MIDNIGHT DRIVE -2- |
そして。 「おい健、そろそろ起きろよ、もうすぐ着くぞ。」 井ノ原は健の頭を乗せている肩を揺すった。 健はうっすらと目を開ける。 「ん───…?」 まだ完全には目覚めていないらしい、虚ろな目。 しかし、井ノ原の顔が目の前にあって、自分が堂々と彼に寄り掛かっていたことに気付くと、慌てて飛び起きた。 「いっ、井ノ原くんっ?」 「よう、おはよう。」 何事もなかったかのように、井ノ原はマイペースに応対する。 しかし健はそれどころではない。対照的に慌てふためいている。 「おはようじゃないよっ! どーして起こしてくんなかったの? 見られたらどーすんのさっ?」 パニックを起こして小声で捲し立てる。 「別に何とも思われねーって。だけど…。」 健の耳元で、井ノ原は囁いた。 「あんまり可愛くて、起こすのが勿体なかったんだよ。」 そのまま健を引き寄せて、座席の後ろで軽く唇を合わせた。 あまりの出来事に健は顔を真っ赤にする。 「三宅くーん? 家着きましたけどー。」 ドライバーの声で、健は我に返った。 「あっ、すみません。」 慌てて荷物をまとめてワゴン車を降りると、井ノ原が窓から顔を出した。 「じゃーなー、健。」 「うん、また明日ね。」 手を振って、二人は別れを告げる。 車が走り出す。 「…また明日、か……。」 健は井ノ原の乗った車を、見えなくなるまで見送った。
END
はい、これで本当に終わりです。別に一緒にしたところでたいした量じゃないんですがね、一応見たい人だけに。でもどうかな、あのまま終わらせとくべきだったのか、いっそのことその後まで繋げるべきだったのかは、私にもイマイチ分かりませんねぇ。なので皆さんもきっと賛否両論じゃないかと思います。 |