over18

S M L LL

声が枯れるまで2


女の柔肉はハボックを柔らかく迎え入れ、しかし適度な締め付けは震えるくらいに良かった。

エドワードを犯している。
いずれ己の好きな男に抱かれる、無垢を失った魂。
呼吸の仕方を忘れたかのように、断続的に吐息をこぼすエドワード。
一杯まで広げられた陰門でハボックの肉欲を食み、愛撫の手を伸ばす度に収縮を繰り返す、淫欲のドール。

広いとも狭いとも言い難い空間では、一方的なレイプが行われている。
とはいえ、花を摘まれているエドワードは、初めての感覚に溺れ、その中に快感を見出し始めていた。
従順な体。
愛も好意も少女に対して欠片も持たないハボックは、少女の身を案じた結合を求めなかった。
滴った愛液を適当に己に刷り込み、適当に滑りを良くしただけで、少女の未踏の地へ押し入った。
当然のごとく、まだ男というものを知らなかった少女の処女は破られ、哀れに流血したが、それすら、ハボックの心の中に何の波も立たせることはなかった。
ただ、憎しみだけが宿ったまま。
乱暴に抽挿を繰り返すハボックの凶器に、エドワードは最初は痛がって泣いた。
だが女性の体というのはある意味便利なもので、結合がきつければそれに対応して体を労わらんと愛液が分泌される。
ぐちゅぐちゅと音を立てて、ただ繰り返される抽挿。
エドワードの細い腰を掴み、荒々しいとしかいえない所作で、ただ、犯す。
「ふっ、ふっ、ん……っぅあ……」
声を出すまいと唇をかみ締めたエドワードの、その隙間から、吐息と共に漏れ出でる声は、聞く者が聞けば艶やかで欲望をかきたてるものだろう。
だが、ハボックにとっては、それは憎悪を募らせるのに十分な声だった。
聞きたくはない。
散々少女の内を嬲った濡れた手で、エドワードの口を押さえ込む。
呼吸の上手くいかなくなった少女は呻き、同時に突き入れる角度を変えたハボックの行為に乱れる。
「ん……んんッ……」
苦しい――そんな声が聞こえるような気がしたが、それで死んでしまえばハボックには行幸だった。
いっそ、殺してしまえ。
抱き殺してしまえ――。
凶暴な思考がハボックを満たす。
ぐいぐいと腰を突きいれ、同時に乳房を乱暴にも見込む。
口を押さえたまま、激しく腰を動かし、同時に快楽にとがった乳首を、噛み切らんばかりに噛む。
「んんーーーーーっ!」
痛みに呻いたエドワードは、しかし同時に強く締め付け、余計にハボックを喜ばせた。
男の形をあからさまに感じたエドワードは、目を見開き、己を犯す男の顔を見つめる。
――何故?
そんな問いが聞こえるような気すらする。
実際には口を抑えられ、呼吸すらままならないのだが。
ハボックはそんな少女を見下ろすと、酷薄の笑みを湛えて、告げた。
「死んでくれよ……」
なんて残酷な。なんと恐ろしい言葉だろう。
エドワードの両目が驚愕を表し――しかし直ぐに閉じられた。
既に抵抗すらなかった体から力が抜け、ハボックの動きの妨げになるものの全てがなくなった。
何を思ってエドワードが力を抜いたのか、それは判らない。
ただ、本当にセックスドールに成り下がったエドワードを見て、ハボックは満足な笑みを浮かべる。

長く辛い行為は、その後も続いた。
ハボックは何度もエドワードの中に欲の証を吐き出し、気絶すら許さない残酷な行為を強いた。
エドワードはそれに耐え、最後には自ら体を開きまでして耐えた。
呼吸を止められ、何度も気を失いながら……。

秘された行為が行われた後、エドワードはハボック達のいる司令部には姿を現さなくなった。
共犯でもあるホークアイが、エドワードとハボックの行為の最中を写真に収め、ロイに見せたのも原因の一つかもしれない。
ロイは、エドワードの裏切りにも似た行為を、責めはしなかった。
ただ、悲しげにエドワードを見つめ、それでも愛しているのだ、と告げたらしい。
なのにエドワードは姿を消した。
残酷な運命に晒され、真摯に努力していた少女があの後どうなったのか、ハボックもホークアイも知らない。
いや、知らなかった。

「アルフォンス・エルリックです」
暫く後に現れたのは、エドワードの片割れとも言える弟――アルフォンス。
既に鎧ではない姿で現れ、近況を語ったことによれば、姉は子供を身ごもり一人で育てているのだとか。
彼らが知らぬところで悲願を達していたことを知った馴染みの軍人は、喜びを示しアルフォンスを歓迎した。
けれど……。
「厚顔無恥に良くもそんなことがいえますね」
アルフォンスはそう言った。
「姉の産んだ子供が、誰の子か、知りもしないで」
責める口調は、ハボックとホークアイに向けられていた。
軍人達のいる司令室。
そこで、アルフォンスは秘された事実を白日の下に引き出したのだ。
愕然とするロイ。真実を知り、またそれが己の信頼していた部下達の所業であることに、絶望した。

後日、エドワードと再会を果たしたロイは、真実の行方をエドワードに尋ね、ハボックとホークアイが行った悪魔の所業を聞くことになる。
話を渋ったエドワードに、無理矢理聞きだした結果だ。
「本当は、素直に死んでやるつもりだったんだけど……」
寂しそうに告げたエドワードは、両腕に子供を抱えていた。
金髪碧眼の子供。明らかに、ハボックの子であった。
「アルを元に戻すまで……子供を育てるまで、って考えてたら、どんどん生きてる時間が長くなって……ハボック少尉には悪いと思ったんだけど……」
エドワードは、素直に言葉を受け入れ、己に向けられた憎しみの原因も悟っていた。
好意が引き起こした悪意。
「そんな風に憎しみを向けられる程、立派な人間でもないんだけど……」
微笑んだエドワードは、己の中の全てを昇華してしまったのかもしれない。
レイプによって孕んだ子を慈しみ、人の痛みの判る立派な大人になりなさい、と諭す。
まだ親の庇護の元にあっておかしくない年齢でありながら、それでも母親の顔をして。

ロイは母子を己の家族として迎え入れた。

そして――今度はロイの復讐が、アルフォンスという共犯者を向かえて行われる。
エドワードの知らぬところで……。

というような話を書いてみました。
いかがでしたでしょうか?

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