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S M L LL

中嶋×啓太編1


下着のサイズ

 啓太は携帯のメモリを眺めながら、非常に悩んでいた。
 ――誰に助けを求めるべきか。
 本当なら、親友の和希に最初にヘルプを求めるべきだろう。
 が、何故かこういう時に限って実家に用事があると、昨晩から外泊届け込みでいない。
 となると、一番頼りになるのは……。
 こういう問題でないなら、多分――丹羽。
 生徒会会長でもあるし、いざという時の――健全な――判断は丹羽が一番的確で早い。が、あくまで健全な問題の場合のみ、だ。
 この状態で丹羽が来たことを想像してみて、啓太はがっくりする。
 丹羽なら、絶対――。

 部屋に迎え入れる。
「け、啓太!」
 絶句して赤くなり、そのままフリーズ。

 想像に難くない。
 となると、西園寺?
 いや、西園寺ならきっとこうだろう。

 部屋に迎え入れる。
「啓太? どうした? 胸の辺りが腫れているようだが?」
「えっと、体が女の子になっちゃったみたいなんです」
「なる程……ならば、まず、原因からはっきりさせなくてはならないな」
 で、延々と、啓太が今一番解決してほしい問題をそっちのけにして考え込むだろう。

 間違いない。
 では、中嶋?
 啓太はぞぞぞ、と震える。
 中嶋は啓太の、いわゆる彼氏である。
 だが、中嶋にとっての啓太は?
「あれはどう考えても――ペット扱いだよなぁ……」
 その中嶋を部屋に迎え入れたとしたら?
 ただでさえ、ペット扱いなのだ。部屋に入った途端に珍しいものを見たような顔をして、その後直ぐに押し倒されるのは目に見えている。
 いや、ペットはそもそも押し倒されはしないと思うのだが、中嶋にはセックスが啓太の餌――という認識があるらしく……。
 自意識過剰ではなく、間違いなく押し倒される。
「それは、駄目だ!」
 男の身の上ならば良い。が、今は女だ。
 元に戻れるかどうかも判らない状態で、性交。
 中嶋はとにかく啓太の中に出すのが好きなので、この場合であっても避妊なんてしもしないだろう。当然中に出され、下手をすると妊娠――。
「か、考えたくない……」
 他。他に頼りになる人……。
 篠宮。
 いや、確かに篠宮は頼りになる。なるが……恐らく反応は丹羽と同じだろう。
 岩井……はただ見ているだけになりそうな気がする。
 なら、成瀬?
 それこそ冗談だ。
 滝――は、これをチャンスとばかりに商売に使われてしまう可能性大。
 ならば海野――は事の原因なので、絶対に助けてくれるわけがない――だろう。
 となると、残るのは……七条。
 それこそ駄目に決まってる。
 七条はみかけ紳士的で優しいが、実際にそうかどうかは判らない。
 得体の知れない――という意味で、最も当てはまるのが七条だ。
 結果が想像も出来ないから、余計に助けを求められないのだ。
「やっぱり……中嶋さん……かなぁ?」
 最低でも、取り乱すことはないだろう。心配は――妊娠。
「……はやだなぁ……」
 だってまだ、高校生なのだ。それも一年。
 それに、出来ちゃったからといって、中嶋が認知とかしてくれるとは思えない。
「シングルマザー。しかも十六。いばらだなぁ……」
 暫く考え込む。
 そして結局。
「和希ー! 帰ってきてぇぇぇ!」
 一番頼りになるのは、遠藤和希。
 こういう図式が、啓太の中で出来上がっていた。
 そうなのだ。制服を借りるにも、啓太よりも1サイズ上の和希のものが借り易いし、体型的に目立たない――はずである。
 それに、和希は手芸部なのでそれなりに衣類の知識がある。
 例えば下着――とか。
 それ程大きくはないが、動く度にブルブルとゆれる乳をなんとかしたい。
 自分の胸についているものだが、やっぱり思考は男なので、見ていると妙な気分になるのだ。
 和希なら、このブルブルを何とかする方法を知っている――ような気がした。
 いや、それは、脱がせたことがあるのだろうから、中嶋も知っているだろうが……。
 和希はいない――中嶋なら妊娠覚悟……。
「おれ、どうすれば……」
 悩みに悩み、思考がぶっ壊れるのではないか、と思った時だった。
 コンコン。
 ノックの音が響いて、次にあまり現状では聞きたくなかった声が響く。
 何時もの啓太なら、喜んでドアを開けただろう。だが今は……。
「啓太? いないのか?」
 響きのある低音――中嶋である。
「啓太?」
 どうしようどうしよう――と思考では慌てながら、体は素直に気配を殺そうとする。
 この辺りで、結果は見えてる。
 やっぱり助けを求めるのに中嶋は向かない。
 ――早く校舎へ行っちゃってください!
 祈るように床にしゃがみこんだ時、信じられない音が響いた。
 がっちゃり。
 重い――鍵が外れる音である。
 ――な、なんで中嶋さんが俺の部屋の鍵を!?
 慌てふためいて隠れる場所を探す啓太の前で、空しくドアが開かれ、大好きなんだけど今は放っておいてほしかった――愛しい人の姿が部屋に。
「なんだ、いたのか?」
 にやり、笑った中嶋の視線が、一瞬後にいぶかしげに変わり、制服の薄いシャツを押し上げる胸に。
「なんだ? 胸が腫れてるのか?」
