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秘書:関係を変えるきっかけ 1

その日の行動の突端は、ルーファウスにあった。
「本当に行くんですか?」
とはクラウド。
秘書になって二つ目の夏。16歳のことであった。
「ああ……」
言葉少なく、ルーファウス。
今度こそは、と思わずにはいられない。
何しろ前回は……。
「でも、毎年この時期は、母さん……」
「大丈夫だ。エレノアに頼んで予定は知っている」
「そうですか……」
二人は現在、車に向かって歩いている。
これからニブルヘイムに行こうというのだ。
何しに? そりゃ――。
愛する息子を嫁にもらう夫候補(ルーファウス)が、その挨拶と、結婚式への招待状を渡しに。
本当なら、前回婚前旅行もどきでニブルヘイムを訪れた時にしょうと思ったのだが、その贈り物が、何故か大人のおもちゃに変わってしまっていて、しかもそれを楽しんで使ってしまったので、挨拶をする時間も、挨拶に付随する土産もなく、挨拶は出来なくなった。
なので、今回は、最初からそれ目的で行こうと言うわけなのである。
「……あの……別に母さんには、俺から……」
「いや、夫として当然のことだ。心配するな。へまはしない」
そりゃ――仮にも神羅カンパニーの副社長なのであるから、対人関係で失敗はしないだろうが……。
しかしそれでも、息子を嫁にくれ、と言われる母の気持ちとしては、どうなんだろうか?
クラウドは思わず考えてしまう。
――母さん、驚きすぎて心臓が止まっちゃったら、どうしよう?
とは言っても、そうなったらルーファウスが神羅の技術を使えるだけ使って蘇生するのだろう。
とにかく、今から何もしない――というのはありえないことで、なのでクラウドはそのままルーファウスにくっついて、ニブルヘイムへ行く――はずだった。
「さて……エンジンを……」
「あれ?」
ぶるるるる。
挨拶に行くのにまさか運転手は連れて行けない――と、どういう基準でか言い切ったルーファウスは、自分で車を運転することに。
父親に無理に借りた、神羅一番のその車を、ルーファウスは運転するのだ。
助手席にクラウドを乗せて、エンジンをかけたその時。
不穏な音が、クラウドとルーファウスの耳を打った。
ぶるるるるるぅ。
ぶるるるるるるっるうぅ。
明らかにおかしい。
「一体?」
一応エンジンをのぞいてこようと、車を出ようとしたルーファウス。
ドアをあけたその瞬間!
ずどかーん!!!
ものすごい音が、ドアを弾き飛ばした。
「ルーファウス様っ!」
慌てて車を飛び出したクラウドが、駆け寄ると、ルーファウスは全身傷だらけで、しかし別の車に乗り移るべく地を這っていた。
「何、してるんですかっ!」
「何もない。私はニブルヘイムへ行くんだ」
「無理ですっ! 直ぐに医療班を呼びますから!」
「いや。大丈夫だ!」
「駄目ですー!」
なんでそんなに挨拶にこだわるんだ。むしろ怪我を治さないと、挨拶の前に命がなくなってしまうかもしれないではないか。
クラウドは必死にルーファウスを説得し、医者に駆け込んだ。

数日後――。

「息子が大変失礼をしまして……」
と、クラウドの母の方が、ツォンにつれられてやってきた。
「いえ、こちらこそ。クラウドを危険な目に巻き込んで……」
本当は、もっと安全にニブルヘイムにたどり着き、土下座をしてでも息子さんをくださいと言うはずだったのだ――とルーファウス。
クラウド母は、それほどまでに自分の愚息を欲しいとおっしゃってくれるのか、と感動。
「息子をよろしくお願いします」
ということになった。



因みに。
「で? あの爆発事故、死なない程度になっていたんだって?」
きらりと光る目でエレノア。ツォンに詰め寄る。
「る、ルーファウスさまの命令だ。すんなりクラウドと結婚できるように、母親を説得するなら、命くらいかけると……」
「そんなにクラウドと結婚したいのねぇ……」
年の差、すごいのに――。
とはエレノア。
二人ともに、ルーファウスのクラウド出来合いぶりに吐息しつつ。
二人の変わらない幸福を祈るのであった。


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