駆引き   2










        白い肌に無数の赤い筋。

        







        その姿があまりにも官能的で美しい。



        見ているだけで…身体の内側から焔が燃え上がってくるようだ。







        ブラッドレイはロイに触れようともせず、ただその裸体を嘗める様に眺めていた。







        その視線に耐え切れず、ロイがブラッドレイを誘うようにベッドに横たわり声をかける。



        「まさか今日は見ているだけなどと言う事はないですよね…」





        それならそうで私は構わないが…







        ブラッドレイはフッと笑うとサーベルをロイの喉元に突きつけた。



        「お前のその赤く流れる血があまりにも美しくてな…つい見とれてしまった。」



        そのまま身体の中心に線を引くようにサーベルを動かしていく。

        斬れそうで斬れないその力加減にロイは息をすることすら出来なかった。



        僅かでも息をして身体を動かせばザクリと切られてしまうのではないか…





        サーベルの剣先は既に起ち上がって先走りを流し始めているロイ自身に向けられた。





        「ほう…見られていただけでもうこんなにしているのかね?それとも無数にある切り傷がそういう気分にさせたのか…」



        だったらここに傷を負わせれば更なる官能を見出せるかも知れんな…





        にやりと笑いながら剣先はゆっくりとロイ自身をなぞっていく。

        ブラッドレイのサーベルの切れ味は抜群だ。いつ何時でも戦闘で使用できるよう熟練の砥ぎ師が毎日磨いている。





        少しでも力を入れられればロイの急所は血で染まる事だろう。







        ロイは歯を食いしばりその鈍い痛みと恐怖に耐えていた。

        だが、身体は逆に快感を覚え、ロイ自身は更に透明な液を流し続けていた。







        恐怖すら快楽に変えてしまう程私の身体は慣らされてしまっているのか…





        ロイの先走りの液はブラッドレイのサーベルの剣先にまで達し、その曇りなき刀を欲望が汚す。

        とろりとした液体が剣先に流れ着くとブラッドレイはそのサーベルをロイの口元に持っていった。







        「貴様の欲望が私の自慢のサーベルを汚しおったぞ!さぁ、綺麗にして貰おうか…」







        鋭い光を放つサーベルの剣先にどろりとした液体がこびりついている。

        それを舐め取れと言うのか!?



        ロイはぐっと口を紡ぎ、サーベルに手を添えその先についた自分の液体を舌でそっと舐め取った。





        「っつ!!」

        鋭く研ぎ澄まされた剣先に舌を這わせる度、ロイの舌がすっと切れ、口の中に鉄の味が広がっていく。



        赤い血と唾液が混ざり合い、それがロイの口端からすっと流れ落ちてきた。







        あぁ…何と美しい…



        お前は最高だよ…マスタング…







        私を心から愉しませてくれる最高の狗だ…









        ブラッドレイはサーベルを床に放り投げると、血だらけのロイの唇を強引に開かせ、

        その血と唾液を自分の舌に絡ませた。

        まるでロイ自身を自分の中に吸い込むかのように、夢中でその血を飲み干していく。





        あまりの性急なキスにロイも困惑しどう受け入れていいのか分からない。



        深く激しく絡ませあい、ようやく離した時、ブラッドレイの唇はロイの血で赤く染まっていた。

        



        「閣下が血を見ると興奮する方だとは思いませんでしたよ。」

        ロイがフッと蔑むように言い放つと、ブラッドレイは赤く濡れたロイの唇を指で撫で、

        その血を頬につけて白い肌を赤く汚す。





        「私は闘いの中で生きてきた。だから赤い血を見ると身体の中から高揚感が溢れてくるのだよ。」

        「特にお前の血は美しい。その眼の輝きと共に…すべてを私の物にしたいものだ。」





        その血の一滴まで…私だけの物に…







        ロイは両手をブラッドレイの頬にあて、そして首に絡ませるように抱きしめた。









        「あなたには髪の毛一本とて差し上げません…この身はすべて…エドワードの物です。」



 

        ブラッドレイの眼が一瞬動揺し…そして冷たい笑みを浮かべた。







        「だがこうして私に身を捧げているではないか…」

        「心と身体は別のものです。空っぽの身体で満足するなら幾らでも身を捧げますよ…」





        所詮あなたと私は心を通わせる事など出来はしない…







        互いの思いは平行線を描いたまま…決して交わる事は出来ない。









        「よく言った。ではその空っぽの身体、じっくりと堪能させてもらうぞ。」





        ブラッドレイは服を脱ぎ捨て、ロイの身体に付けた無数の切り傷に舌を這わしていった。



        首筋、胸板、二の腕、わき腹…



        流れ出すすべての血を舐め取るようにロイの全身を犯していく。











        まるでここにはないロイの心を引き寄せるかのように…













        自分には向けられないその想いを奪い取るように…







        今自分の下に組み敷いている者は自分ではない者を想い描いている…

        その者に激しく嫉妬している自分の存在にブラッドレイは驚き、そして苦笑した。













        あぁ…私はこんなにもこの焔が好きなのか…



        苦しめて…傷つけて…それでもなお自分に懐かないこの狗に…







        





        自分と同じ闇に染まらせても、それでもすべては手に入らない。



        生きてる証を与えても、それでも心は手に入らない。











        ならばいっその事壊してしまおうか。



        美しい人形と化してしまおうか…









        …いや…それではあの眼の輝きすら失ってしまうだろう。













        私の心臓を貫くような鋭い瞳。













        それが見たくて私は君を嗜虐的に抱くのだよ…  



        私に生きていると言う実感を湧かせてくれるその瞳を…









        To be continues.





  
   


あぁ…前後半で終わるはずが続いちゃいました。

すみません、次で終わらせます。
もう暫くお付き合いを…(汗vv)



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