駆引き   3








        全身を舌で弄ばれ、ロイは否応無しに身体の芯が熱くなっていく。







        心と身体は別の物と言い放ったが、ブラッドレイが巧みなのか、

        空っぽのはずの身体はブラッドレイの愛撫の一つ一つに過敏に反応していく。





        「空っぽなはずなのに、随分とよがるのだな…」

        「演技だと言うのが分かりませんか…?」





        演技なわけがない。ブラッドレイはロイが一番感じる所を知り尽くしている。

        確実にそのポイントを攻め、快楽を引き出させる。







        ロイを娼婦へと叩き落すのだ…







        ロイもよく分かっている。許されるのならこの手で殴りつけてでも

                この場から立ち去りたい。





        同じ抱かれるなら、最愛の人の腕の中の方がどれ程心やすまるか…



        それが出来ないならせめて感じてない様に見せかける。

        だがそれは果てしなく無駄な事…







        ブラッドレイがロイの身体を撫で回すだけで身体中に電気が走るかのように

                快楽が身体に浸透していく。







        いつもいい様に喘がされ、よがり狂わされ、最後には泣きながら懇願する。









        『もっと…』と…







        そして今夜も…ロイの身体は乱れていく。





        「んっはあぁぁぁ…」

        ロイ自身にまで舌を這わされ、堪らず堪えていた喘ぎ声をあげてしまう。

        背中を反らし、シーツを握り締め迫り来るオーガズムに唇を噛み締める。





        あと一息で頂点に達する、というところでブラッドレイはロイへの愛撫をぴたっと止めてしまった。







        「はぁ、あああ…」

        もどかしい感覚がロイの全身を駆け巡る。

        意思とは別に腕がブラッドレイを掴み、愛撫の再開をねだる。







        「ふふっ…私では満足できぬのであろう…?だったら偽りでイク事もあるまい。」



        そう言い放つとサーベルで切り刻んだ服の切れ端を取り出し、更なる刺激を求めて

                脈打っている陰茎の根元をぎゅっと縛りつけた。







        「あぁああああ!」

        絶頂を迎えて、欲望を解き放ちたいのにそれが許されない状況…

        掴んでいた指に更に力が入り、ブラッドレイの腕に赤い痣をつけた。





        「ククッ、その顔だ。苦痛に歪むその表情…綺麗だよ、マスタング…」



        両足を抱え、慣らす必要もないくらい濡れている秘所に猛り狂った欲望を突き入れる。







        「うっああああ!!」

        ビクビクと身体を震わせ、その肉棒を受け入れた。

        ロイ自身は更に脈打ち、先端からは先走りがひっきりなしに流れでる。



        繋がった余韻すら味あわずブラッドレイはすぐに激しく出し入れを繰り返した。





        ロイの奥深くまで突き上げるとたちまち淫猥に乱れ飛ぶ。

        イク事の出来ないもどかしさがそれを更に助長させていた。



        感じたくないのに…悦んでいる姿なんて見せたくないのに…







        ロイの身体の中に巣食う闇が快楽と欲望を求め、心とは別にこの悪魔にしがみ付き懇願する。





        エドでは味わえない闇の快楽を求めて…





        先程とはうって変わって自分を拒まず求めてくるロイに、ブラッドレイは黒い笑みを浮かべ

                その求めに応じていく。

        クチュクチュと音を立てて肉壁を擦れば、恍惚とした表情で自ら腰を振ってくる。





        そうだ…マスタングよ…お前は私の物だ…

        最後にはお前は私の闇へと染まるのだよ…







        そして共に地獄へと落ちよう…







        ブラッドレイはロイの髪を撫でながらまだ流血しているロイの口にキスを落とす。

        赤い舌を絡ませ、その血を共有する。



        「マスタング…お前は私の物だ…私なしでは生きられないのだよ…」

        「お前に必要なものはすべて与えよう。私の元へと来るのだ…」





        闇の世界へ…







        ロイはブラッドレイの首に廻していた腕をするりと外し、赤く染まったブラッドレイの唇をそっと撫で、

        自分の血を舐め取った。





        そして…今まで見せた事のない様な穏やかな笑顔で微笑んだ。









        「でも…あなたは私にこの笑顔を与える事は出来ません…」

        「私が笑いかけるのはエドワードただ一人。私は彼の物です…閣下…」







        そして彼と共に生きます。





        あなたをその地位から引き摺り下ろす為に…





        ブラッドレイは何だか分からない衝動に駆られロイの中を激しく犯す。

        焦りにも似た感情がロイの腰を掴み壊してしまうのではないかと思う程強く、強く突き上げる。



        ロイは根元の拘束によりイク事が出来ず、ただ苦痛に満ちた喘ぎ声をあげるだけ…







        ブラッドレイはロイの戒めを解く事はなく、自分だけが満足しそしてロイの中へと大量の欲望を注ぎ込んだ。





        





