1.はじまり |
俺、長瀬智也。性別、男。 今目の前にいるコイツ、堂本光一。性別、もちろん男。 二人の関係。自他共に認める親友。 なのに何故俺の心臓は今、こんなにも忙しなく動いているのだろう。
落ち着け、心臓。 今日は…そうだ。久しぶりに光一の家に遊びに来て、泊まることになって。 二人で長野くんに教えて貰った店に夕飯食べに行って、帰って風呂に入ったんだ。 一応客人、ということで俺が先に。 …で、次に光一が入って、出てくるのをテレビ見ながら待ってた…うん、そうだ。 そうして、出てきた光一を見た途端に…固まってしまった。 「何?どしたん?」 「あ…いや…」 そうは言ったものの、目は光一の身体に釘付けで。 濡れた髪の先から滴り落ちる水滴。 首筋から胸元へ流れていく雫。 火照ってうっすらピンク色に色付いた白い肌。 無造作にバスタオルで髪を拭く細い腕。 コイツって、こんなに色っぽかったっけ…? 出会って以来、同じ部屋で着替えるなんてことは数え切れない程あったし、コンサートでもお互い脱いだ姿を目にしている。 それどころか、二人で一緒に風呂に入ったことだってある。 光一の裸なんて見慣れているはずだった。 なのに何故、こんなに―――。
「…長瀬?お前何ジロジロ見とん」 「え?あ、ゴメン」 「きゃー、長瀬くんたら、や〜らし〜」 光一が楽しそうに囃し立て、女みたいに胸を隠すように両腕をクロスさせる。 明らかにふざけているその仕草でさえ、初めて見るものみたいに心ざわめく。 …これはもしや、まずいんでないのか? 「悪い。もう遅いし、今日は寝るよ」 「え!?あ、ちょっ」 「おやすみ…」 光一が止めるのも聞かず、用意された布団に頭まで潜り込む。 「なんや…折角今日はもっと騒げると思うとったのに…」 つまらなさそうな声が小さく聞こえたけど、聞こえない振りをして眠りにつく。
きっとこの時、恋は始まった。
つづく
需要がなさそうな…このサイト初!の、智光です。密かに何年か前から好きでした(笑)2003年9月現在、結末が決まっておりません。ハッピーエンドになるのかバッドエンドになるのか、これからの私の気分次第です。不定期連載なので、どうか長くお付き合い下さい…。 |