中央に召還されてから一ヶ月… 久々の休みが取れたので私は親友に会いにあの丘に行った。 花でも買っていこうかと思ったんだが…何を買っていいのか分からなかったから止めた。 男に花を買っても仕方がないからな。女性なら得意なんだが… 丘を登りきったところに、一人の女性が立っていた。 「グレイシア…?」 「マスタングさん…わざわざ来てくださったの?」 墓石には彼女が持ってきた花が飾られている。 よかった。買ってこなくて正解だった。 俺よりも最愛の奥さんが持ってきた花の方がいいだろう? 「マスタングさん…私、あなたに言っておきたかった事があるの…」 「はい?何か…」 グレイシアは墓石の前にしゃがみこみ、マースと刻まれたその名前をそっと手で撫でた。 「あの人の死に顔…病院に運ばれた時に見たんです。」 「とても安らかな顔で…幸せそうでした。」 銃で撃たれて殺されたはずなのに…どうして…? 「手元に…家族の写真が落ちていたそうです。」 「そうですか。きっとあなたとエリシアの写真を最後に見れたからなんでしょうね…」 グレイシアは墓石を見つめたままだ。私の方を見ようとはしない。 何か…思いつめたような… 「私を最後に見たのなら、あんな幸せそうな顔はしないわ…」 「…?グレイシア…?」 「きっと、死ぬ間際にあなたを見たのね、あの人は…」 にっこり笑って振り向く彼女に、私はただ言葉を失っていた。 何故…?そんな事を… 「わ、私はヒューズを殺しては…」 「わかってますわ。あなたがそんな事をするはずないじゃないですか。」 「でも、何故だか…そう思うんです。でなければあんな安らかな顔で死んでいくはず無いもの。」 どうして…そんな事を考えるんだ…?ヒューズは君を愛してたじゃないか… 「私ね…一度だけあの人に殴られた事があるの。」 「あいつが君を!?まさか!」 「原因はあなたよ、マスタングさん。」 私が?信じられない。あれだけ惚気話を聞かされた君を…殴るなんて… 「あなたの悪い噂が私の耳にも入ってきてね。娘に影響があるからもう呼ばないでって言ったの。」 そうしたら、烈火のごとく怒ったわ。私を殴り、「二度とそんな事を言うな」って。 「あなたはそんな人じゃない。来るのが嫌だったら私と娘が家を出て行け、って。」 信じられなかった。あれだけ溺愛していた娘にまで出て行けだなんて… 「それだけあなたが大切で、心から信じているんだって思い知らされたの。」 「グレイシア…」 「マスタングさん…私が何も知らないと思ってた?」 じっと見つめる彼女の眼が、私の中を貫いていく。 グレイシア…君は私とヒューズの事を… 「マースは…私より、エリシアより、誰よりあなたを愛していたわ…」 「あなたの為に生き、あなたの為に愛し、そしてあなたの為に死んでいったの。」 グレイシアは肩にかけていたバックから何かを取り出し、呆然と立っている私の手を取りそれを置いた。。 「これは…」 「あの人が最後に持っていたもの。やっと返してもらったの。」 ヒューズのタガー。うっすらと血が染み込んでいる。 「あなたにあげる。あなたの為に戦った物など持っていたくないの…」 「グレイシア、私は…」 「私は許さない。私達を裏切リ続けたあの人を。」 タガーに乗せた手が震えている。どう声をかけていいのか… 「あの人の罪は、あなたが背負うべきです。マスタングさん。」 「…私が…」 「生きてください。どんな事があっても生き抜いてください。」 「この先何があっても決して死を選ばないように。そして、あの人と誓った物を必ず手に入れて下さい。」 「でなければ私、マースとあなたを一生許さない。」 涙を流しながら…彼女は優しく微笑んだ。その顔はとても綺麗で… 初めてあいつを羨ましいと思った程だ。 「必ず…手に入れます…マースの為にも…あなたの為にも…」 そう…後戻りは出来ないんだ。 閣下の闇に深く入り込んだ私は、それに打ち勝つ以外に道は無い。 もう少しいると告げた彼女を残し、私は丘を後にした。 「大佐っ!!」 「エド…旅に出たんじゃなかったのか?」 丘を降りたそこに、愛しい人が手を振っていた。 「これから出るつもり。その前に顔見たかったから。ホークアイ中尉に聞いたらたぶんここだって…」 この丘の意味を…お前は知っているんだろうか… 「あれ?これ、中佐のタガーじゃん?中佐と会ってたの?」 「まあな…」 「ふ〜ん…」 たちまち不機嫌になるエド…分かりやすいな、お前は。 「何だ。焼きもちか?」 「違うよっ!俺も久々に中佐に会いたかったのにさ。」 私はエドの頭をポンと叩き、私の傍へと抱き寄せた。 「今度会わせてやるよ。今はグレイシアと話しているから二人だけにしてあげよう。」 「ウン…じゃ、また今度な。」 暫くの沈黙が続く。エドも戸惑っているようだ。 私の雰囲気がそうさせているんだろう。 「エド…出発を明日に延ばせ。」 「え?何で?」 「最後まで言わせるな。」 きょとんとしているエドに、私は身を屈めて口付けをした。 触れるようなキスから、次第に深い口付けへ… 今夜は…誰かに傍にいて欲しい… 闇ではなく光を与えて欲しい… 生きている証よりも…その愛情を私に与えてくれ…エド… 周りを気にせず抱きしめた。エドはいきなりの私の行動に驚いている。 「大佐??どうしたの??今日はおかしいよ?」 「別に。愛しい人を抱きしめて何が悪い。」 愛しい人と呼ばれてエドも嬉しかったのか…私を強く抱き返す。 「こんな姿を見せると、今夜は寝かさねーぞ??」 笑いながら私の頬にそっと触れ、額にそっと唇を落とす。 柔らかく微笑むその笑顔が嬉しくて…眩しくて… 私の闇が消えていく… 笑ってくれ…エド… その微笑を私の為だけに見せてくれ… そうすれば私は…闇に打ち勝つ事が出来るだろう… 親友と誓ったものを必ず手に入れるために… 愛しい君を守る為に… END
もう、後半はボロボロで…何が何だか分からなくなっていました。
設定も、構成も、ヒューズの心の葛藤も…
何もかも中途半端のような気がします。(号泣)
出来る事なら最初から書き直したい…でもそんな気力ない。
それでも最後までお付き合い下さった方に感謝です…(感涙)
本当に訳わからん内容で申し訳ないです…