Present-A
火村はのんびりとソファを立ち、冷蔵庫からミネラルウォーターのペットボトルを取り出し渡してくれた。 一口飲んで、ひと心地ついてから私は問いかける。 「なんで〜? コレ滅多に手に入らんって、えらいボラれた中国茶やで。エグイだけで、ちっとも美味いことないやん。折角茶器までセットで買うてきたのに〜」 「言っただろうが。まずは1回出すって。あく抜きすんだよ、あく抜き。パッケージの後ろに書いてあるだろ。それに、茶器は俺へのプレゼントだって言ってなかったか」 不満を述べた私に火村は憎らしい位冷静に反論してきた。そんなん、知るか。 「中国語なんて読めへんもん」 「日本語でも書いてある。爆笑な誤字があるが、意味は理解できる程度の間違いだ」 「ムカつく〜。君のそういう冷静なところムカつくんや。なになに、アリスからのプレゼント? ひゃっほーとか言って俺と同じ間違いくらいして見せろや」 「できるかっ」 端から見れば、犬も食わない痴話喧嘩。 結局、私が美味い中国茶を味わえたのは、1時間後のことだった──。 Fin ……やっちゃいました。 |