甘い…悲鳴にも似た声が部屋中をこだまする… 潤んだ瞳には『何故』という言葉が見え隠れしている… 引き裂かれた衣服…赤く腫れた頬… 拘束された両手… すべてを押し込み一つになった時…放たれた言葉が耳に焼き付いて離れない… 『嫌だ!マー……………』 「マース…マース…?大丈夫…?」 肩を揺らされ、眼を覚ます。 ここは…俺の部屋だ… 夢を見ていたのか…? 隣で心配そうに俺の顔を覗き込む女性…婚約者のグレイシア… 「…大丈夫だ…悪い夢を見ていたらしい…」 「かなりうなされてたわ…お水でも持ってきましょうか…?」 心配そうに見つめる彼女にキスをして、そっと抱き寄せる。 そのままそっと横にして、首筋に唇を落とした。 少し驚いたような顔をしたが、すぐに俺の首に手を回し、その行為を受け入れる。 夢の中のあいつの顔を忘れる為に…俺は彼女を抱く… あぁ…この世に神が存在するならば… どうかあの時の記憶を無くして下さい… 俺は罪を犯しました… 一生拭えない大罪を… イシュバール殲滅作戦… 後方支援をしていた俺のところにも、その凄まじさは伝わってくる。 最前戦に繰り出されたあいつが心配だが… 「ヒューズ少佐、第一部隊の弾薬支援の件ですが…」 「あぁ、そこに置いておいてくれ。イシュバール戦線の状況はどうなってる?」 「国家錬金術師の投入で状況は一転、我らの勝利に向かっているようですよ。」 そうか…なら良かった…もうすぐ戦争も終わるな… ふっと笑いながら、資料をまとめ、差し出された新たな資料に眼を通す。 ?ドクターマルコーが行方不明…? 結晶の錬金術師だ…賢者の石の研究をしていた… 賢者の石は未だ未完成品だと聞いていたが、イシュバール戦の状況悪化に業を煮やした大総統が 石を使っての殲滅作戦にGOサインを出した。 その威力は凄まじく、たちまち戦況は一転し、今、戦争は終結を迎えようとしている。 多大なる犠牲を払い、我らの勝利で終わろうとしている… 「ロイは…大丈夫かな…」 あれで結構繊細なところがある。戦争とはいえ人を死に至らしめたことで精神を病んでなければいいが… それから数日後、イシュバールは陥落。戦争は終結した。 俺はすぐにロイと連絡を取ろうとグラン大佐にかけあったが、「今は後始末が忙しい」と取り合ってくれなかった。 マルコーが行方不明という情報が入ってから、ロイとの連絡は一切取れなくなっている。 何か…あったんだろうか… 心配で気をもんでいると、必ずあの日のことが夢に出てくる… その度に…チクリと心が痛んでいく… 消せない痛み…焼き付けられたあの時の顔と声… そう…俺は…たった一人の心を許した親友を… 欲望のままに汚してしまった… 嫌だと泣き叫ぶあいつの両手を拘束し、服を切り裂き、欲の塊を押し込んだ。 最後まで…全身で俺を拒否したロイ… どうしてあの時俺は…あいつを抱いてしまったのだろう… 後悔するのは分かりきっていた事なのに… 日差しが気持ちいい午後…俺はあの日のことを思い出していた。 決して忘れられない…士官学校時代のあの日… 国家資格を取り、喜び勇んで俺の部屋に尋ねてきたあの日の夜の事… To be continues.
今回はヒューロイ!!「偽りの中で〜」等に関連してます!!
唯一心を許していたヒューズ…
だが、心を開くまでには色々と…
イシュバール戦終了後のロイとヒューズのアニメでのシーンに触発されました!
暫くのお付き合い、お願い致します…
ヒューズ…めっちゃ暗いかも…(泣)