LOVE RECOMFIRMATION -1-


他人が幸せだと、自分も幸せになれることって、あるよね。

 だけどあまりに幸せな恋人達って、時々まわりを巻き込んで大騒動、なんてコトもあったりして。

 勿論、それは僕達も例外ではなかったんだけど(笑)。






 その日は六人での取材の日で、俺は一人での撮影を終え、楽屋に戻ってきていた。

 全員の撮影が終わり次第、歌番組の収録のため、揃ってテレビ局へ向かうことになっている。

 皆が戻ってくるまで取り敢えず台本でも読もうかとソファーに腰掛けたとき、取材を終えた坂本くんが戻ってきた。

「あれ、健だけ?」

「おかえり〜。早かったね。」

「おう。」

 そのまま俺の隣に腰を下ろす。

「何見てんの? 台本?」

 興味深そうに台本を覗き込んでくる。

 坂本くんって落ち着いてて、大人だなって事あるごとにいつも思うんだけど、たまにこういう子供っぽいところも見せるから見てて飽きない。

 そこがまた、剛とお似合いだったりするんだよね。

「そう。明日ドラマの収録があるんだ。ひととおり覚えたことは覚えたんだけど、完璧にしとかなきゃいけないでしょ?」

 そんな坂本くんを微笑ましく感じながら、再び台本に目を落とす。

 だけど数ページ読んだところで、じっと視線が送られてきているのに気付いた。

「……何?」

 訝しげに訊くと、坂本くんはニコッと微笑む。

 そして次の瞬間、何を思ったのか俺に覆い被さるように抱きついてきた。

「ちょっ……坂本くん?」

 抱きつかれた勢いで台本を落としてしまった俺は、坂本くんの行動の意図が掴めなくて彼の腕の中で必死にもがいた。

 だけどもがけばもがくほど、坂本くんはきつく抱きしめてくる。

 自分の行動の無意味さを直感して、抵抗するのを諦めた。

 この後も番組の収録があるんだから、無駄な体力を使うことはないしね。

「ねぇ……どしたの坂本くん? らしくないじゃん。何かあったの?」

「ん───、健は可愛いね───。」

「ねえってば!! 訳分かんないよ、もう。」

 全く聞いていない相手にふてくされたように言うと、やっと少し腕の力をゆるめてくれた。

「だあってさぁ〜、近頃剛と全然二人っきりになれなくてさぁ〜。」

「欲求不満ってヤツ?」

「そうそう、そんなカンジ。だからあ〜。」

 再び強く抱きしめてくる坂本くんを押し退けようとするけれど、やっぱり無駄みたい。

「だからって、何で俺なのさ。」

「剛にサイズが近いから。」

「はぁ? そんなの他にもいるでしょ? 岡田とか……。」

「岡田よりお前の方が近いじゃん。それに、岡田にこんなコトして、勘違いされでもしたらどうするよ。」

「まぁ……そりゃそうだけど。」

 一応、坂本くんと剛のことは、秘密にしてあるから。

 そしてもう一つ、俺と井ノ原くんのことも。

「もぉ。こんなトコ井ノ原くんに見られたら俺、どう言い訳すりゃいいの?」

 相変わらず坂本くんの腕の中で、さすがに不安に思う。

 岡田に勘違いされるのとは訳が違う。

 好きな相手に誤解されるのはやっぱり哀しいよ。

 少なくとも俺はそう思うから。

 だけど坂本くんは、俺のこんな気持ちなんてお構いなしらしい。

「あ〜、それだったら大丈夫。井ノ原の撮影、ラストだって言ってたし。な? だからいいだろ?」

「よくないって!」

「何でぇ〜? せっかく井ノ原がいないとき見計らってやってんのに。一応気はつかってんだよ? これでもさ。」

 ……そういう問題じゃないんだケド。

 坂本くんの《剛くん禁断症状》は相当なモノらしい。

 普段の冷静沈着なリーダーぶりからは想像できないよ。

 全く、剛ってば愛されちゃってるなあ。

 だけど……俺は俺だ。剛じゃない。

「ん〜、剛〜v」

「ねぇ坂本くん、やっぱりマズいよ。剛が来たらさ……。」

 坂本くんはまだ自分の世界に浸ってるけど、やっぱりこの状況はいかがなものかと坂本くんから逃れようかとしたときだった。

 ガチャ。

 最悪のタイミングで楽屋の扉が開いた。

「あ……。」

 マズい。最っ高にマズい。

 扉を開けた、そのままの格好で固まっていたのは、よりにもよって、森田剛その人だった。 

「ご、ごお……。」

 俺と坂本くんの状況を見て暫く絶句していた剛は、俺が名前を呟くと途端に我に返ったらしい。

 どんどん顔から表情というものが無くなっていく。

「……お邪魔しましたっ!!」

 それだけ言い残すと、勢いよく扉を閉めて行ってしまった。

 絶対誤解された。

「さ〜か〜も〜と〜くぅ〜ん。どーすんのさ。剛、絶対誤解したよ?」

「……どーしよ……。」

「もぉ。だから言わんこっちゃない。」

 脱力してる坂本くんの腕の中から脱出して、服と髪の乱れを直す。

「俺、剛を説得してここへ連れてくるから、そこを動かないでよ。いい? 入れ違いになると困るから、絶対にどっかへ行っちゃわないよーに!!」

「はい……。」

 情けなく肩を落として答える坂本くんを一人残して、剛を追いかける。

 坂本くん……ちょっとかわいそうだったかなぁ。茫然自失ってカンジだったし。

 まぁ、自業自得と言ってしまえばそれまでなんだけど。

 とにかく今は剛をつかまえなくちゃ。

 坂本くん、好きな相手に誤解されるのは哀しいでしょう?

 俺だったら耐えられないよ。

 誤解されるのも……したままでいるのも。

 こんな事で、二人には気まずくなって欲しくない。

 俺にとっても大切な……二人だからこそ。











今回は健くんサイドでした。しっかし坂本くんが情けないですね…。ファンの方ごめんなさい。確かこの話は大学受験直後、高校卒業直後に書いた話だったような。多分、合格発表の後から書き始めた…はず。だからちょっと開放感に溢れた作品に…なってないですけど(笑)。次回は剛くんサイドです。

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