レッスン3   エピローグ 









      お互いの気持ちが一つになってから3ヶ月…





      エドはやはりふらっと戻ってきては私を激しく求め、そしてまた旅へと出て行ってしまう。







      だが、エドの真の想いを知ってからは、以前の様にさほど不安はなくなった。

      

      時折何も考えず、欲望のままに求めてくるが、若さ故の暴走と捉えればなんて事はない。









      私が大きく受け止めてあげればすむ事だ。







      それなりの年齢と経験を重ねてきたのだから…







      「よう!久しぶり!3ヶ月ぶりだ!」

      「ヒューズ…相変わらずだな。」



      ヒューズは繁々と私を見る。なんだ?気色悪いぞ??





      「…この前会った時より、更に穏やかな表情になったな、ロイ…」

      にっこり笑って私の肩をポンと叩く。

      そうか、やっぱりお前には分かるか…







      私の心は今、とても落ち着いている…







      「それより、ロイ、お前なんで中央(セントラル)に??」

      「ン…上層部に呼び出しを食らった。いつものお小言さ。」





      最近の暴動やら何やら、ちゃんと対処せよとか私の職務怠慢だとか、色々難癖をつけては呼び出す。

      私はかなり目立っているらしいからな。あちこちで私を良く思わない上層部がいるそうだ。







      今までは中央に来る度に、どこから聞きつけたのか大総統から必ず呼び出されていた…







      だがあの時以来、何度か中央に来るが、一度も声をかけられる事はなかった。







 

      本当に身を引いたのか…?

      私とエドの為に…?





      「そうそう!お前、運がいいな!」

      「何がだ?」

      「今、鋼も中央に立ち寄っているんだぞ!」





      エドが!?



      

      ここに来るとは聞いてなかったが…?





      「〇〇ホテルに泊まっているぞ。早く行ってやれ。」

      「そうか、分かった。ありがとう。また後で飲みにでも行こう。」

      「ま、頑張れよ!程ほどにな。」



      にやりと笑いながら右手を上げて立ち去っていく。





      私はそんなヒューズを見送りながら、そのホテルへと足を向けた。













      ホテルのフロントに聞くと、最上階に泊まっていると言う。



      最上階?随分いい部屋に泊まっているな…







      なんだかんだいって、エドは大総統のお気に入りだから、割とこういう優遇はされる。

      私的にはあまり大総統と関わって欲しくないのだが…





      あの方の闇を知らないエドは、無邪気に慕っている…







      「あれ?大佐!!こっちに来てたの!?」

      ドアを開けて、私の顔を見るなり驚きの表情を見せ、そして満面の笑みで迎えてくれた。





      エドを抱きしめ、恋人同士のキスを交わす。

 





      「お昼は食べた?今、ここに運ばせるよ!」

      久しぶりに再会した喜びを全身で表し、そのひと時を一緒に分かち合おうとする。





      「アルはどうした?一緒じゃないのか?」

      「うん、ちょっと用があって中央司令部に行ってる。夕方まで帰ってこないよ。」





      「だから少し時間はあるって事!いいよね?」





      にっこり笑って私の顔を覗き込む。

      私は少し照れながら、エドの提案に勿論頷いた。







      暫くして食事が運び込まれ、私達はささやかに再会を祝った。







      赤ワインを口にする。ん…中々いいワインだ。







   



      「あのさ…大佐…俺、誤解のない様に言っておくけど…」

      「ん?何だ?」

      「俺、大佐の事、本当に愛してるよ。」

      「…なんだ、急に…」

      「心から愛してる。それだけは信じて…」

      「…?エド…?」









      体が熱い…?この感覚…覚えがある…







      エド…?





 





      「駄目じゃないか…マスタングは飲み物に混ぜたぐらいでは効果はないぞと教えたであろう?…」









      部屋の奥から、絶対会いたくない人物が姿を現した。



      大総統…キング・ブラッドレイが…







      「エド…お前…?」

      体が熱い…意識がもうろうとなっていく…これは…

 

      「ゴメン…俺、本当に大佐の事愛している。大佐との気持ちは大切にしたい。」













      「でもそれ以上に、あの時の快感が忘れられないんだ。」





      にっこり笑って、エドのすぐ傍まで近づいた大総統に振り返り、その手を握る。

      大総統はエドに優しくキスをして、私を見て笑った。





      限りなく黒い微笑で…







      この男は…知っていたんだ…

      エドが必ず自分の元に戻ってくる事を…





      だからあんなにもあっさり引き下がったのだ…







      ブラッドレイに教えを請う…その時点でエドが同じ闇に染まっていく事を確信していたのだ…



      以前の様に、何も知らないで大総統に教えを請うたのではない…

      何もかも熟知した上で、あの男と手を組んだのだ。









      「大佐!この前、俺の為ならどんな事でも耐えられるって言ったよね!」

      そう言いながら、エドは上着を脱ぎ、私の元へと近づき、唇を奪う。



      軍服のボタンを外し、するりと服の中に手を入れた。





      私の意識は段々と薄れていく。

      理性は失われ、本能だけで行動するようになるだろう。





      その前に、エドに言っておきたい…









      「お前が望むなら…そうするといい。」

      「私がお前を愛している事に変わりはない…」







      エドは満足そうに笑い、大総統の方を向いた。



      「ねぇ!大総統!大佐をベッドに運んでくれない?俺じゃ重くて無理だよ。」





      軍関係者が聞いたら卒倒してしまいそうな発言に、大総統は苦笑する。

      ゆっくりと私に近づき、ひょいと抱きかかえる。





      「さぁ、君のお姫様をベッドへ連れて行こうかね。」



      そして薄れゆく意識の中で、大総統は私にこう囁いた……













      「ククク…君たちは私の最高の玩具だと言ったであろう…?」

















       Lesson is over?











             No…









       Endless………













「レッスン」シリーズ、これで完結です!

純粋だったエドが、最後にはすっかり黒く染まってしまいましたね!
白は何色にも染まりますから、扱いには充分気をつけないといけないんです!(笑)

ロイの最初の失言のせいで、結局は自分に跳ね返ってしまいましたね〜〜!

何はともあれ、最後までお付き合い頂き、ありがとうございました!


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