狼帝は一度達した後も続けて二度目を目指す。 ああっ、俺の方がまだイってないなんて初めてだ。こんなに激しく突かれて も、一度も前に触れられてなかったのであと一歩の刺激が足りなかった。 早く、前も触って。扱いて。抜いて。お願い。 部屋中にパンパンと肉が叩きつけられる音と、クチャクチャと湿った音とが 充満する。さっきからどれだけこの状態が続いているのだろうか。 もう俺には何も考えられない。 ただ上り詰めることだけを願っていた。 そうして一度目よりは長い時間を掛けて狼帝は二度目に達した。 俺の分身の小さな口からは白いものが少し混じって雫を作っていた。 中だけ刺激を受け続けて押し出されてきたのだ。でもそれじゃあ脳天を突き 抜けるあの気持ちの良さは体感できない。 「狼帝‥前も触って‥」 狼帝は俺の中から萎んでしまったものを抜き出すと、きれいにしてそれを しまう。 「酷い。一人だけ‥」 これじゃ俺だけがセックスしたいって言ってるみたいじゃないか。虎王先輩 とはやり方が違うけど、こうやって虐めるところはやっぱり兄弟だから なのか。 先輩は言ったことはしてくれる。でもきっと「お前の言うとおりにして やるから、その代わり俺がいいって言うまでイくなよ」って言ってるだろう けど。 「ねえ狼帝‥お願いったら‥」 俺は腰を浮かせて狼帝の目の前に突き付ける。何とかして刺激が欲しくて お尻の筋肉が小刻みに伸縮を続ける。 「イきたいか?」 決まってるじゃないか。こんなにしといて。 「俺一人の手じゃ足りないってことなのか?」 「前も‥、前も触ってくれればいい」 「冬哉はやっぱり4人掛かりでされるのが一番感じるのか」 今の俺には何かと比較してそれの感想を言えるほど余裕はなかった。 「ううん、ちゃんとイかせてくれれば‥いいから」 そう訴えると狼帝はちょっと顎を引いた。そして俺の後ろに指を また入れる。 「あ‥ああ‥。一緒に‥前も、そっそこだけ‥なんて、もう‥いや」 また後ろだけの刺激で、白い色の付いた液がどろりと出てくる。もう身体は イきっぱなしになっているのに。ドクンと発射しないとどうしても満足感が 得られない。 「後ろだけでもイってるじゃないか」 「ちっ‥違う‥。は‥んんっ、お願い‥だから‥イかせて」 狼帝は指の抜き差しは続けるけど、まだ前には触れてくれない。 俺の先端の小さな口は白濁した液を涎みたいに垂らし続ける。 ああっ、こんな狂いたくなるほどの感覚はもうイヤだ。そう思っているのに 身体は狼帝の指を悦んで貪っている。腰を振り続けながら何度も懇願する。 そう言えば狼帝には違うお願いしかしたことがなかった。 「もうイけない、頼むから止めて」と言うお願いしか。 2人の時にこんなにイかせてくれと言ったのは初めてのような気がする。 何度目かのお願いのあと、ようやく狼帝は前に手を伸ばした。そして根元の 方を掴んだ。 あああっ、もうそれだけで俺は達しそうになる。 なのに狼帝は根元をそのまま掴んで止めた。 「やっ、狼帝‥イけ‥ない」 「冬哉、正直に答えたらいくらでもイかせてやる」 「あんっ、もう‥今、イ‥きたい」 「答えないならこのままだ」 「わっ‥分か‥った」 俺は腰を振り続け、狼帝は中の指を動かし続ける。二人ともが昇り詰める 動作を止めていないのに、根元だけが堰き止められている。 苦しい。イきたい。早く吐き出したい。 「俺一人が相手でも気持ちいいのか」 「うっ‥うん‥。気持ち‥いい」 「じゃあ、虎王と俺とどっちがいいんだ」 「どっ‥どっちって‥。なっ何が‥?」 狼帝はちょっと考える。 「俺のことをどう思ってるんだ」 「ろっ狼帝は‥友達‥。一番の‥親‥友」 「虎王は?」 「先‥輩は‥、先輩‥だよ」 「違う、どう思ってるかだ」 俺もちょっと考える。でもどうって言われても酷く困る。 「先輩は‥憧れ‥てる‥」 「あんな奴だって分かってもか?」 「‥うん」 「虎王の恋人になりたいか」 「わっ分かん‥ない」 どうしてこんな状態でこんな質問をされるんだろう。別に普段出来る 会話じゃないか。身体の辛さに涙が滲んでくる。 「冬哉‥‥、俺はお前を虐めてるつもりはないんだ。こんな時にしか言え ないから‥。虎王とキスしたいと思うか?」 せっ先輩とキス? びっくりすることを言われて頭が真っ白になる。 キスって言ったら口と口がくっついて、そんでそんで‥恋人みたいに 想い合って? それを先輩と? 思考はそこまでで中断された。だってこの苦しさから早く脱出したかった から。 「ううん」 先輩だってしてくれたことはないのに。俺の方からそんなことを 思ったことはない。 狼帝はそれを聞いて複雑な顔をする。 「虎王としたくないってのはいいが、虎王ともしたくなかったら、 俺ともしたくないか?」 