LOVE RECOMFIRMATION -3- |
健が剛を追いかけて出ていくと、俺は楽屋に一人になってしまった。 ……やっぱりマズかったかなぁ。 思わずとってしまった軽はずみな行動が、剛を傷つけてしまった。 自分のことだけで精一杯だなんて俺らしくない。 ……疲れてんのかな。 健の方がよっぽど大人だよ。 これで剛が別れるなんて言い出したら……どうすりゃいいんだ、俺は。 コンコンッ。 机に突っ伏して嘆いていると、扉をノックする音が聞こえた。 「ふぁ〜い……。」 気の抜けたように答えると、キィ……と扉の軋む音がして、健が顔を出した。 思わず飛び起きた俺を見て、健はクスリと微笑んだ。 「坂本くん、後はよろしくね。ホラ剛、中に入って入って。」 健に押されるようにして、剛が顔を見せる。 その表情がとても苦しそうで、俺は剛を傷つけたことを再度認識した。 「じゃあ、俺は外にいるから。坂本くん、剛をくれぐれも頼んだよ!」 俺に対してしっかりクギをさすと、さっさと出ていこうとする。 「おい、健……。」 パタン。 呼び止めたのも聞こえていたのかどうか。健はあっさり扉の向こうへ消えた。 二人きりになると、途端に気まずい雰囲気が漂い始める。 「剛……剛?」 とにかく誤解を解こうと一歩踏み出したその時、剛が俺の胸に飛び込んできた。 不意に抱きつかれて、予想もしていなかった俺は面食らった。 肩に手を置くと震えているのが分かる。 泣かせてしまったと思い、俺は慌てて弁解を始める。 「な……なぁ剛、さっきのなんだけどな、健はお前の代わりに抱きしめてただけで、別に健に心変わりしたとか、そんなんじゃないんだよ。俺はいつだって、お前を一番大切に想ってるから。」 「ウソ。」 剛が見上げてくる。涙が光っていて心が痛んだ。 「坂本くん、もう俺のコトなんて嫌いになったんだ。飽きちゃったんだ。健と一緒にいた方が楽しいから、だから……。」 再び俯いてしまった剛を強く抱きしめて、必死に言い訳を探す。 「どう言えば納得する? 俺は本当に剛が大切だよ。誰よりも誰よりも愛してる。一生放したくないって、思ってる。」 「ホント?」 「こんなコト嘘や冗談で言えるわけないだろ? 信じて……剛?」 抱きしめてる剛の様子がどうもおかしいことに気付き、顔を上げさせる。 「ちょっ、おま……。」 「ふふっ、あははははっ。もぉ、健の言ったとおりだ。」 軽い調子で笑う姿はいつもの剛で、俺は今まで泣いているからだと思っていた剛の震えが笑いからくるものだったと知った。 「んだよ、今の芝居だったワケ? 嘘泣き……ったく、本気で心配したじゃねーか。」 「違うよ、さっきまで泣いてたのは事実。」 額に手をあてて座り込むと、剛も目線を合わせてしゃがんでくる。 「ホラ、ね。泣いたあとあるでしょ? ……坂本くんのせいでね。」 「……悪い。」 何か力が抜けた。 全部、健から聞いて知ってたってコトか……人が悪いよな。 健も、それならそう言ってくれりゃあいいのに。 この世の終わりかってくらい、悩んだんだぞ俺は。 「ねえ坂本くん、顔上げてよ。」 「え?」 言われたとおりにすると、剛は急に抱きついてきた。 そのまま唇を合わせる。 暫くして唇を離すと、いたずらっぽい笑みを浮かべた。 「ちょっ、いきなり何すんだ?」 「何って……いいじゃん。俺がしたかったからしただけ。」 「こんなトコで……誰かに見られたらどーすんだよ。」 「大丈夫、健が見張ってくれてるし。せっかく久しぶりに二人きりになれたんだもん。それとも、坂本くんはイヤだった?」 剛の顔がちょっぴり曇る。 「……嫌なわけないだろ……。」 あまりにいじらしくて、俺は剛を思いっきり抱きしめた。 そして今度は俺からキスを贈る。 「よかった……。」 所有の印を刻むように口づけを繰り返すと、首に手を回してくる。 そんな剛が愛おしくてたまらない。 ずっと抱きしめていたい。 放さない、放したくない……ずっと。
END
はい、一応終了しました。どうでしたかねぇ?どうも私はラストを考えるのが苦手で、最後ベタ甘になるみたいなんですよね。今回もちゅうで終わらせてる(苦笑)まだキス止まりなのはその先が書けないからなのと、新境地に踏み出すことが怖いからなのとありますが、いつかやりそうでそれもまた怖い…。そして、この話は終了したのですが、もう一つラストを作ってあります。巻き込まれた健くんサイドで、彼氏も出てきます。坂剛は好きだけど井健だったら見たくない、という方はここでストップしてね。 |