありそうなだけに、そこが最も残念です。
 ただ誤解してほしくないのですが、現代編、Roots編とも、組み合わせ方がまずかっただけで、単体で見ると非常に面白いのです。9点付けても良いくらい。特に現代編の夕菜編は、昔話の作りが上手く、短いながらもホロリと来ました。でもあまりにまとまりが悪いので、6点とします。コンセプトを曖昧にするようなRoots編を入れずに、現代編だけでもう少し作り込めば、良作の域に達することが出来たでしょう。

■キャラクター
 非常に個性的なカワタヒサシ氏の絵。睫が角ばっていてポリゴンチックな印象を受けます。残念ながら私はこの人の絵が苦手です。睫のせいで目が機械的に見えるからです。
 本編では、ゲームスタート時点で既に付き合いが確立している、友人や家族のような人物については、地の文でさらりと説明を行う傾向があり、その人の主人公との絡みを表わす日常的なシーンが設けられていないのが特徴です。そのため、クリアー時に思い入れが薄くなってしまいます。回想シーンもあるので、出会いの経緯などは分かるのですが……。新しく出会う人物についても、日常シーンがほとんど設けられず、必要な事項はスパイ活動によって入手するという手段が用いられています。ですから、どの人物も必要最低限のことしか語られないのです。
 また、各ヒロインの設定が最後に明らかになる世界観と何の関連もないものばかりで、最終章では存在自体がほとんど意味を成していないのが非常に残念でした。 折角転生物のような話があるのですから、最低でも皐月の神社については何か関係を持たせるべきだったと思います。

■テキスト
 ライターが2人いて、それぞれに特徴がありますが、まずは共通点から。
 リーフビジュアルノベルの特徴ですが、立ち絵の上にテキストが重なり、話している人物の名前が表示されたりしないので、誰が話しているか分かりにくいことがあります。2人で話している時にどちらか一方が「…………」と黙って、次に地の文が入り、また話始めると、かなり分かりにくいです。3人や4人になって、その上で口調まで変えられると(このゲームの登場人物は何故か人の口調を真似するのが好きなのです)、完全に混乱します。さらに悪いことに、話の途中で頻繁に改行を入れてページ変えをさせるので、会話なのか地の文なのかも分からなくなってきます。例えばこんな感じ。

「今日はハンバーガーが食べたいなあ。あそこの彼女も一緒に誘ってみるか。
 話が聞こえたのか行きたそうな顔をしているな。
 よし、じゃあ声をかけよう」
「そうしよう」
「いや、やっぱりやめよう」
「………………
 え、どうして?
 理由を教えてよ。」
 あれは一緒に行きたいんじゃなくて実は嫌そうな顔をしているのかもしれない。
 何故かそう思ったんだ。
「やめる理由が分からないな。
 誘ってみても良いとは思うけれど……」

 どうでしょうか。2人での会話ならまだしも、3人での会話だとすれば誰が話しているか分かりにくいでしょう。改行毎にページも変わると考えて下さい。地の文のタイミングも混乱を誘っていると思いますし、何より読みにくいです。しかし、概ねこうした感じで書かれているのです。一人の台詞に改ページや不要な改行などを行わなければ少しは読みやすくなると思ったのですが。
 続いて個別に。皐月・ゆかり・リサを担当した永田氏の方は、ボキャブラリーが豊富で笑える場面が多いです。戦闘シーンではテンポが良く、プレイヤーをぐいぐいと引き込んでいきます。七海・夕菜・Rootsを担当したまるい氏の方は、シリアスなムードを感じさせる比較的落ち着いたテキストです。ギャグもちらほら垣間見えますが、割と大人しめです。どちらも改行の問題がなければ、感情が伝わりやすい良いテキストだったと思います。
 後、シリアスなシーンで「ころしてしんぜよう」はやめて(笑)

■演出
 OPムービーは、背景グラフィックとイベントCGを組み合わせた単純なもの。うたわれるものがフルアニメだったことを考えると、いまいちな感じがします。
 画像効果は、戦闘時に矢や銃撃の弾道が光となって現れるものを除いては、動きのあるものはありません。これはビジュアルノベルということを意識して、演出をテキストで示そうとしているためでしょう。一方、効果音はサイレンの音や叫び声など、豊富に取り揃っています。

