2.王子様


「王子」それは堂本光一の代名詞。

 綺麗で可愛らしい容姿が王子様みたいだと、幼い頃から言われ続けている。

 本人も満更でもないらしい。

「ええなあ。光ちゃんはこーゆー衣装似合うで」

「そりゃお前、オレは王子だし」

「それはお前と同じ衣装、たまに似合うとらんオレに対する嫌味か?」

「ただ真実を言ったまでですぅ〜」

「ムカツクわ、お前」

 光一と剛が衣装合わせをしている。

 もうすぐコンサートツアーが始まるため、その準備に二人は追われている。

 俺は今日スタジオに用事があって来たんだけど、そこで偶然そんな会話を耳にした。

 きゃらきゃらと光一の笑う声がする。

 剛が少々ふて腐れつつも着々と準備を進めていくところを見ると、いつものじゃれ合いなのだろう。

「あれ、長ちゃんやん」

 ボンヤリ衣装ルームの入り口に突っ立っていた俺に気がついたのは剛だった。

「よぉ」

「久しぶりやなー、元気しとるん?そや、こないだドラマ見たで。初めてやったから話はよぉわからへんかったけどな」

「って、えー加減やな、お前」

 言いながら、笑いながら、光一が俺の肩に手をかけた。

 いつもの仕草。

 なのにあの日以来、光一に触れられると一瞬にしてドクン、と心臓が激しく動き出すようになってしまった。

 今もそう。

 光一にバレやしないかと余計ドキドキしてしまい、自分が自分でなくなるような。

「…長ちゃん?どうかしたん?」

「あ?いや別に。それよりそれ今度の衣装?」

 挙動不審だったのだろうか。

 自分でもよく分からない心の内を見抜かれるのが怖くて話題を変える。

 今二人が身につけている、ピンクのスパンコールが眩しい衣装。

「そ。コレ今回初めて使うんやけどさ、今日やっと出来上がったん」

「それで試着ね、試着」

 光一が小さな女の子のようにくるり、と一回転すると、フリルのついた長めの上着がふわ…っとひらめく。

 その姿が綺麗で見とれた。






 王子様というよりお姫様のようだと、この時思った。











つづく











「堂本光一=王子」。言わずと知れてますが。剛くんだとそこまででもないのに、長瀬くんと並ぶと急に可愛らしく見えてしまう…私には。

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