愚かなる狂宴 エピローグ
「兄さん!!」
廊下の角でぼうっとしているエドを見つけて、アルは慌てて駆け寄ってきた。
「アル…」
「大丈夫!?大総統にまた何か…」
「大丈夫だよ…何も…」
そう答えながらエドは「はっ」とした。
アル…?
「…大体のことは…想像ついたから…」
あの地下室に駆け込んできた時…エドは半裸状態で、体中に凌辱の後が残されていた。
そんな状態を見て、察しない方がおかしい。
「…そう気づいておきながら、何だってあんなやつに挨拶するんだよ…」
少し捻くれた様にアルに問いただす。
アルは困ったような顔をして、静かに答えた。
「電話をくれたのは、きっとあの人だと思ったから…」
匿名の電話で「地下室に行け」といわれ、アルは兄の窮地を知ったのだ。
「馬鹿だな!あいつの訳ないだろ!?大総統はそんな奴じゃ…」
「でも、電話の声は、大総統にそっくりだったよ…」
そんな…はず、あるわけない!
でも、本当だったら、何でそんな事を…
風が…二人の間を駆け抜ける……
まぁ、いいさ…いつかあいつに聞いてやる…
ベッドの上で、寝物語にでも…
愚かなる狂宴はまだ終わってはいない。
始まったばかりなのだから。
END