歓楽街の一角にある料亭。 そこには客達が入れる風呂も用意されていた。 広い湯船にたっぷりのお湯があふれ、そしてそこには誰一人居なかった。 「誰も居ないのか…?」 「居たらやばいのはあんたでしょうが。」 こんな所有印だらけの裸体見られたら、鬼の副長の名が廃りますぜ? そう沖田が言うと同時に、土方の背中を押して風呂場へと突き飛ばした。 「イテッ!何を…」 慌てて振り向いて沖田を見ると、風呂場のドアをガチャリと鍵をかけていた。 そして、徐に上着を脱ぎ始めている。 「総悟…?」 「あんたは本当に天然の馬鹿ですね。」 俺が素直にあんたを開放するとでも思ってたんですかい? 何が…?と言う表情で見つめる土方の右腕を、沖田はぐっと掴み上げた。 痛みで顔をしかめる土方を尻目に、その身体を反転させ風呂場の壁に押し付けた。 その細い腕のどこにこんな力が… そう思えるほど、締め付けられた腕はびくともせず、壁から逃げる事は出来なかった。 「総悟!何するんだ、離せ!」 「まずはあんたの中にある物を取り除かなきゃね。」 「なっ、ああっんん…」 後孔にいきなり指を入れられ、中を激しく掻き回されていく。 ごぼっと音を立てながら、沖田の指に絡みついた白い液体を引き出した。 「うぅあ…」 「薄汚い天人のをいつまでも中に置いておくほど、俺は寛容じゃねぇんで。」 もう一度中を掻き回し、残りをすべて引き出していく。 指の出し入れをされる度に、土方の口からは喘ぎ声が漏れていた。 「んんっ…あっ…」 「随分と反応いいんですね。散々犯られてたのに。」 右手で腕を締め上げ、左手で身体を撫でていく。 引き締まった肉体を触れるか触れないかの感覚で撫でられ、土方の身体はぶるっと震えだした。 沖田の左手が身体の中心に到着した時、土方自身はしっかりと起立していた。 くちゅっと水音が立つほど、その先端は濡れていた。 「ふ〜ん。あんだけ犯られてもまだ足りないんですかイ?」 「くっあ…総…悟…」 「あんた、俺の為に生きてくれるんでしたよねぇ。」 耳元でそっと囁き、沖田は腕の戒めを解いて土方を開放した。 土方はそのまま壁の岩に寄りかかるように崩れ落ちる。 その髪を掴み、自分の方へと向かせ、沖田は目の前にいきり起った自分自身を突き出した。 「なら、俺の為に出来る事をして下さい。」 俺の為に生きてくれるなら。 生き恥を晒してでも俺の為に生きてくれるなら。 「…総悟…」 目の前に出された陰茎の先に、土方はそっと口付けをし、そのままそれを咥え込む。 天人に無理やり入れられた時とは明らかに違うその表情に、沖田は気づく事は無かった。 舌を使い、喉奥まで入れ、眼を閉じ、手を添えて奉仕するその姿に、 沖田はただじっと見つめていた。 「随分上手いじゃないですか。やっぱり経験がものを言うんですかい?」 「さっきの天人も随分ご執心でしたからねぇ。」 頬をすぼめて舐める土方の黒髪に、沖田はすっと掻き分けた。 薄らと眼を開け、上から覗き込む沖田のその眼と見つめ合う。 その眼が恍惚としているのを知ると、沖田は無理やり咥内から己を引き抜いた。 「っは…」 「何恍惚としてるんだイ、土方さん。」 今、俺はあんたを犯そうとしてるのに。 あんたを天人に売ったのに。 あんたを引き摺り下ろして副長の座を手に入れようとしてるのに。 「そうだな…俺は何をしているんだろうな。」 そう呟きながら小さく微笑むと、土方は引き抜かれたばかりの沖田自身に、 再び手を沿え先端にキスを落とした。 大きく口を開け、舌を引き出し、太く成長したそれを愛おしそうに舐め続ける。 沖田が引き剥がそうとしても、土方が沖田の腰にしっかりと腕を回し離れようとしなかった。 「んっ、土方さ…ん!」 上目遣いで微笑みながら、舌を使って更なる刺激を与えていく。 その巧みなテクニックに、沖田は頂点に達しようとしていた。 「ふっんん…」 土方の後頭部をしっかりと押さえつけ、沖田はその咥内にすべてを放出させる。 苦味のあるそれを、土方は残さず飲み干した。 「ふっ、天人のと俺のとどっちが美味しいですかい?」 「そうだな…愛情がある分、お前のかな。」 「愛情…?!」 舌なめずりをしながら、土方はすっと立ち上がり、まだふらつく足で岩風呂の湯の中へと身体を沈めていった。 右手でお湯をすくい、所有印だらけの身体に振りかける。 「どうした…来ないのか…?」 「土方さん…あんた…何を言ってるのかわかってるんですかい?」 俺がそこに行ったら、確実に犯す。 そのつもりでここに連れてきたんだろうが。 「お前の為に出来る事…してやるよ。」 