        すべての行為が終わっても、ロイは開放を許される事はなかった…







       

        無言で出て行こうとするブラッドレイにロイは今すぐその場で

               「囚人焼死事件」の捜査打ち切りを指示するよう要求した。



        ブラッドレイは一瞬眉をひそめるが、静かに微笑み電話を取る。

        その場で諜報部に電話し「捜査打ち切り」を命令した。





        「これで満足か…」

        「えぇ…やっと満足できました。」



        荒い息をしながら安堵の表情を見せるロイに、ブラッドレイは苦笑する。



        そしてロイの髪を掴むとその唇を強引に塞いだ。

        甘い痺れるような恋人同士のキスとは程遠い、支配する者とされる者のその立場を確かめる様なキス…





        唇を離しながらロイ自身に手を添えると、ロイはビクンと身体を震わせる。

        ロイを苦しめている戒めを解くかと思ったら、つつっと軽く指で撫で、

                先端から未だ流れ出ている透明な液体を絡め取る。



        その指をロイの頬に擦り付け、悪魔の微笑でロイを見下ろした。





        「家に着くまで戒めを解く事は許さん。その姿で帰るといい。」

        「あぁ、そうか…お前の服は切り刻んでしまっていたな。裸で帰るか?」



        クククと蔑むように笑い自分のコートを放り投げる。





        それを着て帰れと言うのか…?

        あなたの匂いが染み付いたこのコートを…









        「最大の屈辱ですね。」

        ポツリと呟いたロイの言葉に、ブラッドレイが高らかに笑った。

        

        それは…普段は決して聞く事はないだろう、心から愉しんでいる笑い声。





        「もう用はない。下がれ。」

        そう言い放つと、ブラッドレイは窓際に座り夜景を堪能し始めた。









        ロイはコートの袖に手をかけると、窓から眼をそらさないブラッドレイに敬礼をかざしその部屋を後にした。





        足首まであるロングコートがロイの身体をすっぽりと包み込む。



        その下が見えないように襟を立て腕を組むように歩くと、先程まで感じていた香りが頭を刺激する。







        その度に身体の中心から疼きと共に熱がこみ上げてきた。





        何てこった…服に染み付いた匂いだけで私は感じてしまっているのか…

        そこまで…染まってしまっているのか…





        戒めが更にロイの体を蝕み、足取りも思わしくない。



        ゆっくりと…身体をいたわる様にそっと歩き、それでも時々息をつき壁に寄りかかった。









         

        「大佐…」



        不意に声をかけられロイが顔を上げると、そこに最愛の少年が壁にもたれて立っていた。

        ロイの姿に心配そうに駆け寄り、その身体を支えようと手を伸ばす。





        「エド…待ってたのか…」

        「ン…だって俺まだあんたから詳しい話聞いてない…」





        不安そうな顔で自分を見る少年をロイは優しく抱き寄せた。



        「そうだな。私の家でゆっくり話そうか…」

        「そのコート…大佐のじゃない…もしかしてあの人の…?」





        私の服は切り刻まれてしまってね…この下は何も着てないんだよ。





        そう微笑みながらそっと囁くとエドはコートの端をつまんで顔を近づけた。









        「ホントだ…あの人の匂いがする。」

        「エド…?」

        「ううん、何でもない。…げ!マジ?!本当に何も着てないじゃん!」





        準備万端だ!

        おいおい…少し休ませてはくれないのか…?





        エドはコートの上からロイを抱きしめ、そのコートに顔を埋めた。









        「俺が消し去ってあげるから…あの人の痕跡を俺が消し去ってあげるから…」





        だから抱かせて…あの人の匂いをつけたままでいないで…



        







        ロイは一目も憚らずエドを抱きしめ口付けを交わす。





        まだ少し残っていた血がエドの舌に絡まり、エドが少し驚いてロイの眼を見つめた。



        「鉄の味がする…ううん…大佐の味だ…」

        にっこり笑ってロイの横に立ち、その背に腕を回す。





        





        守るから…俺が大佐を守るから…





        エドの為に…すべては愛しいエドワードの為に…















        共に生きよう…命果てるまで…













        闇を打ち払う光と共に…













  
   


終了です〜
久々に書いたブラロイ、楽しかったです〜
鬼畜熱に犯され、殆ど書き下ろしのように始まった「駆引き」…
閣下とロイの間には「緊張感」なくては成り立ちません!!!
それが更に興奮を高めていくんですよね〜

自己満足に近い中、お付き合いありがとうございました!!



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