 ――それは、西園寺さんの反応のはずですー!
 啓太は混乱に混乱をきたし、思い切り胸を隠すと、ベッドに飛び込みシーツ深くに潜りこんだ。
「か、帰ってください!」
 普段より甲高い声が、部屋に響く。
 体が女性化した所為なのか、声まで高くなってしまったようだ。
 当然かもしれない。女性は目立った声変わりはしないものだ。
「啓太? 風邪でもひいているのか?」
 啓太の望みむなしく、ベッドに乗りあがってきた中嶋は、遠慮無用に啓太のかぶっているシーツをはがし、暴れる体を押さえつけるように両手を戒めた。
「ちょ、ちょっと中嶋さん!」
「暴れるな。見せてみろ」
 シャツのボタンを、プツンプツンをはずされ、直ぐに現になる胸。
 隠そうとするのに出来なくて……。
「ふぅん……」
 ズボンが尻に引っかかって入らなかったので、下はトランクス一枚という格好だ。
 中嶋はそのトランクスもらくらくと剥ぎ取り、しげしげと啓太の体――直線の男の体から、なだらかな流線型になった――を眺め回す。
 まるで、視線に犯されているような気分に、啓太はなった。
「胸はボリュームは少ないが、型崩れしていない。揉めばそれなりに成長するだろう。あとは……」
 中嶋の手が素肌を這い、啓太の両足を大きく割った。
 ――うわぁーん、予想通りの展開なのかぁ!
 泣きそうになっている啓太に頓着せず、中嶋はその狭間――秘所に触手を伸ばし、茂みに隠された秘所を、いきなり割った。
「やっ、い、痛いっ!」
「ふぅん。なかなか良さそうだ」
「な、何がですか!」
 この場合、啓太は処女だ。間違いなく。
 既にいたしている行為ではあっても、女性の体でいたされたことは一度もない――故に、処女。
 が。
「しっかりと身についているようだな。もう、濡れてる」
 秘所から引き出された中嶋の指は、てらてらと滑る液が光を弾いていた。
「う、嘘……なんで……」
「慣れているからだろう? 相手が俺で、しかもベッドの上。両手を戒められて足を割られた――というなら、することは一つだろ?」
「し、しません!」
 押さえつける中嶋の手を、力一杯に押し返そうとするが、ただでさえ叶わないのが女性化して余計に力が頼りなくなったのか、びくともしない。
 そうこうしている間に、中嶋の言う形の良い胸が捉われ、容赦なく揉まれてしまう。
 揉まれたことはさすがになかったからか、啓太は驚く程の感覚に支配されていた。
「や、やだ……中嶋さん……」
 胸一つだ。なのに、酷く感覚が鋭くなるのが判る。
 要するに……感じているのだ。
 巧みな手の動きで揉まれ、その先端をねっとりと舐られるともう駄目で。
 自分でも、浅ましく下肢が濡れるのに気付いた。
 いやらしく、細くくびれた腰がうねり、跳ねる。
「…や……やだぁ……」
 このままでは妊娠一直線――ということもないかもしれないが――である。
 何とか逃げなくてはと思うのに、思考はどんどん甘い渦に飲み込まれていく。
 全身が中嶋という男の気配に包まれ――とうとう啓太は陥落した。
 抵抗を失った手を開放され、それは中嶋の首に回された。
 キスをねだり、かなえられたそれに酔っている間に、秘所を嬲られる。
 初めての感覚は、それまで感じていたことが嘘のように体になじみ、まるでそれが最初から自分のものであったような錯覚さえする。
 濡れた音を響かせて内部を探っていた中嶋の指が増えているのにも気付かず、啓太はひたすらに求めて腰を振り、中嶋を楽しませ己も快楽の波に飲まれていった。
「啓太……」
 吐息にまぎれた声が啓太を呼ぶ。
 涙で潤んだ目を上げ、中嶋を見つめる啓太の目じりに、労わりに似たキスが落とされる。
「良いか?」
 何時もなら、絶対にそんなことは聞かない中嶋の、不思議な言葉を聞いて、啓太はいぶかしく思いながらも頷く。
 しかし、その言葉の意味を、直ぐに知った。
「い、痛いっ」
 押し入った熱い塊は、痛みをはらんで啓太の内側を犯していく。
 質量が、後ろで感じるのとは違う感覚。
 慣れてしまった肛門性交とは違う――痛み。
「ぁっ、や、やだぁ」
 良いと言った割りには痛みに弱く、啓太は必死で抵抗するが、許されることはない。
 だが、変化は直ぐに訪れた。
 内に収まり動きを止めた中嶋が、丹念な愛撫を啓太の全身に施す。
 痛みの薄れた中で、女性の体というのは驚くべきもので、それを和らげる術を多く持っている。
 まさしく、受け皿であるのだ。
 痛みよりも快楽に鳴き始めた啓太の変化を見て、中嶋がゆっくりと動きを開始する。
 悲痛な呻きと悲鳴から、甘い吐息に変わった啓太の声。
 喘ぎを殺そうと堪える姿さえ、中嶋をそそってやまない。
「煽ってるのか? いやらしい奴だ」
 笑みを含んだ声で言われ、啓太は必死で首を振るが、感じていることに変わりはなく、答えようと解かれた口からは吐息交じりの嬌声が上がるばかり。
 一段細くなった腕が、助けを求めるように中嶋に伸ばされ、それを取って己の首にまきつけた中嶋は、角度を変えて深く啓太の内をえぐる。
 耳元でひっきりなしに上がる、可愛くも色香を持った声に煽られるだけ煽られて、高まった性感そのままに数度激しく打ち付けると、中嶋は熱い熱を、啓太の中へと放っていた。