■ゲーム性
 最初に、タンカー沈没の真相に迫るルートと、主人公のバックグラウンドを明らかにしていくルートの選択肢があり、その中でさらに攻略ヒロインの選択を行います。難易度は皆無で、最初の2つほどの選択肢で誰を攻略するか決まります。選択によってはバッドエンドもありますが、すぐにミスが分かってエンディングとなるので、タイムロスは少ないです。全員を攻略すると、Trueエンドが見られるようになり、これを見ると「Roots」シナリオが現れます。この「Roots」をクリアーすることで、タンカー事件の真相が分かるようになっていますので、全クリアーが必須となります。

■Hシーン
 ゆかりが2回で他は各1回。内容は薄く、なくても良いレベルです。「Roots」編の1名は、1、2分程度しかありません。時代的に、どういったHが適当なのかライターが分からなかったのかもしれませんが。コンシュマー版は未プレイですが、移植に当たっての問題はあまり出なかったことは想像に難くありません。

■グラフィック
 背景は40枚程。プレイ時間にしては多いです。草薙が担当しているので、出来は良いです。賑やかなところにはモブがいて、山奥では下草が表現されていて……と、抜かりがありません。モブにリーフの過去作品キャラが出ているので、探してみると面白いかも。
   背景は25枚程。無難な出来ですが、モブがいないのが気になります。室内が多いためか、部屋に置かれた小物など細かく描かれています。
 立ち絵はキャラによって異なりますが、3〜5パターン。表情も5パターン前後あり、喜怒哀楽がはっきり伝わります。アニメ塗りで陰影が強調されています。結構綺麗です。
 イベントCGは、差分抜きで72枚。上半身をアップで写したものが多いです。表情やシチュエーションは豊富で、銃器を突きつけられるような緊迫した絵から、抱き合うようないちゃいちゃした絵まで様々です。


総合得点■■■■ 45/100
おすすめ度■■■■■■  7/10
シナリオ■■■■■■  6/10
テキスト■■■■■  5/10
キャラクター1■■■■  4/10
キャラクター2■■  2/10
音楽■■■■■■■■  8/10
演出■■■■  4/10
システム1■■■■■  5/10
システム2■■■  3/10
Hシーン1  0/5
Hシーン2■■  1/5
グラフィック1■■■■■■■■  4/5
グラフィック2■■■■■■  3/5
今を選び取るゲーム


 本編中、現代世界は、常に善悪の判断を迫られるようになった二元論が支配する世界になっているという意見が出ます。この場合、善悪は表裏一体であり、ある事柄を善として選ぶと、選ばれなかったものは悪とされて排除されてしまうことになります。そうして人間はただ選択を繰り返すことで生きており、考えることを放棄しているというのです。その結果、人間は心を失ってしまい、世界は滅びの道を歩いているとされます。
 しかし、本当にそうなのでしょうか? 勿論、答えは否。ここでパッケージ裏のコピー「僕たちは限りない可能性を捨て去って、唯一の今を選び取っていく。その先に、かけがえのない未来があることを信じて……」が生きてきます。人間は何も考えなしにただ二元的に善悪判断をしているのではなく、その先に繋がるものを信じて選択しているのです。そんな一つひとつの選択が「今」のその人を作っていっているのでしょう。自由自在に変革出来る世界に、ルーツなど存在しません。一つひとつを選び取っていくからこそ、根元を辿れるわけで、ルーツが存在出来るのです。そんな「今を選び取っていくゲーム」……それがRoutesです。

 以下は、上記とは別のちょっと捻くれた解釈。
 実はこれ、ゲームに置き換えて考えることが出来るのです。ゲーム、ことにアドベンチャーゲームでは、選択肢を選び、片方のルートを切り捨ててもう片方へと進んでいきます。つまり善悪の判断をしているわけです。ここでは、善悪の判断をしているのは当然プレイヤーということになります。そうすると、選択を繰り返す中で、納得のいかないものがあった時「それでもいいや」とただ受け入れてしまうことは、思考を放棄していることになります。そうではなく「これは絶対におかしい」と考えなければならないのだ、と本作はと説いているのです。そして、そのようにプレイヤーが考えるべき場面が、最後の選択肢を選んだ直後の状況なのです。
 で、これをクライマックスで告げられるわけですが、はっきり言って大きなお世話です。まあ、こんな風に解釈する私が悪いのかもしれませんが。

戻る

Gポイントポイ活 Amazon Yahoo 楽天

無料ホームページ 楽天モバイル[UNLIMITが今なら1円] 海外格安航空券 海外旅行保険が無料!