「うーーん。」 無料ホームページ 楽天モバイル[UNLIMITが今なら1円] 海外格安航空券 海外旅行保険が無料!
伸びをして壁の時計を見上げると、もう12時を回っていた。
嵐が近いのか、部屋の換気口ががたがたと賑やかに音を立てる。
期末考査が近い。
私は寝る間も惜しんで、最後の仕上げをしていた。
―第3学期の期末考査の結果にも期待している。
虚ろな意識の中で聞いた言葉を思い出しながら、私は眠気と戦う。
あれ以来学校で会う先生は、以前と何も変わらない先生で、私は少し安心していた。
優しい訳ではないけれど、聞けば何でも教えてくれる。
淋しく無いと言えば嘘になるけれど、先生が教えてくれなくなるよりはマシだった。
「・・・ふぁ。」
ふっと気が抜けて、欠伸が出る。
二発目の欠伸を噛み殺しても、頭の眠いという訴えはなかなか退けられない。
「こんなんじゃ・・・先生に軽蔑されちゃう。」
・・・軽蔑。
自分の吐いたこの言葉に、眠りかけている頭が反応した。
そして素早く身体に、あの快感を走らせる。
先生のあの眼差し。
最初に浴びせられた時は、不愉快で悔しくて仕方なかったのに、私はあの冷たい瞳に心を囚われている。
あの目に映れる事に悦びを感じる私は・・・異常なのだろうか?
じわじわと、身体が火照ってきた。
目が冴えたのだから勉強しなければと、理性が私に警告してくる。
軽く頭を振ると、ペンをとり再び数学の参考書に目を走らせた。
今は頭の中から追い出したい先生という存在が、イヤでも大きくなってゆく。
『この公式は・・・。』
すらすらと問題の解説をする薄い唇を、私はずっと眺めていた。
あの唇が、私に触れた。
熱い、激しいキスをくれた。
感じた恐怖すら、あっさりと快感に変換される。
アノヒトガホシイ。
私は椅子から立ち上がり机の灯りを消すと、さっさとベッドへ潜りこんだ。
「・・・ん・・・。」
胸の先を軽くつまむと、少し硬さを帯びていた。
指先で弄ぶと、下半身へじわじわと快感が広がる。
目を閉じ、あの日の記憶を引きずり出す。
下着越しに軽く触れると、布が軽く湿っていた。
―欲情していたようだな。
先生の言葉は、蔦のように私の心に巻き付いてくる。
そして・・・息が詰まるほど締め上げてゆく。
「・・・ん・・っ・・。」
横から手を潜りこませ、待ちきれず潤みを湛えているのを確かめる。
空いた手で、下着の上から花芯へ振動を与えた。
大きな声を上げない様に唇を噛み、ひたすら身体に快感を送り続ける。
身体をよじる度布団が擦れる音して、窓を叩く風の音に紛れた。
「・・・はぁ・・・んっ・・・。」
指を身体の中へと捻じ込む。
欲望の望むまま忠実に、身体に刺激を与えているのに・・・。
足りない。
あの時と同じように慰めているのに、身体はまだ飢えている。
瞼の裏に棲みつくあの冷ややかな眼差しを、いかに鮮明に思い出しても・・・足りない。
指を激しく抜き差しするほど、身体が急速に乾いてゆく。
あの夜、私は全てを先生に奪われてしまっていたのだ。
心も、身体も。
幸せが心に満ちる喜びも。身体が絶頂に浸る悦びも。
・・・全て。
まどろみの中、私は夢を見た。
幼い頃、家を出て行ってしまった父親の夢。
先生に出会ってから、この夢をよく見るようになっていた。
『パパ。どこに行くの?』
大きな手が、幼い私の頬を包む。
無口で、物知りな父だった。解らない事を聞けば、何でも優しく教えてくれた。
私はそんな父が大好きで、そんな父が初めて見せる悲しげな瞳に、
つられて私も泣きじゃくっていた。
『もう、お前には会えないんだ。』
溢れる涙を掬ってくれる、綺麗な長い指先。
『もう、お話してくれないの?』
『元気でな。』
大きな背中が、どんどん遠ざかってゆく。
どんなに呼んでも、二度と振り返る事は無かった。
夢の中の小さな私は、夕焼けの綺麗な公園で一人、泣きじゃくっていた。
何度も何度も声が枯れるまで、大声で父を呼び続けて。
頬には涙の跡。
私はまだ、あの時の子供のままだ。
父に似た人を探して、愛されたいと願い続けている。
ふと机の上の写真立ての中で笑う父が、目に入った。
先生と父は似ている。
見かけではなく中身が・・・というか、まとう雰囲気が似ている気がした。
「・・・好きなの。」
思わず口を突いた言葉は、私自身にも誰に言ったのかわからなかった。