まっ待って‥。ろっ狼帝とキス? 「とっ友達‥だろ?」 「友達は普通こんなことはしない」 狼帝は中の指を強く押し上げた。 「くっ‥ん‥」 滲むような刺激が全身に広がる。 「冬哉、俺は‥‥お前にキスがしたい。いいか?」 「しっ‥したら‥、イかせて‥くれ‥るの?」 「ああ」 「じゃあ‥して」 狼帝は俺の根元はまだ押さえたままで、肩を掴んで引っ張り上げた。 ベッドの上で座り込む形になって、ベッドの下にいた狼帝は膝立ちになる。 肩からすっかり滑り落ちてるブレザーとシャツを肘から先にぶら下げて、 下半身は丸出し、前はパンパンに張りつめて漲り、手は後ろ手に縛られて、 俺は一人で非常に淫らな格好をしている。 前にいる狼帝はきっちりとネクタイを締め、ブレザーのボタンは全て 嵌っており、一糸乱れることのない完璧な生徒会長である。 その品行方正かつ成績優秀な会長は、淫乱としか言えない俺の根元を 意地悪く堰き止めたまま唇を寄せてきた。 「冬哉‥」 初めに感じた熱い息がかかる。 そして狼帝と初めて唇を合わせた。 「ぅ‥うん‥」 狼帝は片手で俺の頭を強く押し付ける。圧迫されて半開きになった所から 舌が侵入する。俺の舌にそれは絡んできた。 狼帝の舌は芯があって固いのにときおり力が抜けて信じられないほど柔ら かくなる。これがいつも俺のペニスを舐めているのだ。こんなに気持ちのいい ものがあんな敏感なところを嬲りに来たらひとたまりもないだろう。 まだまともに前に触られてなかったので、それを想像したら堪らなく なった。口は狼帝に押しつけられていたが、腰は自分から掴んでいる手に 押し付けてしまう。 長い間俺の舌と遊んでいた狼帝は、堰き止めていた手を離し移動させた。 両手でしっかりと抱き締められてもっと深く口付ける。素肌に、乳首に、 ペニスに、ブレザーの生地が擦れる。 ぞくり‥とした。 その瞬間、俺のモノは堰止められて溜まっていたものを吹き上げた。 「うっ‥んんっ」 狼帝の制服を汚してもまだキスは終わらない。体が痙攣を続け、息苦しく なってくる。押し返したくても押し返す腕がない。 「うーっ‥ううっ」 苦しくなって呻き声がくぐもる。 俺の変化に気が付いてやっと狼帝は離れてくれた。はあっ、新鮮な空気が 美味い。 「‥キスも感じたか?」 「うっうん」 「またしてもいいか?」 「‥ん」 「冬哉、お前も初めてか?」 「‥うん‥ん?」 「違うのか」 やっとイけた脱力感で思考能力が低下していたが、キスは初めてじゃない 気がする。 俺を見る狼帝をちょっとだけ待たせて考えた。 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥。 そっそうだ! そうだった。5月頃にクラスの奴にされたんだった。でも でもこれを狼帝に言っちゃいけないんだった。虎王先輩が言っていた。 狼帝に言ったらそいつは退学って。 「ちっ違わないよ。これが初めて」 ちょっと嘘だけどあれは無理矢理されたんだし、事故みたいなもんだから いいよね。 それを聞いた狼帝は硬い顔を少し崩し、微笑した。 あっ、狼帝可愛い。 先輩はそんなこと話さないだろうし、あいつにはしっかり口止めして おこう。 「でもどうして突然キスなんてしたくなったの」 「今日がなんの日か知ってるか」 んんっ? 今日って。 「えっと、11月2日だよね。‥あっ、狼帝の誕生日!」 「だからプレゼントが欲しかった」 ほんとに俺とのキスがプレゼントになんかなるのかな。狼帝は女の子と キスしたくないのかな。 「ごめん、すっかり忘れてた。なんにもプレゼント用意してないや」 「だから言ったろ。お前のファーストキスを貰ったから、充分なプレゼント だよ」 嘘がちくりと胸を刺したけど、狼帝が喜んでるからいいか。なんで俺 なんかとのキスで喜んでるのか分かんないけど。狼帝とは親友なのに。 結局狼帝が今日に限って男の匂いを振りまいていた理由は分からなかった。 このキスとなんか関係があるのだろうか。 「約束だ。思いっきりイかせてやるからな」 狼帝はそう言うと俺のペニスを口に含んだ。そのまままた倒されて後ろにも 指が入る。 まったくいつもと同じに快感が走り、こんなにこれが満足するものだったと 言うことを、あらためて知った俺だった。 そしていつもと同じことを願う羽目になったのだ。 「狼帝‥。もうダ‥メ‥。もう‥イけ‥ない、から止‥めて」 最後に。次の日の数学のテストはしっかり赤点だった。反省して、テスト 期間中のエッチは禁止した俺たちだった。 あっ、もちろん狼帝は首席をキープしていたよ。 さっすが、俺の自慢の親友だね! 終わり
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