Present
じれったい── 思わず唇を噛みしめてしまうくらいに、火村の手は私の望む動きをしてくれなかった。 自らが火村に進呈したものなのだから、私が彼に注文をつけるのは間違っているのは知っている。 知ってる…が、もう、我慢出来んっ! この際、罪悪感は戸棚の奥にでもしまっておくことにして、私は要望を火村に告げた。 「なっ、火村、早くいれて」 「まだだ。準備ができてないだろ」 恥を忍んでお願いしたといのうに、火村の返答は素っ気ない。しかし、ここで諦めてはただの恥かき損だ。ひるむな自分! 「そんなんええから、なぁ〜」 「そんなもったいないこと出来るかよ」 精一杯甘えた声でアピールしたのに、つれない男め。 「俺がええって言っとるんやぞ」 「ばかいえ、お前がこんな気の利いたことする機会なんて滅多にないだろうが。俺はこの感激を充分に味わいたい」 本当に、しみじみ感激を味わうといった感じで、火村はこぶしを握りしめ、天を仰ぐ。 そこまでされてしまうと、誉められているというより、普段の自分を非難されてるように感じるのは気のせいか? ああ、なんだか涙目になって来た。 「うう〜、もったいぶりやがって。もうこんなに熱くなっとるのに、まだあかんの?」 「そう焦るなよ。まずは1回出してからだ」 「ああっ〜、何しとんねん。もったいない」 パチンと目にゴミが入ったかのようなウィンクを投げて寄こした後、火村の手は思いがけない行動をとった。 いくらもったいぶりたいからといって、そこまでするか? 私は慌てて火村を制止した。 「もったい無いとかそういう問題……あっ、ばかっ、駄目だって」 あきれた視線で火村に見つめられ、私は理性のタガが外れた。 この際火村の意志などそっちのけで、自分の欲望を満たすことにする。 「っ──」 「ばかっ、無茶すんなよ」 火村の言葉など耳には入らない。 「熱い──。火村、熱い〜〜っ」 「ったく、しょうがねぇなぁ〜」 |