LOVE RECOMFIRMATION -4-


 きっと今頃は、部屋の中でラブラブ中なんだろーな……。

 ちょっとうらやましく思いつつ扉の前で待っていると、撮影を終えた長野くんが戻ってきた。

「どしたの?中入ればいいじゃん。」

 楽屋の前で突っ立ってる俺を不思議そうに見る長野くんに、事の次第を伝える。

「ふ〜ん、なるほど。それで立ち入り禁止なんだ。」

 あっさり納得してくれる。

 これが長野くんで良かった。

 岡田だったらどう言い訳すればいいのか分かんないもん、俺。

 しばらく長野くんと、今日の記者さん美人だったねーとか、カメラマンがなかなか来なくて大変だったねーとか、そんなとりとめのないことを語り合っていると、井ノ原くんと岡田が戻ってきた。

 岡田と楽しそうに話してる井ノ原くんの姿に、胸がチクッと痛む。

「あっれー? 何してんの二人とも、こんなトコで。」

 案の定、素直に疑問をぶつけてくる岡田をどうしようか迷っていると、横から長野くんが助け船を出してくれる。

「ちょっと飲み物でも買いに行こうかと思って出てきたトコなんだけど。岡田付き合ってよ。」

「へ? 健くんと行こうとしとったんちゃうん?」

「いーからいーから。さ、行きましょー。」

「ちょ、ちょっと長野くん?」

 ウインクで俺に合図すると、長野くんは岡田を引きずるようにして去っていった。

 何か言いたげだった岡田がちょっと可哀相な気もするけど……、ありがと、長野くん。

「で、ホントは何なんだ?」

 二人が見えなくなると、井ノ原くんが小声で聞いてくる。

 気付かれちゃったみたい。やっぱり俺、隠し事には向いてないな。

「あれ、バレた?」

「まさかホントに飲み物買いに行こうとしてたんじゃないだろ。分かるよ。」

「ふふ、実はね……。」

 井ノ原くんの耳元に、内緒話をするようにして話す。

 本当は違うんだけど、こうしてると二人だけの秘密みたいで楽しい。剛や坂本くんが聞いたら怒りそうだけど。

「……ってワケなの。分かった?」

 ひととおり話したところで、井ノ原くんから離れる。

「じゃあお前、坂本くんに抱きしめられたってコトか?」

「え? うん。」

 軽く答えると、井ノ原くんは急に不機嫌そうな顔になった。  「あの、井ノ原くん……?」

 不安になっておそるおそる顔を覗き込もうとすると、井ノ原くんは俺を強く抱きしめてきた。

「い、井ノ原くん? ちょっと、苦しい……。」

「どっちが良かった?」

「え?」

「坂本くんと俺、どっちに抱きしめられたいって思った?」

 真剣な声で聞いてくる井ノ原くんは、どうやら少し怒っているみたい。

 その時になって初めて俺は、自分が軽率だったことに気付いた。

 普通自分の恋人に、他の人に抱きしめられたなんて楽しそうに言わないよね。

「ねえ井ノ原くん、こんなところで……誰かに見られたらマズいよ。お願い、ちょっと放して。」

「イヤだ。」

「さっきの答えだったら、井ノ原くんに決まってるよ。だからちょっと放して……。」

 井ノ原くんはゆっくり俺から体を離す。

「本当に?」

「うん。坂本くんは俺に剛を重ねてたけど、俺は井ノ原くんだけだよ。井ノ原くんと居て、井ノ原くんに抱きしめられてるときが一番幸せ。井ノ原くんは? もし俺となかなか会えなかったら、剛や他の誰かに俺を重ねちゃう?」

 人のいないところへ移動しながら、不安に思っていたことを訊ねる。

 そう、坂本くんが俺に剛を重ねて抱きしめてきたときから心の隅で思ってた。井ノ原くんは……どうなんだろうって。

 俺じゃなくても、いいんじゃないかって。

 さっき剛と話してた場所まで来ると、俺は井ノ原くんにもう一度訊ねる。

「ねぇ……どうする?」

 振り返った俺を井ノ原くんは再び強く抱きしめてくれる。

「分からないな……その時になったら坂本くんみたいに思うかも知れないけど、今は分からない。だってそんなこと考えなくたって、目の前にお前はいるんだから。ちゃんと抱きしめられる位置にいるんだから……。」

 耳元に囁かれる言葉は、俺が一番欲しかった答えかもしれない。

 いつも一緒にいる、なんて無理だけど、井ノ原くんはこうやって俺を抱きしめてくれる。

 いつも俺のことを想ってくれてる。

「井ノ原くん……大好き。ずっと俺だけを見て欲しい。俺をずっと放さないで欲しい……。」

 首に腕を回してうっとりしている俺の額に、井ノ原くんは軽く口づける。

「放さねぇよ。たとえお前がイヤだっつっても、放さない。」

「イヤだなんて、そんなことありえないよ。」

 どちらからともなく唇を合わせる。

 まだ仕事途中だけど、剛達だけ幸せなんてずるいじゃない。

 俺達だって、少しでも多く幸せな時間を過ごしたい。  

 これくらい、バチあたんないよね。

 そう井ノ原くんに言うと、当然だよって言ってくれる。

 とりとめのない意見の一致……こんなコトでも幸せを感じる。

 これはきっと井ノ原くんとだからだね。

 ねえ剛、今の俺とお前と、どっちがより幸せなのかな?











END











 あらあらあらあら。なんだかとってもアマアマだわ(苦笑)最後、どっちが幸せなのかとか言ってるけどどっちがよりベタ甘なのか、のほうがしっくりくる気がします…。私は長野くんをどういうキャラにしたいのでしょう。何も知らない末っ子ちゃんを連れ去っていくシーンとか、読み返していて自問自答。そんなこんなで、これで本当にラストです。
坂剛は初の試みだったので、苦し紛れに井健も編み込んで。この話の剛健がいい例ですが、受が女のコになってしまうのが悩みの種なんです。ふと気付くと、書き上げてもう1年以上が経ってました今回の話。もし、こんなつたない文章でも何か感想を持たれましたらBBSやメールでコメント下さると喜びますv

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