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S M L LL

声が枯れるまで1


浮かべた自分の笑みが、いかに下卑ていようと、ハボックはその行為を止めるつもりはさらさらなかった。
むしろ、目の前の女が泣き叫ぶ程に無体を強いて、傷ついて泣けば良い、とさえ思っている。

別に、ハボックはこの少女が嫌いでも憎くもなかった。
年齢の割りに幼い外見だとか、伸び悩む背だとか。
色々なところにコンプレックスを持つ少女は、実は重すぎる運命に弟と二人立ち向かう強い女でもある。
彼女を見守る大人の一人として、常々その力になってやりたいとか、そういう気持ちを長く抱き続けてきたつもりの相手。
なのに……。
その気持ちは、ハボックが心から愛するあの男を、彼女が手に入れた――それを知った時までのものだった。
ハボックの愛する男――ロイ・マスタング。
上官であり信頼出来る相手でもあるロイ。
ハボックはこの青年が、出会った頃から好きだったのだ。
だが、己も彼も男故に、いかに軍内部でそういう関係――同性愛――が公然の秘密となっていても、想いを告げることは叶わなかった。
彼は無類の女好きであり、また己も巨乳女性が好きだという事実が、公にされていたからである。
普段から声を大にして、巨乳が好き、と公言している自分が、例え真摯に告白をしたとしても、自らも女性を好きであるロイが、果たして信じるだろうか?
そう思うと、口に出して気持ちを伝えるのははばかられた。
真剣な気持ちだからこそ、嘘や冗談に紛れて断られるのは我慢がならない。
それに――。
ホークアイの存在もネックだった。
ハボックよりも早くロイに出会っていたホークアイは、端から見ればそれ程ではないものの、ロイを想う邪な気持ちのハボックの目から見れば、明らかにロイに気持ちを寄せていた。
独身主義を貫いているかのように、一人に決めないロイが、例えば結婚を決意した時に隣に並ぶ女性は、だからホークアイに違いない、とハボックは常から思っていた。
似合いの二人だった。
なのに――。

ロイが選んだのは、ホークアイでも勿論ハボックでもなく、数年前にロイの声かかりで最年少国家錬金術師の地位を手に入れた、見掛け男か女か判別も出来ない、未成熟な少女――エドワード=エルリックだった。

