終の館 第一巻 〜恋文〜

ブランドCIRCUS 発売日2004.2.27
定価1000円 
ハードPC ディスク数CD1枚
OSWin98/Me/2000/XP ジャンルADG
原画ちのちもち シナリオ沢柾機
音楽電気 
音声メインヒロインのみ ボーカル曲あり

ストーリー
森少尉は、露西亜の地より帰還する。
戦争が終結したわけでもなければ、武勲を立てた訳でもない。
傷痍軍人としての帰還。
ただ、戦争の痛みのみを持って自宅に帰った彼を、
心優しいメイド・藤が出迎える。
しかし、自宅に戻って数日が経っても、
彼の妹・ふみ乃は部屋に閉じこもったまま姿を見せない。
そんな折、戦地より妹宛の手紙が届く。
それは、森の友人でもあり、戦友でもあり、
ふみ乃の恋人でもある、小田からの手紙。
しかし、森は知っていた。
かの露西亜の戦場で、小田が死んでいたことを……。

キャラクター名私的お気に入り度声優属性
中里藤■■■■■■■■■■10/10長崎みなみメイド・正統派
桜美■■■ 3/10草柳順子メイド・謎

主要搭載システム
BGM及びボーカル曲
●オートメッセージ
●スキップ(既読判定無し)
●バックログ
●バックログ中の音声
●クイックセーブ
●CG鑑賞(クリアー後)
●音楽鑑賞(クリアー後)
●シーン鑑賞(クリアー後)
●BGM7曲
●OP歌
 愛は静かな夢に降る
 橋本みゆき
●ED歌
 一片の雫
 ゆい
雑感
個人的名曲
 選択肢が一切現れないサウンドノベル。フリーゲームでもこれより使い勝手が良い システムも多々ありそう。相変わらずのセーブの際のアイコン選択によるワンクッシ ョンは使いにくさをアピールしています。まあ、このゲームでセーブするところなど 無いに等しいのですが。オートメッセージが今までの製品の中ではサクサクいってく れるのは助かります。  正直なところ無いんですけど、

●始まりの館

 ゲーム中終始流れてるんで何か頭に焼き付いてしまった……。
一途でHなメイドさん、藤
(C)CIRCUS
唯一のヒロイン藤
「館」とフェチズムの融合


 タイトル「終の館」の後に続く「第一巻」という副題。1000円という驚愕の値 段のわけがここにあります。シリーズ物であるということを初めから示しているのです。シ リーズにしてこつこつと1000円のゲームを出し続けて最後に8800円の完結編 を出そうという計画がこの終の館なのであります。いかにもサーカスの考えそうなことですな。 ただ、シリーズ物だからといってストーリーが連続するということは無く、きっちり 第一巻は第一巻で完結する形をとっています。これは終の館シリーズに対するスタッフ の絶対的な自信の表れなのでしょうか……? シリーズという形をとっているとは言え 一本のゲームとして発売した以上、私は一本のゲームとして終の館〜恋文〜を批評し ようと思います。
サーカスフェティッシュからの発売と言うことで、キャラクターには何らかのこだ わりが存在します。今回の終の館でのこだわりとは、ずばりメイド。舞台は明治時代 のとある洋館。メイドたちが働くには設定としては間違ってはいませんね。テキストでは 複数のメイドが存在するように書かれているが、実際に攻略出来るのは藤一人だけで あり、絵としては桜美も描かれてはいるがほとんど登場しないために、事実上主人公 の女性関係は藤のみといって差し支えないでしょう。絵としては比較的万人向けである と言えるし、声優も上手いのですが、如何せんヒロインが藤のみということもあり、キャラ クターを見て合わないと感じたら回避するのが無難でしょう。
 どの辺りにメイドとしてのこだわりが見出せるかということですが、基本的に奉仕と いうスタイルを忘れずに確立しているのがポイントです。メイドのセリフは言うま でも無く敬語であり、いかなる点においても主人公の絶対優位性は保たれています。総 じてメイドというキャラクターの極一般的なイメージがこのゲームでは約束されてい ると言えるのです。また、着衣H率がほぼ100%となっており、この辺りにもこだ わりが感じられることは感じられます。


張られる伏線、見えないテーマ


 シナリオは幾つかの伏線を張り巡らせてつくられています。練りこんでつくったもの とは思えず、展開も分かりやすいのですが、面白さはあると思います。この面白さは登場人物が 少ないことに起因しています。基本的に主人公と藤のみの視点で語られるシナリオは、 立場の違いから生じる各々の悩みと孤独感を描き、登場人物を限定することによりプ レイヤーに感情移入をしやすくしているのです。それを手助けしているのが、「館 」という陰湿な舞台と明治という時代設定。そして、その目論見は確かに悪く なく、臨場感も味わえたのですが……。
 このゲームをクリアーして感じたこと。それは「何が言いたかったんだ?」という ものでした。悲劇……というにはしっくり来なく、ハッピーエンド……とは言い難い 何とも後味の悪いエンディングからは今一つ感じられるものが少なかったです。
 ストーリーとしては完結しているのだが、結局のところこのゲームは何を言いたか ったのか、主題が見えてこないのですよ。かといってメイドというこだわりに全力を注い だ結果だ、とするには物足りなく、半ばストーリーのテンポがさほど悪くは無かったためにか えって中途半端に終わってしまった感が否めません。何故あのようなEDを用意したか 真意のほどは定かではありませんが、あくまでヒロインは「メイド」なのだ、との現れであ るとするならばあるいは納得がいくかもしれません。


総合得点■■■■■■ 61/100
おすすめ度■■■■■■  6/10
ボイス■■■■■■■■■■ 10/10
シナリオ■■■■■■  7/10
テキスト■■■■■■  7/10
キャラクター1■■■■■■■■  8/10
キャラクター2■■■■■■■■  9/10
音楽■■■■■■  7/10
演出■■■■■■  6/10
システム1■■■■■  5/10
システム2  0/10
Hシーン1■■■■■■  3/5
Hシーン2■■■■■■■■  4/5
グラフィック1■■■■■■    3/5
グラフィック2■■■■■■■■  4/5
1000円の価値とは


 このゲームにおいて最も注目すべき点とは、凝ったようで凝っていないシナリオ、 こだわったようでこだわりきれていないキャラクター、そのいずれでもありません。  1000円というこの業界において異常なまでの値段にあります。果たしてこのゲーム は買うだけの価値はあるのか? ここまで好評はしてきませんでしたが、私は「YES」 と答えます。
 確かにシナリオの構成は上手いとは言えないし、メイドに対するこだわり方も決し て徹底されているとは言い難い。システムに至っては最低限である上に、何より選択 肢が存在しないというゲームとしては致命的な弱点があります。
 ですが、1000円払うだけで、OPムービーあり、OP・EDに歌あり、音声あり のノベルゲームが楽しめるのです。ヒロイン藤は可愛いと言えますし、Hシーンも決して 手抜きではなくそれなりのボリュームがあります。訳の分からない聞いたことも無いメーカーのゲー ムに8800円を投入するというのも味はあるのですが、一食我慢してこの終の館を買って みるのも良いのではないでしょうか。ストーリーはきっちりと終結するので、第一巻と はあるが気にする必要はありません。第一巻単体でも十分に遊ぶ価値はあります。1000円と は思えないクオリティーは、プレイヤーに少なくとも1000円以上の満足を与えて くれるはずです。

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