「やっぱりぃ……」
 啓太は泣きそうになっていた。
「な、なんで避妊してくれないんですかぁ……」
 何故か腰があるだけだるくて力が入らないので、ベッドに横になったままで啓太は中嶋をなじる。
 と言っても、部屋には行為独特の臭いと、行為後の甘ったるい空気が流れているので、甘えているようにしか見えない。
「悪かった……」
 中嶋も空気に感化されているようで、啓太を抱き起こしながらその背後を支え、後ろから頬やうなじにキスをするなど、もう勝手にやってろ馬鹿ップル状態だった。
「あ、赤ちゃん出来たら……俺……」
 ついには泣き出してしまった啓太の、その涙さえ吸い取りながら。
「結婚してやるよ。勿論、子供も認知する。心配するな」
 との返事。
「え?」
 驚き過ぎて涙の止まった啓太は、まじまじと中嶋を見て、不思議そうに首を捻る。
「でも俺、ペット……」
「……何を言ってる?」
「え、あの……」
 なんだか、男だった時分とは態度の違う中嶋を、あくまで不思議なものを見るように見た啓太は、中嶋の手が両の胸を掴んでいるのに気付いた。
「ちょっと、中嶋さん!」
「下着のサイズを測っているんだ。静かにしていろ」
「サイズって……」
「70のAか?」
「え?」
「必要だろう? ブラジャー」
「………………」
 真っ赤になった啓太は、思い切り中嶋を突き飛ばし、ベッドを降りようとしたところで、全身に力が入らない為に床に激突。
 笑いながら啓太を抱き上げた中嶋は、再び啓太をベッドに押し倒し。
「もう、駄目です!」
「下着と制服が届くまでだ」
 言いながら、簡単に啓太の肉体を陥落させてしまった。
 細い体をゆすりあげる最中にどこかに電話をした中嶋は、数分後に俊介が荷物を届けにくるまで啓太を鳴かせ、下着をつけさせた後でまた一戦。
 ついに気を失うまで責められてしまった啓太が最後に言ったことと言えば。
「絶対に俺、妊娠する……」
 だったという。
 そしてそれに対して中嶋は楽しげに笑い。
「早く出来ると良いな」
 と呟いた。
 勿論、この最後の中嶋の一言は、啓太は聞けなかったのだが……。

2006/07/18
女体化10のお題

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