許せない。
ホークアイならば涙を呑んで我慢もしようと思った嫉妬が、エドワードに対してだと滾る灼熱として噴き出してくる。
だって彼女は――ロイがどのような人間かもはっきりと理解しようとすらしない、生意気な子供だったから。
軍人という立場は、端で考えるよりも楽ではない。
任務が込んでくる度に心はささくれ、安らぎと呼ばれるものからは遠くかけ離れていく。
となれば、傍にいる相手は、隠された気持ちすら理解し、心優しく包んでくれる相手――もしくは、共に絶望の果てを見てくれる相手に限る。
だが、エドワードはそのどちらにもなりえない。
心も体も成熟しきっていないエドワードは、ロイに対しては、甘え寄りかかるだけの存在に過ぎない。
疲弊した心に、更に負担にしかならないはずのエドワードだからこそ、ロイの隣に並ぶべきではない、とハボックは判じる。
それに……。
「本当に女か?」
ふいに口をついた言葉に、組み敷かれたエドワードは目を見開く。
両手両足をベッドに繋がれた、標本の昆虫になったようなエドワード。
既にその体に衣類の一片すらもなく、無様に晒された体は、女というのには未熟すぎた。
「っ!」
声を詰まらせたエドワード。
本当ならその未熟な体を直ぐにでも隠してしまいたいのだろう。自由にならない腕を動かし、必死に身を捩るが不自由な動作で隠れる場所などどこにもない。
「どうせするなら、巨乳の方が良いんだがな……」
そう、ホークアイ中尉程にはあった方が好ましい。
それでも、ハボックは先程から触れ続けた乳房に触れる。
摘むのがやっとという程のふくらみ。いっそまるでない方がすっきりするというものではないか?
思いながら、微かなふくらみを撫でこすり、突起をつまみこする。
――ふぅ。
と声にならない吐息は、震えている。
恥じらいを濃く浮かべる表情は紅く染まり、瞳は屈辱に濡れていた。
「良い瞳だな……」
薄く笑ったハボックは、微かな刺激で固く立ち上がった乳首を摘むと、もう一方を口に含んだ。
舌で転がし、歯で噛み付く。
緩急をつけた刺激に、エドワードは腰を唸らせ、固く引き結んだ唇から、喘ぎとも呻きともとれない声を発した。
初々しくも、それが強姦故に頑なな態度であった。
ハボックは哂う。
「初めてか?」
問われた言葉に、エドワードは大きく目を見開いた。
「初めてなんだな?」
「ち……っ」
「一度でも、この体を愛されたことがあったのか?」
セックスを、一度でもロイとの間に結んだか?
直接的な問いに、エドワードは愕然と項垂れた。
返事を聞かずとも、判ろうというものだ。
まだ少女は十五。年齢的にも行為は早すぎる。
ロイはフェミニストでもある。その彼が、エドワードに手を出していないのは当然だろう。
大切に育てている花なのだ――とロイはエドワードについて語ったことがある。
大切すぎて、手が出せない。
そういう意味だ。
「残念だったな。初めてが、好きな男ではなく、この俺になるなんてな」
暗く哂ったハボックの手が、戒められたエドワードの両足を抱える。
エドワードは震え、必死にハボックの手から逃れようとするが、それはハボックが許さなかった。
男女の力の差は歴然としている。例えばエドワードが肉体的に優れ、その体術には男顔負けの威力があるとしても。
体術には力そのものではなく、テクニックが必要であるから、例えばエドワードの小柄な体で対峙しても大男にすら叶うだけの実力が出せるだろう。が、純粋な力そのものでいったなら、その差は大きい。
押さえつけるだけなら、当然ハボックの方に軍配が上がり、エドワードなど一発で捻り潰せるだろう。
そう、今も……。
大きく開かれた足を、どうすることも出来ず、エドワードはただ震えてハボックの出方を見ることしか出来ない。
例えば、先程の乳房のように嬲られようとも、震えて拒絶の言葉を吐くことが、唯一出来ること。
「や……だ……」
縋るように首を振るエドワードに構うことなく、ハボックはその両足の狭間――暗い翳りに触手を伸ばす。
十分な前戯を与えたわけではないから、エドワードのそこは、湿り気を含まず触れても指が引っかかりを覚える。
「やだっ!」
必死に閉じようと動く足を力づくで押さえつけ、ハボックは一度そこに触れた指を己の口に含み、たっぷりと唾液を絡めた。
少女は弱々しく首を振って、その様子を凝視している。
一度として行為の経験がなくとも、何をされるかの想像はつくのだろう。
エドワードは幼くとも科学者で、経験はなくても知識は豊富だ。
ねっとりと唾液を絡めた指が、それからどこをどうするのか、想像を膨らませているのに違いない。
その想像が、恐怖を生むか、それとも淫蕩な妄想を生むのか。
く、と笑いを喉に絡ませて、ハボックは見せ付けるように唾液まみれの指をエドワードの両足の狭間に。
「や、やだ」
恐怖に引き攣れた声が、必死に静止の言葉を吐き出している。
だが、そんなものは何の役にも立たない。
食物連鎖の関係で、捕食者が被捕食者に「嫌」と言って聞き入れられないのと同じように。
嫌なら、その身を引きちぎっても逃げるだけしか方法がない。
いまやエドワードは、絶対者たる主人に摘まれることを運命付けられた、哀れな花に過ぎないのだ。
ハボックは潤んだ瞳で必死に静止の言葉を投げるエドワードを横目に、濡れた指をその狭間に滑らせた。
最初は内部を守る二枚の弁を、指一本で撫でるだけ。
それでも、初めてのエドワードにはどれ程の感覚が過ぎっただろう。
何度かぬるみを擦り付けて、もう一度指を口に含む。
今度は更に指の本数を唾液の量を増やし、もう一度――。
快感を得るのにはまだ遠いのだろう、エドワードの体は、固くこわばり恐怖を示す。
だが、ロイを好きなハボックとて男。女体を抱いた経験は一度や二度ではない。
どこをどうすれば、女の体が喜ぶか熟知している。
狭間を濡らしたハボックは、指二本で弁を大きく開くと、そこにぽつりと存在を主張する肉芽をもう一方の手で摘んだ。
「っや!」
ぴくり。エドワードの体が跳ねる。
イイのだろう。そこはそういう場所だ。
唾液に濡らされ滑りの良いそれを、指二本で上下にこする。
女体の中に残された、それは男根の退化した証なのだと言う。
こすればその存在は更に主張され、膨らむ。
幾度か過ごす内に、固かったエドワードの体の緊張は解かれ、腰が淫らに揺れ始め、同時に陰門から蜜が零れ始めた。
子供の体は貪欲だ。得る知識に感覚を全てその通りに吸収し、慣れていく。
今もハボックの動きに慣れ始め、体は持ち主の心情も無視し、男を迎え入れる準備を始めた。
もう唾液など必要はない。
陰門から滲み出る愛液が、ハボックの動きを助ける。
弁を支えていた二本の指で、陰門をくぐる。
熱い肉襞に迎えられて、ハボックは知らず昂ぶる己の欲を感じていた。

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