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・・・2・・・





「オイ、ウソップ!」



ゴーイングメリー号に一番最初に戻って来たのは

めずらしくもゾロだった。

甲板にぐったりと倒れこみ、一目で尋常じゃない様子のウソップに、

ゾロも慌てて駆け寄った。



「あ・・・ゾロ・・・サンジが・・・サンジを止めてくれ・・・」



「どうした?何があったって言うんだ?」



「アイツは・・・無理だ・・・サンジを止めてくれ・・・」



息も絶え絶えであるが、ウソップはゾロに今まであった事を話した。

特に相手の能力、「ガチガチの実」の事、

サンジの蹴りが全く通用しなかった事を。



「あの固さは・・・ハンパじゃねぇ・・・。奴は・・サンジの蹴りをくらっても、

 全く平然としてるしよ・・・ それなのに、サンジ・・・

 後を追ってったんだ・・・きっと。」



「わかった、おめぇは大丈夫か?」



「あぁ・・・何でもねぇ・・・ただ・・・持病の後を追ってはいけない病が・・・」



精一杯の強がり、それはゾロにもわかっている。



「行ってくる。」



それだけ言って、ゾロはサンジの後を追った。











その頃、サンジは街で情報を聞き込みながら、

ボスと呼ばれた男の後を追っていた。



「あぁ、ガルスだろ。」



人相、風体を話しただけで、

街の人間は皆その男の事をすぐに話してくれた。

その話によると、どうやら奴はかなり評判が悪い。

数年前までは只のチンピラ、

それが悪魔の実の力で、あっという間にのし上がった。

だが、やることも性根もチンピラだった頃となんら変わっていない。

海に出るのを怖がり、精々、港で船を襲う事しか出来ないでいる。

サンジの問いに、笑ってそう答えてくれた八百屋のおやじも、



「でもなぁ、あの力だけは本物だよ・・・

 今じゃ、50人近く手下がいて、この街でやりたい放題なんだ。」



ため息まじりに、最後の言葉をそう締めくくった。







それはサンジも肌で感じた事。

あれだけの力を持ちながら、背後からサンジを撃ち抜かせた。



・・・せこい事しやがるぜ・・・ったく・・・



強盗が目的なら、望みのものがなければ直ぐ立ち去ればいい。

自分に、ウソップにあれだけの暴行を加えなければならない理由・・・、

そんな物があるわけないのだ。



・・・やっぱ、くだらねぇ野郎だったか・・・



煙草を加えて、ゆっくりと無理矢理聞き出した、奴らの根城へと向かう。





出血は確かに治まった。

だが、身体の痛みがとれた訳でもないし、

貧血を起こしているのもまぎれもない事実。





奴に対して、どう戦うか、何かが決まっている訳ではない。





・・・まぁ、負ける気はしねぇ・・・





そんなくだらねぇ奴に、

只、固いというだけの奴に負けるとは思わない。

意志の力。ふらついていた足下も、徐々にしっかりした足取りになっていく。



それでも・・・



通用すると思っていた訳ではない。

サンジにしても初めて体験する硬度、

矛盾しているかもしれない、

それでも、決して負ける気はしなかった・・・。







「オラ、さっさと通しやがれ!」



小高い丘の上のだだっ広い一軒家。

そんな場所にも、奴の臆病さが垣間見れて、

サンジの頬にうっすらと皮肉な笑みが浮かび上がる。



堂々と、正面から乗り込んでいくと、

そこには、たった今見たばかりの顔が並んでいた。



「どけっ!!!てめぇらには、用はねぇっ!!!」



それでも、無体な侵入者を通すまいと、

次々と、奥から男達が現れる。



右に左にサンジの身体が沈み込み、

その反動で、あざやかに繰り出される数々の蹴り。



「エポーーール、コートレッットォーーーッ!」



一人相手を蹴りのめす度に、身体の力が戻ってくるような気がする。



「とっとと、退きやがれ!!!」



何人来ようと、今のサンジには関係ない。

刃をきらめかせ、踊りかかってくる男達の刀を

右足で受け止め、左足を叩き込む。



「おい、銃だ!銃を持って来い!!!」



誰かが叫ぶ。

すぐさま、呼応するかのように響く銃声。

すでに用意していたのか、屋根の上からサンジを狙って男の影。



だが、目の前の、自明の脅威を黙って受けるサンジではない。



身体をひねって、的を散らし、1発目の銃弾を軽く避けると、



「コリエシュートーーー!」



右側から踊りかかって来た男を、銃を向けていた男に向けて空高く蹴り飛ばす。



「ぐっ・・・はっ・・。」



反動で屋根の上まで吹き飛ぶ男、

もんどりを打って、もつれるように二人が転げ落ちる。



その頃には、50人近くいた男達は、片手で数えられる程に数を減らしていた。



「だから、てめぇらに用はねぇって、言ってるだろっ!」



すでに、残りの男達は顔色をなくし、遠巻きに見ているだけの存在。





サンジはそいつらに一瞥を投げかけると、

まっすぐ屋敷の中に踏み込んでいった。









一方で、サンジの後を追ったゾロもすでに屋敷までたどり着いていた。

サンジの足取りは街の人間に聞いたらすぐにわかった。

血相を変えたゾロがサンジの行方を尋ね、

その後、いきなり反対方向へ走り出したのを見て、

奇しくも同じ、八百屋のおやじがゾロを屋敷まで連れて来てくれたのだ。



そのおやじも自分が何を喋ったのか、気がつき、

ずっと、気になっていた風だった。







屋敷の中に入ってのサンジの足取りは簡単に掴めた。



至る所に、うずくまり、うごめく男達。

ある者は気絶し、ある者はかろうじて意識を保っている。

誰にやられたのかは一目瞭然だった。



そいつらには目もくれず、ゾロはサンジを探す。



・・・てめぇじゃ・・・無理だ・・・



サンジがおそらく対決しているだろう相手。

それはサンジにとってもっとも相性が悪いと言わざるを得ない。

そう、サンジが弱いのではなく相性が悪いのだ。



「サンジ!!!」



やっと見つけたサンジは唇から一筋血を流し、

多少振らつきながらも相手を見据えて真直ぐに立っていた。



「てめぇ、来やがったのか・・・」



ゾロの声に振り向きもせずサンジが答える。



「いいからどけっ!!!」



ダイヤ並み・・・自分にダイヤが斬れるかどうか、それはまだわからない。

だが、このまま黙って見ている訳には行かなかった。

ゾロが和銅一文字を抜き放ち、サンジに駆け寄ろうとする。



「来るな!!!」



強い制止の声。一瞬ゾロの動きが止まる。



「悪ぃな、こいつだけは譲れねぇんだ・・・」







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