生き恥晒して天人の行為を受け入れた。 お前の為に、俺は生き続ける。何があっても生き続ける。 「お前が不安にならないように。お前が望むならどこだってこの身を奉げよう。」 近藤さんの目の前だって… 隊士達の目前でも、それこそ公衆の面前でも。 俺はお前のその泣き出しそうな眼を見るくらいなら、地位も名誉も失ったって構わない。 「お前の為には死なない。俺はお前の傍にずっといる。」 すっと伸ばされたその右手を、沖田は無言で見つめていた。 シャツを脱ぎ、ズボンも下着も脱ぎ、一糸纏わぬ姿になって土方と同じ湯の中へと入っていく。 差し出された右手を掴み、そのまま自分の胸に引き寄せる。 何かを言いたそうなその唇を強引に塞ぎ、湯の中で揺れている陰茎を掴みあげた。 「んんっ!」 「もう止まんねぇですぜ?土方さん。後悔しませんよね。」 「ふっあ…今…嫌だと言ったら…止められるのか?」 「いや、無理ですね。嫌だと言ったらそのままねじ伏せますぜ。」 その方が興奮するんだけどなぁ。 黒髪をかき上げ、そのまま湯舟の縁の岩に手を置かせ、腰をぐっと引き上げさせる。 半分湯に浸かりながら、後孔に己を押し付けた。 ズブッ… 熱い湯と一緒に身体の中に押し込まれていく質感に、土方は岩にしがみつき耐えていく。 すべてが収まった時、土方も沖田も大きく息を吸い込んだ。 「ハァ…あんたの中、こんなに気持ちいいものなんですねぇ。」 ゆっくりと引き出していくと、中の肉襞がまるでしがみつくかのように絡みつく。 一旦先端まで引き出すと、そのまま一気に最奥へと突き入れた。 「ひっああああ!」 「ン、いい絞め具合。あんだけ突っ込まれていてもこれだけよく締まる孔じゃ、 天人さんが手放したくなくなる筈ですねぇ。」 中へと突き入れる度に風呂の湯が一緒に入り、ジュッジュッと音を立て土方の耳をも犯していく。 沖田が挿入をすると、土方の、腹にくっつきそうなくらい起ち上がっている陰茎が岩に触れ、 痛みと共に凄まじい快楽を与えていた。 「あっ、はぁっ…総…悟!」 悲鳴に似た喘ぎ声を浴槽中に響かせ、土方はあっけなくイってしまった。 透明のお湯の中に、白く濁った物が漂っている。 それを指で掬い取り、荒い息の土方の口元に擦り付けた。 「うっぐ…」 「ほら、お湯を汚しちゃ駄目じゃないですか。他のお客さんも入ってくるんですぜィ?」 くちゅくちゅと土方の舌を指で弄び、土方も白く汚れた沖田の指を舐め続けた。 そして再び腰を掴む、土方は次に来る振動に体を緊張させる。 だが、沖田はずるっと肉棒を引き抜いて、そのまま土方の身体から離れてしまった。 支えを失い、土方は力なく湯の中で岩にもたれ掛かっている。 いきなり抜かれたので、土方はきょとんとした顔で沖田を見つめていた。 「何て顔してるんでィ、土方さん。」 「…最後までいかないのか?」 「気が失せました。」 そう苦笑気味に笑うと、沖田は湯の中に身体を沈めていった。 「あんたが俺の為にいつ、どこでも身体ぁ捧げてくれるって約束してくれましたからね。」 だったらこんな人の目のない所で犯すよりも、もっと楽しい所があるじゃないですかい? そう言って、沖田は土方の頬に手を添え、そっと口付けを交わす。 そこには確かに愛情が込められている。それは沖田本人も気が付いた。 穏やかに笑いかけ髪に指を絡める土方に、沖田は少し戸惑い、強引に離れていった。 「俺はまだまだ安心なんかしてねぇですぜ。土方さん。」 あんたのその思いが本物か、これからもしっかり試させて貰いますぜ。 俺の為に生きるなら、ただ生きるだけじゃつまらない。 その身に俺を刻み込んで、息をするだけで俺を思うようにしてあげよう。 そう黒く微笑みながら広い湯舟の中で泳ぐ沖田に、土方は深いため息を漏らす。 「全く、このサド王子め。」 そう呟きながらも、表情は穏やかで晴れ晴れしている。 それは沖田も同じだった。 「俺とした事が。えらいのに惚れちまったな…」 身体中の痛みを風呂で癒しながら、土方は静かに眼を閉じた。 いいぜ…刻み込むがいい。 俺はお前の為に生きてやろう。 そしてお前も俺の為に生きるんだ。 お互い、息をする瞬間でも思い出すように。 誰が為に出来る事… それは俺とお前にしか出来ない、「生きて愛し合う」事… END
原作を読みながら書いていたので、最初の頃と最後のほうでどうもニュアンスが違っている感じがしないでも…
と、とにかく沖土はおきたが黒い!
これに限りますね!(えいや!)
近藤局長の前で見せ付けながらやるのも書こうかと、マジに思いましたよ。(うふふ)