神愛〜shin ai〜
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宗教……? これを買ったのは発売から1年くらい経ってからで、購入動機が「安いから」です(^^; 確か300円くらいだったはず。パッケージ表面の絵はそれほど好きでないのですが、裏面に出てた紫髪のヒロイン(さら先輩)に惹かれたので買ってみました。全体的に萌え重視の絵では無いのですが、素直に可愛いと言える絵かと思います。 ところが買ってみたは良いもののさっぱりやる気がしない。原因はタイトルにあり。私は皆さんと同じかどうかは知りませんが、さっぱり宗教に興味がありません。むしろそう言うのは好きではなかったりする……とかこういうこと書くと何か言われそうですが(汗) そんなわけで「神愛」(キリスト教のアガペー……神から人に与えられる無償の愛)という宗教臭さ全開のタイトルを見るとどうにもインストールを躊躇ってしまったわけでして。 そんな理由から暫らく放置しておいたのですが、時間が空いたのでプレイしてみました。 率直な感想……お、俺が悪かったー!! このゲーム面白いです。心配していた宗教っぽさが無いといえば嘘になりますが、それを差し引いても純粋にストーリーが良い。cycとか聞いたことの無い謎のメーカーですがやってくれてます。これぞ隠れた良作! 何が良かったのか批評で挙げていくことにします。 無名メーカーの逆襲 オープニングムービーはそこそこの出来。所々アニメを使うなどの工夫が見られます。基本的に作中のCGを見せる形で進みますが、使いすぎによるネタバレはないのでOK。同時に主題かも流れますがこちらは微妙な出来。ゲームを始めてすぐ感じることなのですが、意外と演出が凝られています。戦闘シーンの光、背景CGに映っている人々の場面や時間帯による仕草の違いや人数の増減、横に開く襖など、無名のメーカーながらかなり頑張っている感があって好感触でした。 さて、本作は中々独特な展開を見せるゲームでして、プレイヤーは相互に干渉しあっている、現実と夢の二つ世界を行き交うことになります。二つの世界を進めていくための鍵となるのが現実世界で遭遇することとなる謎の写真です。何枚もある写真の内の一枚を選ぶと、その写真と関連のある世界へと進むこととなります。写真の世界はモンゴル風の世界、アラビアンナイト風の世界、中世ヨーロッパ風の世界、とそれぞれまったく異なる異世界へと駒を進めることとなり、プレイヤーはメルヘンチックなおとぎ話を見ているような感覚に包まれていくのです。また、それぞれの世界で人々は彼らの「神」を信仰しています。外観としてはこのような感じなのですが、本作の上手いところは夢の世界から現実世界、現実世界から夢の世界へと移って行く転換場面にあります。丁度話が盛り上がってきた良いところで世界が変わってしまうために続きが気になってしまいやめられない。週間漫画の「以下次号にて!」と言う、見せ方が憎い出来となっています。一日一日のテンポも速く量もそれなりにあるので飽きさせることがありません。一日一日進んでいくタイプのゲームはどうしても単調になる感があり、途中で退屈になってしまうのですが、一日をニ分割して世界そのものを変える手法をとったのは正解だったと言えるでしょう。 Hシーンに関しては純愛物程度。かなり薄めなので期待はしないほうが良いです。また、一部陵辱シーンがあるので注意。別にHシーン無しでも問題は無いと思いましたが、採算性を考えると仕方が無いですか(^^;
本作の基本路線は主人公が悩みを持つヒロインと出会い解決していく過程で自分も成長していく、といった様にシンプルなのですが、アプローチの仕方、つまり前述の様に夢の世界を通すと言う点に留意しておきたいところ。夢の世界で主人公とヒロインの前に立ちはだかる問題は、人々の「神」の信仰の有り方がどうあるべきかという巨大な社会問題です。これを解決することが現実世界での個々人の小さな社会問題を解決していくことに繋がります。この両世界のリンクが本作の魅力の一つですが一つ疑問が沸きます。夢において多々問題を提起した「神」が現実においては出てこないのです。ではタイトルにもなっている神はどこにいったのか? 私は「神」はテーマを引き出すための要素の一つであると考えます。本作のテーマとは一体何か。それは「信じること」です。信じ合うことによって繋がっていく関係。前に進んでいくことの出来る素晴らしさ。そのきっかけを与えたのが神であったのではないでしょうか。教会などに伝わる「教え」ではなく、神の「本質」を信じることによって問題を解決した夢の世界。現実世界では神が人に置き換わっています。外面ではなく、人間の本質部分を信じて悩みを乗り越えていく美しさがそこにあるのであり、またこの前向きなテーマ、すなわち本作「神愛」の本質こそが魅力的なのです。 最後に少しだけとあることに触れて終わりにしましょう。これからプレイされる方は、いくつかエンディングを見て「これは未完成なのでは?」と思われるかもしれません。全員クリアーして下さい。そうすれば謎が解けるはず。 |