夢のつばさ 〜フェイト オブ ハート〜
| ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
印象は薄いけれど
さて、今回はKIDから発売された「夢のつばさ 〜フェイト オブ ハート〜」をとりあげます。本作は各ヒロインにおまけシナリオを追加したPSの「夢のつばさ」移植版です。KIDは移植の度に何か追加要素を入れてくるので、PSもDCも持っているユーザーとしては後から出るものを買った方が良いのではないか、などと思ってしまうのですが皆さんはいかがでしょうか。まあ、何だかんだ言ってもおまけシナリオ豪華でボリュームもあって嬉しい限りですけど♪ キャラクターデザインは優しく温かみのある絵柄が人気の成瀬ちさと氏。私も氏の描くキャラクターは好きでして、ストーリーも絵とマッチする温かい展開なので、中々良い人選をしたな、というところが素直な感想です。 ただ、さほど話題性は無かった本作。確かにストーリー自体は驚くほどのものはありませんでしたし、強烈な印象を残す要素もありませんでしたが、私は結構好きなゲームでもあります。どこに問題があったのか、そしてどこに惹かれたのか。 それでは夢のつばさの羽ばたく世界を見つめていくこととしましょう。 古畑視点を消却せよ ざっとプロローグを見て典型的なトラウマ型ADGかと思いきや意外な顛末を魅せてくれたりもする本作ですが、まあ、良くも悪くも王道なんだろうなあ、と。王道故に外れたとは思わないのですが、あっと言わせるものが無い。そこが問題なのかなあ。正統派ストーリーで頑張ろうとしているのは分かるんですが、如何せんアプローチが弱いのが難点。 夢のつばさはメインヒロイン瑞雲しずくを中心に巻き起こる日常の変化が描かれる……はずだったのですが、メモオフからも感じていたことですが、何故かゲーム開始当初から物語の根幹を成す重要な設定を公開しているのです。これがストーリーが平坦になってしまった原因。言うなれば、これは古畑任三郎です。最初から犯人が分かっていて、逮捕までの過程を描く手法と同じことなのです。要するに、どうにも展開が読めてしまう。しかも輪をかけるように主人公の勘が鋭い。うーむ。これが世間の評価の大枠ですな。 しかし、本作が訴えたかったのはそんなことではないのですよ。ヒロインの設定、ストーリーの意外性、そんなことは実はまったく関係ないんです。だからこそ王道であり正統派なんです。 夢のつばさの伝えたかったこと、それは……。
総括に入る前に。 あくまでも本作のターゲットは純粋な心を持った方ですよ! 「現実には夢も希望も無いんだ! 金だ金だ金がすべてだ!」という感じに悟りを開いてしまった方は買わないようにしましょう! まとめです。 止まってしまった時間。それは夢のようなものでした。夢から醒めるために必要なアイテム。それは「つばさ」でした。飛ぶことによって直人は目覚めることが出来るのです。しかし、止まった時間を動かすことは容易なことではありません。つばさを手に入れるには沢山の試練を乗り越えなければならないのです。夢から醒めることこそが直人の「夢」なのです。瑞雲しずくは、直人に最後の試練を与えし者。最後の試練を越えた時、直人は彼女から「つばさ」を渡されるのです。そして夢から醒めた直人を祝福するのもまたしずく。つばさは最後まで夢を諦めなかった者の背で羽ばたき続けます。 いつまでも羽ばたき続けることの大切さ。 夢を追い求める人にこそこのゲームは相応しいのかもしれませんね。 |